気持ちだけで十分。胸がいっぱいになった。
これ以上何かしてもらうなんて罰が当たると思った。
病室を出てサキからハルを預かった。
俺「迷惑かけたっすね」
サキ「ハルちゃん本当に可愛いw 弟にしたいw」
俺「ありがとう」
サキ「あの、すいません。母がごめんなさい」
と言ってきた。
サキ「ハルちゃん悪戯なんてしてませんから。
私知ってるんです。教科書も服も母が自分でやったんです。本当にごめんなさい。」
教科書は部屋に置いていて、ハルが手に届くはずがない。
服もヨシノおばさんのお気に入りだったらしい。
そんなものをハルが悪戯できるような場所に置いているはずがにいと言うことだった。
そう言って病院を出た。
何故ヨシノおばさんがそんなことするのか理解に苦しんだ。
まあ俺とハルが邪魔で仕方なかったんだろう。
俺の腹は今にも煮えくり返りそうだった。俺はその脚でカズエおばさんの家に向かった。
黙って家に入り荷物をまとめた。
おばさんはびっくりした顔でこちらを見ている。
俺「お世話になりました。もう出て行くので。ヒロシおじさんにもお伝え下さい」
強い口調で言って深々と頭を下げた。
何もしてあげられなかったけど元気でね。」
白々しいやつだ。
俺「もし…もしこれから外であんたと出会って、もしハルが悲しむようなことがあったら。
何が何でも絶対に許さないっすから。」
と捨て台詞を吐いて家を飛び出した。
その時の俺どんな顔してたんだろうな。相当怒ってたし恐かったと思う。
ハルは公園に入るなりハシャいで滑り台を滑り始めた。
その姿を目で追いながら茫然として立ち尽くしていた。
針でチクチク刺さるように胸が痛くて苦しくなった。
病気とかじゃなくてな。何でかって?
それはハルを少しでも疑ったからだ。すぐに信じてやらなかった。
本当はヨシノおばさんが悪いとかじゃないんだ。
文句垂れられながらも住まわせてくれていたんだし。ただの八つ当たりじゃないか。
俺はハルを怒りのまま怒鳴ってしまった。
ハルは怒ってたけど、あの時ハルは本当に俺に怒っていたのかもしれない。
何で信じてくれないのって。
俺は本当にグズだよな。ハルごめん。本当にごめん。自分の不甲斐なさに嫌気がさす。
砂場で遊ぶハルに詰め寄り強く抱きしめた。
今にも涙がこぼれ落ちそうだったけど、グッと我慢してこらえた。
ハル「パッパーもうイタいー?」
俺「痛くないよ。悲しいだけ」
ハル「いたくないにょー?」
俺「うんうん」
ハルはまた嬉しそうに滑り台によじ登った。
おつ
さっさと終わらせてほしい
社長には少しの時間って言ってるのにばっくれてんじゃん
>>412
続きに経緯を書くからスルーしてくれ。
ハルのこの時の年も気になってると思うが、追々書くんで見ててくれると助かる。
すまん。ではおやすみ
続き
携帯のバイブで仕事を途中で抜け出していたのを思い出した。
しまった。やはり社長からだ。
俺「すいません。連絡せずサボっちゃいました。」
クビになることは間違いない。社会人失格だよな。
俺は社長に今日の出来事を全て話した。
社長に今すぐ会社に来るよう言われた。会社にはもう社長以外誰もいない。
当然なんだが。
ソファーに恐い顔で座る社長。
怒られても仕方ない状況。謝るしかない。
せっかく雇ってもらったのに、いい加減な自分を呪った。
社長「おい俺?飯食ったか?」
俺「いやまだ。」
社長「よし。なら飯行くぞ」
何も言ってこなかったが、この状況と社長の太い声がマッチして妙に凄みを感じた。
そして俺とハルは社長に連れられ定食屋に入った。
まるで何もなかったように、仕事をサボった事には何もふれてこなかった。
その時は変に緊張したよ。
俺「すいません。やっぱり俺クビですよね?」
社長「ん?バカか。クビにはしねーよ。さっさと食って行くぞ。」
俺「はい…」
クビにならないと聞いて少し安心した。ハルにご飯を食べさせて店を出た。
続き
社長に車に乗るよう言われたので車に乗った。社長は何も話さない。
車内は無音で、シーシーと社長が口に入れた爪楊枝の音だけが聞こえた。
ハルはウトウトしている。
俺「あの…どこ行くんすか?」
口を開かない社長に、黙ってついていくことにした。
そのアパートの一室を開けると、
社長「ここ使え」
と社長が言ったんだ。
俺「どう言うことっすか?」
社長「ここわ俺が嫁と喧嘩した時に使う別宅だ。お前に貸してやる。」
でもそう言うことなんだ。俺は社長の親切に思わず泣いてしまった。
俺「クッ…本当にいいんすか…?」
社長「あーいいよ。家具も使っていい。その代わり家賃はもらうぞ。」
本当に嬉しかったんだ。
やっと住む家が出来たってこともなんだけど、何より社長の優しさが痛い程伝わった。
社長「バカ野郎。大の男が泣くな。そんな泣き虫で子供なんて育てられねーぞ」
俺「はい…エグッ」
だってそうだろ?
まだ一月も働いてないバイトなんだぞ俺は。信じられなかった。
お前は若いのに根性もあるしよ。俺は買ってるんだよ。
それに、一緒に汗かいて一緒に飯食ってんだろ?
