メンツは5対5。
普段は合コンなど興味の無い私ですが、
ある日友達に誘われてホイホイ付いて行ってしまったのです。
会場へ向かう間に聞き出してみたら
実はこの私のことを狙っている女がいるらしいので私を誘ったようです。
私は期待に胸を膨らましました。
女側の幹事は堀北真希似のA子さんだったからです。
もちろんそんな美人が呼んでくるのは顔面レベルが高いでしょう。
そう私はタカをくくっていたのです。
雰囲気イケメンで神コミュ力の友達、テニサーの王子、
医学部のブラックジャック、バンドマン。
そしてもちろんこの私。
文句ないレベルの高さだったのです。
ぱっと見て思いついた言葉が「愉快な仲間たち」でした。
私はドラゴンクエストが好きなのです。
堀北真希と愉快な仲間たちがそこに待っていました。
私は現実世界でも遭遇する、しかも2匹同時に出てくるとは思いませんでした。
ちなみにマッドロンとはこんな見た目の奴です。 ゾンビ系です。
私はゾンビ系+リップス=マッドロン+2
なるほど、なるほど、などと要らぬことを考えていたのですが、
この時点で他の殿方たちは私の友達を若干恨めしそうに睨んでいました。
やはり魔物でした。
堀北真希さんはさぞ口笛が上手だったに違いありません。
ちらつかせながら呟いていた時に、
画面が真っ黒になり、奴らがやってきたのです。
なんと現れたのはテンツクとキラートーテムでした。
ドラゴンクエストⅥではリップスなどと並ぶ雑魚モンスターであり、
Ⅸではある老人から
「孫にテンツクに似てると言われ悔しいからテンツクを10匹倒してきて」
というクエストもあります。
そんな感じの見た目です。
複数で現れ、HPが低くなるとメガンテという糞っぷりです。
(メガンテ:自爆して相手にダメージを与える)
そしてあの忘れられない顔です。
一匹だけだったのが幸いでした。
トーテムキラー
テンツクとトーテムキラーの登場には、
「よりにもよってゾンビ・虫・物質系とは華やかですね」
等と皮肉じみた事を考えていました。
というか全員堀北真希さんを凝視していました。
そう、楽しい合コンはいつのまにか
一人のみしか救われないバトルロワイヤルになっていたのです。
もう待ち合わせ場所に来てしまったので
どう足掻こうと戦闘からは逃れられません。
大体逃げても魔物たちにどうせ回りこめられてしまうでしょう。
堀北とお前ともども全滅させるんだ
スーパーテンツク
なります。なりやすいです。
そこで私は良い提案を出しました。我ながらに絶妙な計略です。
「皆で映画を見に行きましょう」、と。
マッドロンAが「え、でも計画~」などと口走りましたが、
私にはもちろん男性全員のサポートの恩恵があるはずです。
なぜですかって?
映画を見に行けば
1.会話しなくて良い
2.顔を見なくて良い
3.時間を食う
からです。
「映画に行こう」と賛成を示しました。
そう、我々は血を流さず生き延びる道を選んだのです。
友達「えー、でも俺最近のほとんど見たし。なー堀北もだろ?」
とんだ伏兵が現れましたよ。
友達はハナからこうなることを予測していたです。
自然と自分は元から知り合いである堀北真希とくっつき、
我々が残された魔物たち相手に悪戦苦闘するのを眺めるつもりだったのです。
あそこが顔並にでかいなんて良かったじゃないですか。
唖然としている私、テニサー、医学部、バンドマンをほっとき、
悪魔神官は堀北真希をたぶらかしていました。
その間にマッドロンたちから放たれる異臭が我々勇者一行を包み込みました。
気づいたら私の隣にはテンツクがたっており、
我々は悪魔神官の策通りに居酒屋へと拉致られました。
居酒屋→宿泊施設の連携技はあまりにも有名であります。
抜けるなら今しかありません。
医学部「実はさ、俺試験がもうちょいであるから
あんま長くはいられないんだよね」
悪魔神官「この前終わったから今日は自由だって昨日いってたじゃん」
悪魔神官の邪悪な笑みが我々に
逃げ道など存在しないということを知らしめました。
生は飲み放題という悪魔じみた場所でした。
金のかかる場所ならばあまり飲まずに帰れると思ったのですが
これではもう逃げようがありません。
魔物に囲まれたまま酔いつぶれるなど危険すぎます。
いくらHPがあっても足りません。
その大きな釜のような口からべらべらとくだらぬ言葉を吐いてきます。
私はまもりをかためながら、斜め横にいるテニサーと会話をすることにしました。
堀北真希 バンドマン トーテムキラー テニサー マッドロンB
悪魔神官 マッドロンA 医学部 テンツク 私
こんな感じでございます。
私はなぜか端っこに追い込まれ、テンツクとマッドロンBに囲まれていました。
執拗にです。
そこで私は思い出しました。
魔物たちの出現によるPTSDでいつにしか忘れていたことをです。
ワクワクを思い出すんだ。
悪魔神官はそういえば言っていました。私に好意がある女性がいると。
そして隣にいるテンツクを見る私。
残念ながらテンツクはモシャスを覚えません。
(モシャス:コピー変身能力)
このままでは確実に食い殺されてしまいます。
私はテニサーに再び助けを求めました。
だがテニサーは無我夢中で医学部と談笑中でした。
私だけ一人置いて行かないでください。
でも時間の問題でした。テンツクを無視するのにも無理がでてきました。
マッドロンBはその油したたる手を舐めながら手羽先を食べています。
配合しますか?
→はい
やめてください 死んでしまいます。
私ははらをくくりました。戦闘を開始すると。
こうなるとまず戦略を練らなければなりません。
私は自分の置かれている情況を分析し、
まうマッドロンBを攻略することに決めました。
なんでマッドロンBを先に攻略しようと思ったかというと、
もちろん私自身がテンツクに狙われているからです。
場の空気を崩さずテンツクの攻撃を回避するには
他のターゲットを攻撃するしかありません。
それにマッドロンの方がなんとなく愛嬌があります。
ちなみにⅥでもザキを唱えてきて厄介なのでマッドロンをまず先に倒しましょう。
(ザキ:即死呪文)
私は速攻にマッドロンとの会話を始めました。
マッドロンB「>>1君はどんな映画見んの?」
ゾンビ系の割には軽快な口調なのに若干苛立ちを覚えました。
私「最近だと『ゾンビ』」
テンツク「あれ怖かったわー」
マッドロンB「しかも最後救われなかったよね~」
私も最後救われないんでしょうか。
マッドロンB「またゾンビ物wwww」
テンツク「ホラー系すきなんだねww」
私「共感するところがあって」