Mさんは仕事の出来る人で、無断欠勤するような人じゃ無い。
事故か急病かもしれないとこちらから連絡したけど、携帯も自宅の電話にも出ない。
ついにその日は出勤して来なかった。
次の日になってもMさんは来ず、連絡も付かない。
一人暮らしだから、もしかしたら何か大変な事になってるんじゃないかと心配になり、家が近い人間が見に行く事になった。
ところが誰もMさんの家に行った事が無い。
そこで住所を調べて、一番近かった私とMさんの同期のAさんが行った。
Mさんのアパートに行き、インターホンを押してみたが出ない。
しばらく粘ったが、何の返事も無い。
流石に不安になり、これは警察に言った方がいいかも・・・とAさんと話していると、微かにうめき声が聞こえてきた。
Mさんの声だ!二人でドアをバンバン叩いて呼ぶと、消え入りそうな声で返事が返ってきた。
「助けて・・・痛い、動けない・・・。」
管理人さんをせかして鍵を開け・・・全員飛びのいた。
ドサドサッと音を立てて、何かが雪崩落ちてきた。
それはぱんぱんに膨れたゴミ袋の山だった・・・。
呆然と立ち尽くす私たち。そこへ
「助けてえ・・・苦しい・・・」とМさんの泣き声が。
部屋を覗き込むと、そこはゴミ、ゴミ、ゴミの山。
本当に天井まで埋め尽くすほどのゴミ。
確かにMさんはいるんだけど、ゴミに埋もれて見えない。
いやもう、ゴミしか見えない。
そのゴミの上をザラザラ走り回るゴキブリ。
半泣きになって三人でゴミをどけても、とにかく玄関を突破出来ない。
結局駆けつけた救急隊員の人の手も借り、Mさんが救出されたのは一時間近く過ぎてからだった・・・。
それでもほったらかしていた所、ついにゴミの要塞が崩れて下敷きになってしまったとか。
そのまま動くに動けずほぼ二日を過ごしたMさんは、あばら骨のひびと打撲、脱水症状で、そのまま入院するはめに。
そしてゴミの臭いと部屋の惨状に、次の日私とAさんも寝込む事に・・・。
詳しく思い出すと今でも気分が悪くなるので書かないけど、片付けの立会いにいくはめになった上司曰く、「窓が・・・ゴキブリで見えんかった・・・」
勿論次の日は寝込みました。
そういえば妙に香水がきついとか、毎日ロッカーにファブリーズ掛けてたりとか、何か変わっているとは思っていたけど、これは考え付かなかった。
幸いMさんの怪我は軽く、ゴミ部屋も専門の業者の方に片付けてもらえたとか。
一週間もしない内に元気に出勤してきて、開口一番。
「あんな便利なとこあるなら、もっと早く頼めばよかった!」
今日もMさんは元気に出勤してきます。
そして部屋はまだ壁が見えてるくらい綺麗・・・だとか。
だけどもし同じようなことがあっても、私は絶対行かないが。
おえええええぇぇえぇ………………orz