もう俺の家族みたいなもんなんだから面倒みてやるのは当たり前じゃねーか。
それと礼なら山下に言え。
あいつお前のことも、お前のガキのことも心配してたからな。
クビにしないでくれーって頼んできやがってよw
最初からクビにするつもりもなかったけどなw」
社長に礼はいらないから仕事で返せと言われ、明日はゆっくりしろと言われ
1日休みをもらった。
信用できるやつもいなかったし、他人からこんなに優しくされたことなんてなかった。
佐々木先生やカズエおばさん。社長や山下さん、みんなが俺なんかに優しくしてくれる。
今まで人生を損して生きてきたんだなって思った。
この人達は見返りも求めずに俺に優しくしてくれた。
本当に信用できる人達だ。出会えたことに感謝したい。
グズな俺は、こう言う人達との出会いのおかげで、少しずつ成長できたんだと今は思う。
まわりに助けられ、支えられ、こうやって生きていけてるんだと気付かされた。
それとハル。ハルが何よりも俺を強く支えてくれてるんだって思うんだ。
もう一人じゃない。ハルの存在は大きい。こいつがいるんだから生きていける。
そう思った。
少しボロでワンルームの小さな部屋だったけど、俺とハルには十分すぎる部屋だった。
ハル「でんさー?」
俺「うん電車。次のに乗ろうな」
ハル「でんさーのるーw キャッキャッ」
楽しそうにするハルを見て少し幸せな気分になった。
俺「どうしたそれ??」
ハル「でんさー?」
どこで見つけたのか、ハルはおもちゃを持っているようだ。
でも、電車のおもちゃと思ってバスのおもちゃを間違って持っているようだ。
俺「それバスだw」
ハル「ばすー?」
俺「うん。電車はこっちな?」
と言っておもちゃ売り場にある電車のおもちゃを見せた。
大きな声。どうやら電車より大きなバスのおもちゃを気に入ったみたいだ。
そう言えばハルにおもちゃなんて買ってやったことないな。
普通の父親らしいこともしてあげたことない。
そのバスのおもちゃを買ってあげることにした。
ハル「でんさーw でんさーw フンフンフンフン♪」
家に帰る前公園の砂場で一緒に遊んだ。
山作ったり、穴掘ったり。ハルはバス走らせたりして。
ハル「でんさーw でんさーのるーw キャハ」
まだバスを電車だと思ってるんだ。その笑顔がたまらなく愛おしかった。
満たされた気持ちになった。
俺もハルも泥だらけだ。
俺「ハル?風呂行くか?」
ハル「おぷろいやー」
ちょっと怒るハル。
部屋に風呂がなかったので、ハルと近くの銭湯に行った。
ハルはすごく風呂嫌いなんだけど、初めての銭湯にはしゃいでた。
遊び疲れたんだろう。穏やかな寝顔だ。
初めて買ってあげたおもちゃ。相当気に入ったみたいで俺も嬉しかった。
ここはもう俺とハルの家なんだ。ようやく落ち着けたことに安堵した。
これからは少しずつだけど、家庭らしい家庭を作ってやろう。ハルのために。
何度も挫けそうだったけど、ハルの存在がいつも俺を助けてくれた。
なんとかやってこれたんだな。これ以上下はないだろうってくらいの底辺を味わったけど、
でももう大丈夫だ。そうだよな?
俺は自分に言い聞かせるようにして目を閉じた。
こんな小さなことが、こんなに幸せに思えるなんてな。
ずっとこの幸せが続いたらいいなと切に願った。
でも、これからが俺にとってもハルにとっても本当に大変になることを
この時はまだ知る由もなかった。
ハルタソ〜
そして本当にすまん。もう休ませてもらいます。
ゆっくりやすんでくれ
明日も頑張ろうな!
支援
最後まで書き終えてほしい。
ずっと一緒さって歌聞いてたらついつい泣いてしまうんだ。で寝るパターン。
とりあえず中途半端ですまんが少し書く。
そう告げられた。
新生活を始めて、2ヶ月が過ぎようとしていた。
今俺は児童精神科のある、医療機関に来ている。
俺「すいません。俺バカなんでよく分かりません。ちゃんと説明してもらえますか?」
話しは1ヶ月前にさかのぼる。
俺「はい。大丈夫です。休みもとってあるんで」
仕事も順調で、ハルも保育園に通い始めた。
明日は参観日と言うことで、前もって仕事も休みをもらっていた。
佐々木先生「ハルちゃん良かったねーw パパ来るってw」
ハル「パッパーw パッパーw」
参観日の日、ハルは俺がいることでもあって少し落ち着きがなかった。
朝の挨拶から始まり、散歩、給食、お昼寝、お遊戯と言う感じで進行していく。
ハルは俺のところに何度も来て。
ハル「かえどー。かえどー。」
と言って手を引っ張ってきてた。
その度先生が来て連れ戻していく。
佐々木先生「ハルちゃんまだ帰らないよーw みんなでお歌唄おうねw」
1日があっという間に終わった。けど俺は何かモヤモヤしたものが残ったんだ。
まわりが帰宅準備をする中、俺は佐々木先生に声をかけた。
俺「先生ちょっとお話出来ますか?ハルのことで」
ハルは楽しそうに積み木で遊んでいる。
佐々木先生「すみません。遅くなって。で、お話ってなんですか?」
俺「あの?その?ハルなんですが…」
何て聞けばいいのか考えながら、
俺「みんなハルと同い年ですよね?
