134:1 ◆WRZgIaOVGE @\(^o^)/ 2014/04/29(火) 02:19:29.98 ID:vUl2AkCi0.net
俺もかすみもおにぎり2つとお茶を買った
車で走りながら食べることにして、とりあえずおにぎりを開封しようと試みる
かすみ「開けましょうか?」
俺「え?あ、ごめん、お願いしていいかな」
かすみ「・・・(ゴソゴソ)はい!どうぞ」
俺「ありがとー」
俺「(お茶お茶・・と」
かすみ「はい!」
かすみがお茶の蓋を開けて持っててくれた
俺「なんかずっと思ってたけど、すごい気が利くよね」
俺がお茶を置こうとすると、当たり前のようにお茶を受け取ってドリンクホルダーに置くかすみ
かすみ「いえ、なんか・・・お世話になってばっかりなのでこれくらいしないとw」
このことだけで気が利くと言った訳じゃないけど、自然に相手のこと考えて動ける人なんだなって思った
道中、秋田の大森山動物園という所がある
ちょうど開園してすぐくらいの9時頃に到着
ゴールデンウィークとはいえ、まだ朝早いのでお客さんは疎ら
入り口の横に立て看板があり、工事のお知らせと書かれていた
どうやら今年の夏くらいに正面ゲートが新しくなるらしい
たぶんまた来る
面白かったのが、遊具と動物観察が一緒に出来るようになっている場所があったこと
これは他の動物園ではあまり見たことがなかったので新鮮だった
いつもなら一人で来る動物園や水族館だけど、もし一人で来てたらこの遊具には入り込まなかったと思う
かすみと一緒になんかデート気分でめっちゃ楽しめた
人も少ないから人目も気にすることなくはしゃぎまわった
はしゃぎまわった記憶しかなくて、それ以外はほとんど覚えてない
水族館もそうだけど、そういうこと行くとつい夢中になっちゃうんだよね
だからもしかしたらかすみはつまらなかったかもしれないと後で反省はした
動物園には4時間程滞在し、ライオン、トラ、キリン、ゾウ等メジャーな動物たちを眺めたあとにレストランに行く
その頃には人も増えていて、時間も昼時なのでレストランもなかなかの混みっぷりだった
レストランで食事を済ませて、駐車場に戻ったら14時に近くなっていたと思う
いや何もない訳ではないんだ
寄りたかったところは海沿いにはなく、少し内陸に入らなければならなかった
そこに寄ると俺の連休の都合上ちょっと厳しくなりそうなので今回は諦めた
そのまま新潟の海沿いを走ると、正にすぐ横に海を眺めて走る、日本海夕日ラインというルートに入る
ちょうど夕方に差し掛かっていたところだったので、どこか停まれる所を探した
この道沿いには多くの海岸があり、特に苦労することもなく車を停めることができた
時期が時期なので人は全然いなくて、天気も良かったので日本海に沈む夕日を眺めることが出来た
砂浜の入り口にあたる幅の広い階段・・・というか砂浜とほぼ同じ幅くらいの階段に2人で座り、日が沈むのを待った
俺「そうだねー、俺もこうやってちゃんと夕日見たの初めてかも」
かすみ「なんか・・・ほんとにありがとうございます」
俺「いやいやほんとにこちらこそだって。ついて来てくれてありがとう」
お互いを見ることなく、夕日を眺めながら話していたんだけど、ふとかすみを見ると少し泣いていた
俺「え、どうした・・・?」
かすみ「・・・すいません」
俺「・・・・・」
正直どうしたらいいか分からなくて、なんで泣いてるかも全然分からなくて、なんて声をかければいいか分からなくて
少し思考が停止した
一人旅に出たけど、想像以上に寂しくなってしまったこと
帰りに誘ってくれたこと
最初は俺についていくのが不安だったこと
今は本当に楽しくて、来て良かったと思っていること
ゆっくりだけど、色々なことを話してくれた
俺は黙ってそれを聞いているだけだった
少し寒くなってきたので、2人とも無言のまま車に戻った
かすみ「すいませんでした、なんか・・・」
俺「ううん、大丈夫?」
かすみ「はい、もう大丈夫です!」
俺「んー・・・うまく言えないけどさ・・・」
俺「なんか・・・話してくれてありがと」
かすみ「・・・ううん、こちらこそ、ありがとうございます」
俺「じゃ、行きますか!」
ここも海沿いの駐車場は多くありそうだったので、特になにも考えずに車を走らせる
かすみ「・・・今日も車に泊まるんですか?」
