とあるグループで冬の旅行の幹事を頼まれたのはAという男性社員。
Aは鉄道マニアというか旅行マニアで、各地に詳しく、お土産にはハズレがなかった。
「一人の旅行なら慣れてるけど、みんなに楽しんでもらえるか自信がないよ」と渋っていたAに頼み込んで幹事になってもらったところ、コースも食事や宿泊場所の選定もみんな満足いくものだった。
前日から悪天候の予報を聞き交通状況を調べ、いち早く観光地を出てターミナル駅に行くことを提案、大雪で、観光地で立ち往生するところを免れた。
でもターミナルに行っても雪で観光もままならず帰りの列車は大幅に遅れていた。
げんなりしていたところ、Aが顔見知りの観光案内所の人に相談して、団体の当日キャンセルが出て困っていた旅館に話をつけてもらい、食事と、列車の時間まで滞在させてもらえることになった。
渡りに船だと旅館もサービスしてくれ「並」クラスの料金で「上」クラスのご馳走にありつくことができた。
みんなヤケクソにもなって追加注文もしてたっぷり飲み食べたので、旅館にも貢献できただろう、と思う。
帰りの列車は3時間以上の遅れになり、旅館から「宿泊料も安くするからいっそ泊っていかないか?」と言われたが、仕事に穴をあけるわけにもいかず、後ろ髪をひかれながら帰った。
この活躍で一躍Aは職場のヒーローになり、適切な判断は上司からも評価され、またAをサポートした先輩社員のBさんとAが付き合うようになり、夏には二人でお礼がてら例の旅館に宿泊に行った。その後二人は結婚。
この二人の姿を見て奮起したのが、A同期のCという男性社員。
翌年冬の旅行で幹事に名乗りを上げ、CはわざとAが参加できない日程で旅行を計画、しかしAのような知識や経験もなく気配りも足りないCは失敗続き、さらにまた天候悪化で今度は遭難寸前の状態で寒い中で立ち往生することになり、職場内の信用失墜、仕事に穴をあけ上司からも大目玉、会社に居づらくなってしばらくして辞めてしまった。
「漫画みたいな話だろう?その『C』が俺なんだ」と上司。
忘年会で自分の手痛い失敗談を話してくれた。
Cこと上司はその後自らを恥じて立ち直り、別の会社でやり直して今に至る。
その痛い失敗の経験が大事な糧になっているんだとか。
で、実は衝撃的だったのは、AとBさんのエピソードを私は知っていたこと。
Aは義兄、Bさんは実姉だった。
県も違うのに、世間はあまりにも狭いなとすごく驚いた。
その話をしたら上司は驚き、上司から義兄への、丁寧なお詫びとお礼の手紙を託された。
義兄も姉も笑って受け入れるつもりらしく、また交流が復活しそうな感じ。
298 :名無しさん@おーぷん 2017/01/05(木)19:59:42 ID:Jzw
300 :296 2017/01/07(土)21:51:45 ID:zGX
上司(C)は、義兄(A)に「自分がいかに無責任だったかを思い知らされ、Aとは同い年なのに、自分はガキじゃないか、何をやってきたんだと心底恥じた」と言って、義兄を尊敬していると私に言った。
義兄は旅行の幹事の時、自分が楽しむことよりもみんなが楽しむことを優先に計画を立てるときも当日も、参加者の好みや疲労などにすごく気を使っていたと聞いた。
天候が悪化しそうだった最終日の前日の晩は、みんなが最後の夜を楽しんでいる時にお酒も飲まず、駅などに問い合わせたり携帯の気象情報や時刻表とにらめっこして、明日の予想される事態とみんなが無事・確実に帰れる行程を思案していたらしい。(姉もそういう態度に惚れたとか。義兄曰く「アクシデントで行程を急遽組み替えるのも旅行の楽しみの一つ」で、それをやっていただけ、ということらしいが)
その時上司(C)は「幹事がしかめっ面じゃ白けるじゃないか」と思っていたそうで。
逆に上司(C)が幹事の時は、どこへ行きたいかとかはみんなの意見を聞いたものの
行程や当日の行動は「幹事が率先して楽しまなきゃ」といつも自分が楽しむこと優先で、時間配分やロスを考えず、次のところで入場時間を過ぎて入れなかったりとか
天候悪化の時も、天気予報も見ずへべれけに酔っぱらって、自分が楽しみにしていたところがあったので「んー大丈夫大丈夫」と根拠もなく強行して立ち往生してしまったという。
はじめは自分は運が悪かっただけで悪くないと思っていたが、A(義兄)の時を思い出すと、自分の自己中心さに気が付き、恥ずかしいけど自分は心を入れ替えねばと思った、と。