ハルってまわりの子達と比べて、ちょっと違うような気がするんす。
見た目とかじゃなくて…」
何て言っていいのか分からない。
そうだ。それだ。
俺「そ、そうです」
佐々木先生「お母さんから何も聞いてないんですか?」
俺「えっ?はい…」
サリナが知っていたこと。俺は殆ど家に帰ってなかった。知らないことなんて山ほどある。
俺「聞いてないって言うのは?」
佐々木先生「お母さんがお家からいなくなる前に、そう言う話ししなかったですか?」
佐々木先生「そうだったんですね…」
俺「ちょっと引きますよね。本当すんません」
佐々木先生「謝らなくていいです。
ハルちゃんは、確かにまわりの子より成長は遅いですよ…あっ!」
佐々木先生「たしか…あっ来月の4日に児童精神科の検診がありますよ。
ハルちゃんの。私も同伴するつもりだったから、その時にきちんと話しましょう。」
今までハルが普通で当たり前に成長してると思てったんだよ。
でも、参観日で見た回りの子達は、ある程度言葉を理解し、ある程度会話が出来てた。
オムツも取れ、当たり前のことを当たり前にしてたんだ。でもハルはそれとは違う。
同じ3歳の子達と比べてあきらかに成長が遅れてた。
結局自分の為だったのかもしれない。
だって息子の成長が遅いことに気付かない親なんていないだろ。
どんだけ無関心なんだって言われてもおかしくない。
きちんと専門家に説明してもらってほしいと言ったけど、毎日モヤモヤしていた。
男の子は女の子に比べて成長が遅いと聞いことがある。
そんな感じなのかなと少し軽く考えてた部分もあった。
それでももし何か大きな病気で、今後ハルの将来に障害があるのならと
考えるだけでやりきれない気持ちになる。
それなりの覚悟は必要だと思った。
そして検診が始まる。ハルをおもちゃで遊ばせたり、身体検査などをした。
その後専門の先生が、俺と佐々木先生に普段のハルの様子を質問してきた。
会話を楽しんだり、積み木とかで遊んだり
先生は50前後の眼鏡をかけたおばさんだが、どうやらこの分野では名のある人らしい。
俺「すいません。俺バカなんでよく分かりません。ちゃんと説明してもらえますか?」
一言自閉症と言われても、俺の頭じゃ理解できない。
先生「発達障害よ。」
俺「発達障害?」
前回サリナが来ていたらしく、その時に自閉症と診断されたらしい。
先生は俺がハルの自閉症を初めて知ったことを知り、1から説明してくれた。
先生「これから先、どう成長するかはまだ分からないの。
でもね、これからもっとまらりの子達と差は離れて行くわよ。
それがどう言うことか、お父さんも理解していかないといけないわ」
途中から、先生の話しが耳に入ってこなかった。
先生「次は半年後ね。その時のハルちゃんの様子を見て、これからの進路を決めていきましょ」
佐々木先生「お父さん大丈夫ですか?元気だして下さい。」
検診が終わると、そう言って佐々木先生は保育園に戻っていった。
帰り、院のそばの公園でハルを遊ばせ、まだボーっとする頭を整理する為ベンチに座り込んだ。
何ヶ月ぶりだろう。辞めていた煙草で一服する。
ハルは楽しそうに滑り台で遊んでいる。
先生の言葉を思い出していた。
先生「ハルちゃんを叱ったり否定したりしちゃ絶対に駄目よ。
ハルちゃんはそれだけで傷つくの。」
俺は何度もハルを怒鳴ってきた。
初めて二人で過ごした夜も、カズエおばさんの家で悪戯したと思った時もだ。
ハルにはそれが何でか分かってないのにな。ただ傷つけただけ。きっと辛かっただろう。
不安でパニックになって辛いだけだから。」
先生の一言一言が胸に突き刺さる。
ずっとずっと連れ回してた。
その度泣いたり叫んだりしてたのを覚えている。
ハルのそ時の気持ちを少しでも気づいてやれなかった。
俺はハルにただ辛い想いばかりさせていたんだ。本当にグズだ。
俺は下を向き、頭の中で何度も何度も先生の言葉を思い出した。最低な父親だ。
どれだけハルを苦しめてきたかを考えると、胸が張り裂けそうだった。
「お父さん大丈夫ですか?」
誰かが優しく背中をさすってくれた。佐々木先生だ。
佐々木先生「やっぱり心配になって、戻ってきちゃいましたw」
優しい笑顔で俺に話しかけてくれた。
するとハルが近づいてきた。
ハル「パッパー、イタイの?」
俺の事心配してくれてるのかな。その純粋な瞳に心は打ち砕かれた。
俺はボロボロ涙を流した。人前なのに恥ずかしさなんてぶっ飛んでた。
俺「ハルーごめんな。パパ最低だなー。」
俺はハルを強く抱きしめる。
俺「俺のせいなんす。俺が全部悪いんす」
俺はただただ泣いた。叫んで。
何もかも俺のせいなんだ。ハルがこうなったのも、ハルが辛い想いしてきたことも。
これからだってそうだ。
大きくなって自分がまわりと違うことに気づいた時に、きっとハルは傷つく。
俺がグズでロクなやつじゃないから、ハルがこうなってしまったと思ったんだ。
ハルがあまりにも可哀想じゃないか…
その時は、自分への怒りとか後悔とかで泣くしかなかったんだよ。
先生は何も言わず、落ち着くまでずっと背中をさすってくれていた。
ハルは俺の横にちょこんと座り頭をヨシヨシしてくれていた。
ようやく落ちついた。泣きすぎたってのもあるけど、何だか少しスッキリしてた。
佐々木先生「いいえ。男の人がこんなに泣くの見るの初めてかもですw
ハルちゃんもだよねー?w」
ハル「ねーw」
佐々木先生「お父さんのせいじゃないですよ。先生も言ってたでしょ?