俺「そうだね、そろそろ停まろっか」
かすみ「疲れてないですか?ずっと車で・・・」
俺「んー、まぁ・・疲れてないと言えば嘘になる・・・かな」
大丈夫って言ってもかすみには何か見透かされてる気がしたので正直に白状する
かすみ「今日はちゃんとしたとこ泊まりませんか?」
俺「うーん、もう時間も遅いし、見つかるかな?」
かすみ「少し街に行ってみません?」
俺「探すだけ探してみよっか」
今思えば、これはかすみが勇気を出して言った一言だったようだ
本来は俺が言うべき言葉だったのかもしれない
大きな道を走っていると、左側にホテルのようなものが見えてきた
かすみ「あそこは?」
俺「あ、ホテルかも。行ってみようか」
ここまで何も気付かないのはDTであるが所以であろうか
本当に全く何も考えていなかった
考えていたことと言えば、もしかしてかすみは車で寝るのが嫌だったから宿泊施設を探してるのかなとか
それもあってとにかく泊まれる所をすぐにでも探したい気持ちだったんだ
駐車場に車を停め、入り口から中に入るとようやく気付く
入って左側に大きな明るい部屋の写真?パネルがあり、右側に受付がある
先輩諸君はもうお気付きだろう
かすみ「・・・いいですよ、もう夜遅いし、横になるならどこでも一緒です」
俺「!!?」
俺「いや、でもここって・・・」
ポチッ
かすみ「・・・大丈夫ですよ、俺さんならw」
そう言って先にボタンを押しちゃうかすみ
これはどっちなんだ
どういうことなんだ先輩諸君
俺とならそうなってもいい?俺が手を出すようなことはない?
どっちだ
俺は今の状況に付いていけず、平静を装いつつもパニックになりながら部屋のすっごい隅っこに荷物を置く
かすみ「先にお風呂入っていいですか?」
俺「あ、どうぞどうぞ・・・」
そう言ってかすみは荷物を持って風呂に向かった
一方、俺は古畑任三郎さながらに部屋をうろうろして纏まることのない考えをひたすらに巡らせていた
どういうことだ?
どうすればいい?
何でこうなった?
どういうつもりなんだ?
全く結論は出なかったが、少し落ち着いてベッドに腰掛ける
何故か少し震えてきた
下はスウェットで、上はTシャツという形
かすみ「お風呂、広いですよw」
俺「あ、あぁ・・・え?」
かすみ「え?」
俺「あ、じゃ俺も入ろっかな・・・」
俺氏、落ち着いた頭が完全にパニック
何を言ったのかあまり覚えてない
風呂に入るとまた落ち着いてくる
シャワーを頭から被りながら、修行僧の滝行のようにして頭を冷やす
俺が気にしすぎなだけなんだろうか
かすみは普通にただ寝るだけのつもりでここに来たのだろうか
どれだけ考えても答えは出ず、同じ問答を頭の中で繰返す
でも考えていると少し落ち着く
いくつか考えも出たけど、俺が辿り着いた答えはこれだった
(たぶん寝るだけのつもりだな)
(車の中でも隣で寝たし、場所が変わっただけのことだ)
(いつも通りでいいか)
(よし、そうしよう)
半ば強引にこの答えを出し、俺は完全に落ち着いた
ただ寝る場所が変わっただけのこと
そう考えれば随分と気が楽になった
まぁ、今思えばいつもこうやって逃げるように考えているからDTのままなんだろうな
俺「明日どこか行きたいとこある?」
かすみ「あ、私はもう・・・何があるのか分からないんで、お任せします」
俺「そっか、俺も特に気になるところはないからそのまま帰ろっか」
かすみ「分かりました、じゃ明日が最後ですねー」
俺「うん、ありがと、ほんとに楽しかったよ」
かすみ「ううん、なんか・・・こちらこそ色々ありがとうございました」
そんな感じで話しながら俺はベッドに腰掛け、かすみもベッドの方に来る
俺「じゃ、そろそろ寝よっか」
かすみ「はい」
電気を消して、お互いにベッドに入る
さっきかすみが言った、明日が最後って言葉
それが少し心に残っていた
明日が最後か・・・
そう思うと急に不安と言うか寂しさと言うか
もうお別れなんだなって思うとなかなか寝れなかった
ずっと上を向いて寝ようとしてたけど、体勢を変えようと横を向く
するとかすみもこちらを向いていた
かすみもまだ寝ていなくて、お互い向かい合わせになった
俺「んー、なんかねw 明日が最後かって思うと色々思い出しちゃって」
かすみ「うん。すごっく楽しかった」
俺「・・・・・」
かすみ「・・・・・」
やっぱり可愛いな
