「いいねえ、場所は○○だっけ」と言うと
「引っ越したの。今は××。詳しいことは会った時に話す」ということで
ケーキ持って新居にうかがった。
友達はテキパキシャキシャキした性格の美人で
ぐったりのんべんだらりの私と正反対。
数年前に結婚して、旦那さんの希望で専業主婦になって
そういう性格だから家の中もピッカピカで、料理も上手。
○○に住んでいたころは一戸建てだけど借家だったから
マイホームを買ったのね、お披露目ってわけねと思った。
友達が「待ってたよー!見て見て夢のマイホーム!」と部屋を案内してくれた。
寝室まで見せてくれたんだけど
高級ホテルの部屋みたいに機能的で清潔な寝室に、ベッドが一つしかない。
「あれ、旦那さんとは寝室は別なの?」と訊いてみると、友達はこともなげに
「あー、別れた別れた。それでふんだくった慰謝料で買ったのがここ」
「はいっ!?」
続きます。
旦那さんがフリンして、フリン相手と二人で泣き落されて……というもの。
ただし、友達は旦那さんの両親(友達からすると舅姑)から
「ぼんくら息子にしっかり者の美人嫁が来てくれた」と
とても気に入られていたので、破格の慰謝料を取れたらしい(金額は知らない)。
友達は離婚の手続きが終わって弁護士事務所を出て
電車に乗って自分の実家(もう○○の借家は引き払っていた)に帰る途中
電車の窓から、ある建物が見えた。
「その瞬間、ビビビッときたのよ!恋に落ちるみたいに!」
さらに続きます。
分譲マンションらしいと見当をつけ、周囲の不動産屋をあたって
空き部屋があることを知ると、すぐに案内してもらい、一見して
「思ったとおりの部屋だった!建物のつくりもよさそう!」と
その場で仮契約した。
ここまで、電車の窓からその建物が見えてから、2時間くらいしかたってない。
そして慰謝料が振り込まれると、そのままマンションの代金として支払った。
慰謝料が友達の口座に存在したのは、その1日だけ。
「だってあぶく銭じゃない。ぱっと使わなきゃ」と友達は言うけど
グズな私にはとても真似できないというか思いつかないから衝撃だった。
「さーて、さすがに慰謝料でマンションの代金全額は
カバーできなかったから、これからどんどん働かなきゃねえ」
友達は専業主婦の空白期間があったものの
じきに仕事を見つけて働きだした。
そして理由は知らないがフリン相手に逃げられたらしい元旦那が
私の家に電話かけてきて
「(友達)は今どこにいるの?(友達)の実家に訊いても教えてもらえないんだけど。
(私)さんが家に(友達)を隠してるんじゃない?」とほざいたので笑った。
終わりです。
金銭的な理由で離婚しない知人がいるからそういう潔い人の話はスッキリするわ
不動産購入は勇気いるけど、もし元旦那に場所がバレたりしても人に貸して引っ越す手もあるしどうとでもなる
バリバリ働いて幸せになってほしいわ