生まれ持った性格だって。それにハルちゃんにはお父さんしかいないんですよ。」
佐々木先生「わたし初めてお父さんと会った時、正直本当にお父さん?って思ったんですw
なんかチャラいなーって。
他の園児のパパって、雰囲気とか面構えとかでパパって分かるんですけどね。
お父さんは全然そう見えなかったです。」
佐々木先生「でも、今のお父さんはパパですよw
パパの顔してますw あの時のお父さんとは全然違う。見違えましたよ」
俺「ありがとうございます…」
佐々木先生「それにハルちゃんだってきっと幸せですよ。
お父さんが守ってくれてるから。
お迎えに来る時に見せる笑顔なんか、本当に幸せそうに見えます。」
佐々木先生「だから頑張りましょ。わたしも協力します。
ずっとハルちゃんが笑顔でいられるだけで十分じゃないですか?
ハルちゃんはハルちゃんです。今まで通り愛してあげたらいいじゃないですか?」
そう言われハルを見た。
ハルは大好きなラムネを頬張り満面の笑みだ。
また涙が零れた。
佐々木先生の言葉に救われた。ハルの笑顔に救われた。
先生が言ってたな、ハルちゃんを可哀想なんて思っちゃいけないって。
どんな障害があってもハルはハルだ。
俺はハルには俺みたいな大人になってほしくないと思っていた。
将来自分の夢を持って、それを叶えてほしいと考えていた。
でもそんな先のことどうだっていいじゃないか。
どんな未来でも、ハルがただ笑顔で過ごせれば。
今のこの笑顔を失わないために俺が頑張ればいいんだ。
今以上に愛情をそそげばいいんだ。
何があっても、絶対にこの笑顔を守ろう。そう誓った。
料理を始めた。
料理なんかしたことなかったけど、ハルの為にちゃんとした物を食べさせたかった。
サリナの親に会いに行き、 今までの事を含め謝罪しに行った。
最初はすぐ追い返されてたけどな。
何度も土下座した。許してくれるまで何度も通った。
ハルのおじいちゃんおばあちゃんなんだ。
少しずつだけど心を開いてもらえるようになった。
ハルが可愛くて仕方ないらしい。
和解とまではいかないが、これからはハルのために協力すると言ってくれた。
こればかりは誰も悪くないよな
毎日楽しみにしてます
1は本当におつかれさま!
変な時間に目が冷めちまったので続きを書いて行きます。
ハル「おたんじょーび?おたんじょーび?」
と言って喜んでいたハル。
クリスマスだけど、ハッピーバースデーの歌を唄ったのを覚えている。
すごい喜んでたよ。本当。
カズエおばさんは退院して元気そうだった。
ハル「こににちわ」
義母「こんにちわねw 上手ねーw」
ハルは元気に挨拶出来て誉められてた。
ずっと練習してたんだ。出来て良かった。
その際には佐々木先生が名乗り出てくれたらしく、担当が佐々木先生になった。
ハルも佐々木先生に懐いてたし、本当に良かった。で、感謝もした。
休みの日が合えば、佐々木先生の進めで発達障害などのサークルや集会に行くようになった。
色んな問題を抱えた親子さん達が集まり、情報交換をする。
本当に勉強になったし、勇気を貰えて支えにもなった。
ハルは4歳になった。
いつもと違う道を通ったり、自分のうまくいかないことがあれば
すぐ奇声をあげ発狂してたけど、抱きしめてあげて背中をトントン。
先生「ハルちゃんの中ではちゃんとした計画があるの。それを崩さないように。
コツコツゆっくりでいいのよ」
と児童精神科の先生。
ハルにはハルの中で強いこだわりがあるんだ。だからこだわりを否定してはいけない。
ハルの気持ちを尊重することが大切なんだ。
専門の本なんかを読んで勉強した。
ハルは耳で聞くより目で見たものを判断する。
だから絵のカードを作って教えてあげたんだ。
俺「電車だよ」
ハル「でんさー?」
俺「そうそうじゃこれはりんごね」
ハル「じんごー?」
俺「そうそう賢いねハルは。上手ーw」
ハル「じょずーw」
悪魔で真似してるだけだけど、それでもうんと褒めてあげるんだ。
ハルはすごく喜んで手をパチパチさせる。
最近は少しずつだけど俺の言葉にちゃんと反応し理解してくれ
ままならない口調で返事してくれるようになったんだ。すごい進歩だ。
毎週日曜日に行く、日課の散歩のおかげでもあった。
散歩に行くと子供達が良く集まる公園がある。
一緒に遊びたくて近づいてるんだけど
まわりのお父さんお母さんなんかが、気味悪がってわざとハルから遠ざけるんだ。
ただ仲良くしたいだけなんだよな。
少し悲しい気持ちになったけど、それは仕方のないことだと割り切った。
その時に、ハルと良く遊んでくれた女の子がいたんだ。
ハルより二つ上なんだけど、とてもしっかりしてた。
ハルは小さい子のマネをすぐするので、まいちゃんはすごく頼りになった。
まい「ハルちゃんまいと遊ぼうねw まいのお菓子半分あげるねー」
って。ハルもまいちゃんにすごく懐いてた。
我が子の成長を肌で感じながら、自分も成長出来てるみたいで。
1日1日を大切に過ごした。ハルにとってかけがえのない1日であるよう一生懸命に。
あっという間にハルは5歳になった。
そんなある日、事件は起きた。
今日は佐々木先生が風邪で休みってこともあり、臨時で別の先生がハルについていた。
先生「ハルちゃんお母さんが迎えに来ましたよ。」
1時間も前に帰ったとのこと。