もう頭の中はかすみとの思い出でいっぱいだった
たった数日だけど、ずっと一緒にいた
人生の中で見れば本当に短い間だけど、すごく充実して、幸せな時間を過ごせた
正直、帰りたくない
そう思ったら、つい言ってしまったんだ
俺「・・・好きなんだよなぁ」
つい思ったことが口に出てしまっていた
焦ったね
焦ったよ
俺「あ、いや、うん。え?」
かすみ「・・・・・」
俺「・・・・・」
かすみ「聞こえなかったよ」
俺「あ、じゃいいんだw」
かすみ「もう一回」
俺「え?」
かすみ「聞こえなかったからもう一回言って・・・」
俺「いや・・・」
かすみ「もう一回」
俺「・・・・・」
かすみ「・・・・・」
俺「・・・好き、みたいなんだよね」
かすみ「・・・・・」
俺「かすみちゃんのことが」
かすみ「・・・・・」
俺「会ってから全然経ってないけどさ。何ていうか、帰りたくないって思ったんだ」
俺「だから・・・付き合って欲しい」
かすみは何も言わず、黙って聞いていた
時が止まったかのように沈黙が続く
俺の中では時間が停止していたので正確な時間は分からないが、恐らく数分?いや数十秒?か経った頃
かすみがゆっくりと口を開き始める
かすみ「・・・私も」
かすみ「私も」
俺「・・・・・?」
俺はさっき自分が何を言ったのか忘れていた
かすみ「私も、好き・・・かも」
俺「え、あぁ・・・そっか。・・・え!?」
かすみ「確かに知り合ってそんなに経ってないけど」
かすみ「私もなんか・・・そう思う。好き」
そこからかすみは何かを言っていたが、全く聞こえてこなかった
何を言ってるのか聞こえない
分からない、聞き取れない
ここは本当に分からないんだ、ごめん
ボーっとしていて、何も考えていなかった
後から聞くと、なんでかすみが俺のことを好きだと思ったのかとか
俺のどういうところが好きになったとか
自分もこのまま終わりたくなかったこととか話してくれてたみたい
混乱して聞こえてなかったって言っても残念ながら詳しく内容は教えてはくれなかった
かすみ「ねぇ・・・。ねぇってば!」
俺「・・・え?」
俺「あ、うん、え?」
かすみ「よろしくお願いします」
俺「・・・え?」
かすみ「だから!よろしくお願いしますってばw」
俺「・・・・・」
かすみ「・・・・・」
俺「ん?」
かすみ「もう一回言う?w」
俺「いや・・・え?」
かすみ「もう!w 私も好きだから、よろしくお願いしますw」
俺「あぁ・・・うん、え?俺?」
かすみ「ふふっ」
俺「あ、俺、うん。え?付き・・・合う?」
かすみ「うん、よろしくお願いします」
俺「あ、うん。え?」
俺「彼氏?」
かすみ「うん」
俺「彼女?」
かすみ「うん」
俺「付き合う?」
かすみ「うん」
俺「・・・マジか」
かすみ「うん」
俺「ほんとに!?」
かすみ「ふふっ、うんw」
俺氏、長すぎるパニックを経て、ようやく理解する
かすみ「ふふっ」
俺「何かこんなとこで・・・こんな格好でごめんね」
かすみ「ムードも何もないよねw」
俺「ははっ・・・(苦笑い」
かすみ「・・・・・」
俺「・・・・・」
どちらからともなく、顔を近付ける
ちゅ
俺「・・・・・」
かすみ「・・・・・」
ちゅ
唇が触れるだけの長めのキス
ここからは正直あまり覚えていない
この後はお互いを抱き寄せ、随分長いことキスをしていたと思う
結果から言えば、俺はこの日からDTではなくなった
かすみはこっちを見ていて、先に目が覚めていたようだった
寝起きでいきなり人が現れたので、俺はちょっとびっくりしちゃった
俺「ん、おぉ・・・!」
かすみ「ふふっ、おはよ」
俺「あ、おはよう」
かすみ「・・・・・」
俺「ん?どしたの?」
かすみ「ううん、寝顔見てたw」
俺「いやもう・・・いいよーw」
やめてくれよー的な感じで俺はガバッと起き上がる
かすみ「あっ」
俺「あ、ごめん」
俺はまた横になり、天井を見つめる
昨日のことが夢じゃなかったんだと改めて思い知る
またお互いに見つめ合い、かすみは俺の肩に頭を乗せるようにしてくっついてくる
俺はそのままかすみの頭を抱き、しばらくその姿勢のままで時間が過ぎていく
この後、かすみとは別々で風呂に入った
何か今思えばここって一緒に入るとこだったんじゃないかなって思うけど、結局俺のヘタレ癖は抜けていなかった
精算を済ませ、車に戻る
俺「よし、行こっか」
かすみ「うん!」