サリナが?心拍数が上がる。俺はすぐ携帯で義母に連絡した。
サリナだと思う。連絡ありませんでしたか?」
半年前からサリナの携帯番号が変わっていた。そのせいでこちらから連絡は出来ない。
俺「すんません。助かります。俺も心あたりのある場所を探しますんで」
何故今。何故このタイミングなんだろう。俺はサリナが行きそうな場所を探した。
前住んでいたアパート。公園。スーパー。不安が募る。
最悪の状況が頭をよぎる。俺はその不安を振り祓うように探し続けた。
サリナがいなくなって2年が経つ。
ハルを返してくれ。
そして、サリナに会ってもう一度話したい。
サリナも人の親なんだ。
ハルを置いていなくったとは言え、こうしてまた会いにきた。きっと思うところもある。
複雑な気持ちが入り交じる中、俺は駅やショッピングモールなんかを虱潰しに探した。
いつかこんな日がくるかも。そう心の中で少しは思ってたじゃないか。
でもこんなに早くその日がくるなんて。
サリナ「ハルが大きくなったら、また3人でこようね?w」
昔のサリナの言葉を思い出した。
時間が経ちすぎてあたりは暗くなっていた。
最後の希望はそこしかない。と、そう思い夢中で走った。
汗だくで酸欠状態だ。
ギィーコ…ギィーコ。
「キャハハハハw キャハハハハw」
ハルの笑い声が聞こえる。
街灯に照らされた二人の姿を見つけた。ブランコに乗るハル。
それを押していたのはサリナだ。
ゆっくりと近づく俺。
サリナ「久しぶり。」
そこには優しい笑顔でハルと遊ぶお母親の姿があった。
俺に気付いたサリナはすごく冷静だった。
俺「ハァ…もう…会えないかと思った…ハァ
ハルにも…お前にも…ハァハァ」
サリナ「ハル、随分大きくなったね。本当に大きくなった。」
サリナはハルの頭を撫でながら俺とは目を合わせない。
ハルが俺に気付いて笑顔で走り寄ってきた。
俺は、またハルをこの手で抱きしめれた事に少し安心した。
俺「ずっと…ずっと待ってた…
お前ともう一度会って話したかった…あの日記ですごく救われたんだ…」
佐々木先生からサリナが毎日日記をつけていた事を教えてもらった。
俺は前のアパートにそれを取りに行ったんだ。
家財は全てなくなっていたんだけど、大家さんが処分に困っていたと
日記や母子手帳なんかを入れた箱をとっておいてくれたんだ。
そこには、俺の知らないハルの成長と、サリナの気持ちがたくさん書かれていた。
ハルが離乳食を食べた日。
ハイハイからつかまり立ちをした日。
健康診断にひっかかた日。
自閉症の疑いがあると告げられた日。
俺が会社をクビになったこと。
俺が帰らなくてなったこと。
連絡すらとれなくなったことまで全部だ。
そこには優しくてたくましい、ただ息子を愛する母親の姿を感じた。
なのにだ。なのに何故ハルを置いていったのか。
ずっと疑問だった。
後書く必要はないかもなんだけど
ハルは道路の白線をずっと睨み付け行き来したり、戸を開け閉めするのが好きだったよ。
電気を付けたり消したりね。
後はつま先だけで走ったり気になった物があれば、ずっとそれとにらめっこしてたり。
こだわりの強い子だったのに俺がその時は気づかなかった。
それが普通の子供だと思ってたし。
結構クセはあったけどそこは端折らしてもらったよ。
最初は思い出したかったのと整理したかったってので書き始めたんだよ。
後誰かに聞いて欲しかったってのもある。
今はこうやって見てくれて共感してくれる人もいて、また親になってる人も見てくれてて。
本当に感謝。
だから最後まで書こうと思ってる。
多少美化してるところは否定しない。
後は実話かどうかってのは個人で判断してくれ。
続き楽しみにしてるよ
今日書きため分投下します。用事済ませてからになるけどまた来ます。
サリナ「よく分かったね。ここにいるって。」
俺「あー…勘だよ。もしかしたらって…」
来ると思ってここで待っていたんだろう。ここが最後だ。本当に来て良かった。
サリナ「ごめんね。勝手なことして。心配したよね?本当にごめん。」
俺「いいよ。元気だったか…」
言葉が詰まる。
今は何処に住んでいるのか。他に男ができたのか。
聞きたい事は山ほどあった。
でも、それを言葉にすることが出来なかった。
何故なら俺自身、ずっと自由にやりたい放題してきたんだ。今更サリナを責める資格はない。
ただこうして目の前にいる。それが何故か嬉しかった。
サリナが出ていって、ハルを一人で育てて。初めて子育ての大変さを理解した。
毎晩思うんだ。一人でハルを育て、サリナはきっと不安でしかたなかっただろうなって。
辛い想いをさせたこと、申し訳ないと思ってる。本当にすまん…」
ハルを連れて行かなかったのは、わたしの身勝手だから…」
俺「なぁ…」
もう一度戻って一緒に暮らそう。ハルのために、俺達家族のために。
そう言いたかった。でも、言い出せなかった。。。
俺の続きの言葉を待つサリナ。一瞬時が止まったように、ただ無言が続く。
わたし出ていってすぐ、ハルを置いてきたこと後悔したの。だからね…」
言葉を止めるサリナ。
この後何を言われるのか分かっている。
この先は聞きたくない。頼む。言わないでくれ。
サリナ「だから、ハルを返してほしいの…勝手だって分かってる。
でも、わたしにはハルが必要なの…」
と言って後ろからハルを抱きしめた。
サリナ「お願い…お願い…」
昔の俺なら即答でOKしたと思う。その時の俺には子育てなんて無理だったからな。
俺「すまん…」
それしか言えなかった。俺は自分の行いを後悔している。勝手きままをしてきたんだ。
どの口で
「駄目だ。今更現れてふざけたことぬかしてんじゃねー。」
なんて言えるワケがない。
そんな気持ちサリナにはこれっぽちもないはずなのに。当然だよ。
サリナ「今ならハルと二人でもやっていけるから…
本当に今日までありがとう。ハルを面倒見てくれて…」
サリナの言葉には、そんな決意や重みが感じ取られた。
それにサリナを見つめるハルの眼差しは、ようやく母親と会えた嬉しさが滲み出ていた。
その瞳は決してサリナのことを忘れていない。
だいたい、ハルには理解できる状況じゃない。親の身勝手だ。
なにより、子供にとって母親がいないことが、どれだけ辛いかを
俺自身よく理解しているつもりだ。ハルにそんな想いはさせたくないよな。
そう思った。
サリナ「うん…」
俺「日曜日は…弁当持って、散歩してあげてくれ…日課だから…」
サリナ「うん…」
俺「寝る時泣いたら…ゆりかごの歌唄って、トントンしてあげてくれ…ぐっすり眠るんだよ」
サリナ「うん…」
強がるしかなかった。
どれだけ2年間頑張っても、家族を無視し続けたと言う事実は変わらない。
どんだけ努力しても。そう簡単に溝が埋まるはずがないんだ。
俺「後親父さん達、すげー心配してたから。連絡は入れた方がいい…」
サリナ「うん…」
そう言うとサリナが携帯を取り出した。
母親に電話をしたようだ。
サリナ「分かってる…本当にごめんなさい。今俺君とハルも一緒…うん…分かってる。」
電話を切ると俺の方を見た。
また色んな手続きとかもあるし、ハルの荷物もあるし。また連絡します…」
そう言ってハルの手を握り、後ろを向いた。
その背中を見て、心臓がギュッと押し潰されそうで、胸が苦しくなる。
これでいいんだ。これで。ハルの幸せが一番なんだから。
ハルは何度も振り返って俺を見た。
本当にこれでいいのか?
俺は大声で呼び止めた。
サリナが振り向く。
俺「遅いし…泊まってけよ…」
サリナはハルの表情を伺った。
サリナが家に来ることになった。
もう少し。もう少しだけでいいんだ。ハルのそばにいたい。
俺「あーうん。今すぐなんか作るからくつろいどいて。」
俺は冷蔵庫の中のもので適当に作った。なんだか緊張する。いつもハルと二人だったから。
俺「それ、ハルのお気に入りのおもちゃなんだ。持っていってあげてくれw」
空元気って言うのかな?俺は無理して笑顔を作った。
今日はずっと笑顔でいるんだ。絶対悲しい顔をしないと決めた。
ハルに気づかれないように、お別れしたかったんだ。
俺「さー食べよ。腹減ってるだろ?」
サリナ「いただきます」
そう言って味噌汁を一口飲んだ。
サリナ「おいしい。」
サリナがビックリした表情で俺を見た。
俺「そうかw 良かったw」
俺「そりゃコンビニ弁当ばっかじゃ体に悪いだろw
最初は苦労したんだ。ハルも全然食べてくれなかったしなw 食えたもんじゃなかったよw」
サリナ「そっか。すごいね。ハルもすごく賢くなったし。俺君頑張ってくれたんだね。」
ハルはピーマンをフォークでよけている。
俺「ハル。ピーマン食べないと大きくならないよ。ずっと小ささいままだぞ」
ハル「ちいさい。やー」
サリナ「俺君。本当にパパみたいだねw」
サリナが笑って俺を見た。
サリナの笑顔。今日始めて見たような気がする。いや、ずっと見てなかったな。
こうやって家族三人で食卓を囲むのは初めてだ。だけど、これが最初で最後なんだ。
全然眠れる気がしなかった。ハルと過ごした1日1日を思い返していた。
ハルの寝顔を見るとまた泣きそうだ。
サリナ「寝れないの?」
背中を向けたサリナが言った。もう寝たと思っていた。
俺「すまん…」
何で謝ってんだ俺は。
ハルのこと本当に理解してるみたいだし。ハルもすごくパパに懐いて。パパっ子だね」
俺「そりゃずっと一緒だったからなw
それにハルのおかげで、少しだけど成長できたんだよ俺も。
良い父親じゃなかっただろうけど。」
子供ってすげーよな。
どんな辛いことがあってもさ、その笑顔を見るだけで、よし頑張ろって思えるんだよ。
子供の成長だけじゃない。それで親も成長していくんだなw」
ハルが初めてパパって呼んでくれた日。俺は変わろうと思った。
ハルが自閉だと分かった時、父親としての自覚が出来た。本当にハルのおかげなんだ。
俺が帰らなかった頃のハルの話。
サリナが出て行ってからの俺とハルの話。
サリナが出て行った理由。
今は地方の友達のところで介護の仕事をしていると言ってた。
初めてサリナと向き合って話したような気がする。本当に何もかもが遅すぎたと後悔した。
何もかもから逃げ出したくなって…気づいたら電車に乗ってた…」
サリナは何度もハルに会いに保育園まで来ていたらしい。
何度か顔を見たけど、足が竦んでそばにいけなかったと言っていた。
2年間ハルも頑張ったし、サリナも頑張ったんだ。ハルを大事にしてくれな。
こんな俺が言うのもなんだけど。」
サリナ「ありがとう…でも俺君はそれでいいの…?」
それでもハルの幸せはサリナと暮らすことなんだと自分に言い聞かせた。
俺「ハルにはママが必要だよ。俺は大丈夫だ。
ハルにまた会いにいくし…何か困ったことがあったらいつでも頼ってくれたらいい…」
サリナ「ありがとう…ごめんね…」
その言葉がすごく心に響いた。
辛くてしかたなかった。
サリナは泣いているのか背中が震えていた。
ハッと目が覚める。いつの間にか眠ってしまったらしい。
まわりを見渡す。布団が畳まれていた。
どうやら俺が眠っている間に出ていったらしい。
俺「はぁ…」
ため息と共に全身の力が抜けた。
えっ?ハルの声。
驚いて振り向くと、俺のそばでハルが目を擦っている。
俺「ママは?」
ハル「しなない…」
中には手紙があった。そして判のついた離婚届。
顔も洗わずそのまま手紙に目を通した。
朝早いけど始発があるので、起こさないでそのまま出ます。
おじゃましました。御飯おいしかった。ご馳走さま。
ハルは置いていくね。夜中に起き上がって、俺君にくっついていったの。
俺君のそばじゃなきゃ安心して眠れないのかな。
ハルは俺君が本当に大好きみたい。そんなハルの気持ち無視できないよ。
今さらだけど、もし今の俺君となら幸せになれたかもね。
わたし本当に最低な妻で母親でした。許して下さい。
本当に勝手ばかり言ってごめんなさい。もう少し落ち着いたら必ず連絡します。
ハル 一度もママって言ってくれなかったな。
当然なんだけど、すごく寂しく感じた。
これから大変かもだけど、どうかハルをよろしくお願いします。
サリナ」
俺「ハル。ママ好きか?」
ハル「しゅきー」
俺「そっか。ママまた会いにくるからな。それまでおりこうにしてような。」
ハル「ハルおりこーよw」
俺「うん」
もし、もう一度一緒に住もうと言っていたら、違う結果になってたのかな。
こうしてまた、父親としての生活が始まる。それが嬉しくて仕方なかった。
ずっと前は、家族なんかで俺の人生犠牲にしてたまるかって思ったりしたこともあった。
でもさ、誰かの為に生きるって大事だよな。
家族がいる。守るモノがある。それだけで幸せなんだ。
続きはまだあるんだけど、スレも後少しなんで簡潔に書くべきならそうします。
とりあえずみんな本当にありがとう。こんな時間まで付き合ってくれて。
サリナとのことはまだこれで終わってないんだ。後次スレは考えてなかったw
ダラダラでいいなら、まだ書きます。
とりあえずグダグダになってきて申し訳ないが、続き書きます。
「見つけたぞ。お前が探してるやつ。」
仕事中にツレからの電話だ。サリナとの事があって数週間が経った。
あれから俺は人を探してた。
ツレ「ホストは辞めて、○○ってBARでバーテンしてんだと。」
俺「そっか。分かった。ありがとう。」
電話を切るとすぐ保育園に連絡した。用事で遅れるって。
仕事が終わると、その足で電車に乗り込み繁華街へと向かった。
毎晩クラブに行ってはナンパばかりしてた。その時もツレと二人でナンパしてた。
俺「ここ初めて?」
女「うんw」
ツレ(洋介)「良かったら、俺ここのオーナー顔きくからVIPいかない?おごるよw」
ちょうど良さそうな女二人をタゲにした。
きつい酒飲まして、いい感じになったらカラオケかホテルに誘う。お決まりのパターン。
俺「ねぇ、2人きりになれるとこいかね?」
女A「いいよーw」
俺「俺ら今から外出るけど、洋ちゃんはどうする?」
洋介「じゃ俺らも行くか?」
女B「うんw」
そう言って出ようとしたとこでギャル男三人組に止められた。どうやらホストらしい。
俺にわざと体をぶつけてきた。カチンときたけどとりあえず我慢。
俺「ん?そうだけど何か?」
ホスト2「ユミって女知ってんだろ?」
ユミ?ユミ?んー知らない。
俺「いや知らね。」
俺「ユミって女知ってる?」
覚えがないので洋介に聞いた。
ツレ「あーたしか先週ナンパした女じゃね?たしかユミとかって…
確か趣味ホストとか言ってたよなw」
俺「そんなのいたかなwごめん。毎日ナンパしてるから忘れたわ。そのユミって女が何?」
リョウ「おいカスが調子のんなよ。人の女に手出しやがって。どう責任とんだ?あっ?」
他の2人のホストはそれを見てニヤけてる。
俺「でもあの女彼氏いねーって言ってたなw」
リョウ「ぶっ殺す」
俺の胸ぐらを掴むホスト。
リョウ「頭ワリーの?なんなら恐い人呼ぼうか?」
ナンパしてたら、こんなトラブルはしょっちゅうだ。
だから一応、毎回彼氏持ちかどうか確認するんだけど。
まあナンパに付いてくるような女は、たいがいいないって言うのは当たり前か。
とりあえず女置いてツレとホスト3人と一緒に、表に出たわけだ。
一番粋がってた、リョウってホストは鼻の骨が変な方向に曲がって、血反吐吐いてた。
泣いて許してくれって言ってたけど
やる時はとことんやる性格だったから歯止めが利かなかった。
氏んだんじゃないか?ってとこでようやくブレーキがかかった。
覚えてないけど。
ツレ「ウホッ。こいつ財布に10万入ってる。手が痛てーし、慰謝料代わりにもらっとくかw」
当然のようにその報いを受けた。ただし不幸はサリナに降りかかった。
サリナが泊まったあの日、言ってたんだ。
リョウはすごい怪我をしてたらしい。
俺にやられたから慰謝料払え。払わないなら刑事事件にすると言われたそうだ。
夜中に何度もしつこく家に来たらしい。
渋々契約書にサインしたらしい。
毎月10万の支払いはきつかった。
俺とは連絡つかないし、貯金も底をついてた。パートだけじゃたかが知れてる。
家賃も払えず支払いに追われ、とうとう精神的に限界がきた。
そして現実から逃げてしまったとサリナが言ってた。
何より俺を裏切ってしまった自分が許せないと。もう母親でいられないと思ったらしい。
結局サリナを追い詰めたのは俺なんだよな。
俺はクズすぎだ。本当。
分かってたことだけど、結局サリナが出て行ったのは全て俺が悪いんだよ。
【close】の表札がぶら下がっている。どうやらまだ店は閉まってるらしい。
一つの覚悟をしてリョウに会いにきたんだ。ずっと自分の行いを後悔してきたんだよ。
そして今回も。
リョウ「すんません。もうすぐ店開けますんで。」
俺はすぐ気づいたけど向こうは気づいてない様子だ。
俺「いや、客じゃないんすよ。リョウさんすよね?ホストやってた」
リョウ「あーそうだけど。リョウは源氏名で本名は違うっすよ。あんた誰?」
ハッとした顔をした。どうやら思い出したようだ。
リョウ「な、何だよ。今さら?け、警察呼ぶぞ。コラッ」
リョウの顔色が変わり動揺を見せる。
俺は息を飲み目をつぶった。
リョウ「わ、忘れるわけねーだろ。何だよ今さら。」
俺「どうもすいませんでしたー」
俺は土下座し頭を床につけた。
でも、本当に本当にすいませんでしたー」
俺は大声で謝った。何を今更って感じだけどな。
それがリョウに火をつけたのは言うまでもない。
目の上を切ったのか血がタラタラと床に滴り落ちる。
俺「すいませんでしたー」
俺はすぐに姿勢を戻して謝った。
リョウ「っざけんな。このカス」
今度は蹴りだ。
それでも姿勢を戻して謝った。
リョウ「おいお前の嫁バカだよなw きっちり100万払ってよ。
かも追加で50万請求したら、もう金がねーって言うから、仕方なく体で払ってもらったわw
子供産んだ割に色っぽい体してたわw」
いつもの俺だったら、我慢せずに反撃してた。でも歯を食いしばった。
サリナはそれを裏切ったと後悔してたんだ。責任は全て俺にあるんだ。
リョウ「ハア。ハア。バカかお前。ハアハア」
俺「すい…ません…でした…」
口の中を切ってうまく喋れない。
リョウ「チッきめー。もういいよ。ウゼーッ。その面二度と見せんな。」
俺は気を失いそうだったけど、どうにか持ちこたえて壁にもたれて座り込んだ。
何故わざわざこんなことしたかって。自分への戒め。
そして誠心誠意リョウに謝りたかった。
ただの偽善だとか、自分に酔ってるだとか言われるかもしれないけど。
それでも俺はきちんと謝りたかったんだ。
何よりサリナはもっと辛かったんだよ。
ダッサ。そんな父親嫌だよな。
これから先、もしハルが誰かを傷つけたとして。
俺はどんな顔でハルを叱ればいいのか。こんな俺がハルに何て教えたらいいんだ。
怪我をさせて謝らない親が、息子に謝れなんか言えるか?
こうでもしないと、俺自身納得がいかなかったんだ。
これが良かったと言うわけじゃないんだけど。
それでも、俺は誇りを持って息子にいけないことはいけないって言いたい。
少しでも良い父親になりたかった。
保育園からの電話でハルの迎えを思い出した。
俺はタクシーに乗り込んで急いで保育園に向かった。
まあ体が痛くてゆっくりだったけど。
ボロボロな俺の姿を見て、運転手さんがすごく心配してたのを覚えている。
ハル「パパーw おかえりー」
ハルがよってきた。
俺「おそくなって…ごめんな…」
佐々木先生「キャッ。どうしたんですか?その怪我…」
すぐに近くの病院で手当てをしてもらった。
結構痛い所だらけだったけど、体だけは丈夫だったんだよな俺。
佐々木先生「どこが大したことないんですか?大怪我じゃないですか?」
俺「すいません…面目ない…」
ハル「パパー、イタいの?イタいの?」
ハルが心配そうに俺を見る。
そう言ってハルの頭を撫でた。
佐々木先生「いったいどうしたんです?転んでこんな怪我…ありえないです」
俺は佐々木先生に簡単にだけど理由を説明した。
佐々木先生が深く溜め息をついた。
俺「本当にすいません。」
佐々木先生「駄目ですよ。許せません。
喧嘩なんて信じられない。大の大人が。
もしもお父さんに何かあったら、ハルちゃんはどうなるんですか?
ハルちゃんのこともっと考えてあげて下さい。」
佐々木「お父さん?昔にどれだけ間違いを犯しても関係ないです。
父親なんだからハルちゃんが間違ってたら、きちんと注意すればいいんですよ。
それが親なんだし、誰だって子供には正しく生きてほしいと思うのは当然なんですから。
お父さんが間違いに気づいたってだけで十分じゃないですか?」
佐々木先生「父親なら、過去にどんな悪いことしてきても。
子供のためなら手本になれるでしょ。大事なのは今ですよ。」
俺「はい」
正論だ。
佐々木「よろしーw もう絶対にこんなことしないって
ハルちゃんにもわたしにも約束して下さい。」
俺「はい。約束します。」
佐々木「明日はわたしが朝ハルちゃん迎えに行きますから。
ちゃんと体を休めて下さいね。」
でもこうやって、真剣に間違いを正してくれる人がいるってことは俺には大切なんだ。
彼女の言葉はハルのためなんだ。本当に勉強になった。
まだまだ父親としては未完成だと実感させられた。
おつかれ
次投下はじめたらスレたてるよ