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:1 ◆gNlkpaXU7k2013/03/30(土) 01:31:11.52 ID:B2vOdpra0すると彼女からメール着信。
「今日はありがとうございました。とても楽しかったです。
また誘ってくださいね(はぁと)」
おいおい、一体どうなってるんだよ?
こうなったら行けるところまで進むしかないのか?
たとえ美人局トラップでも全力で掛かる覚悟を決めました。
この時の俺、非常に前のめりの前傾姿勢。転びそうなくらい。でも全力プッシュです。
ちょっとオシャレ系の居酒屋で軽く飲みながらの食事。
仕入れたネタで一生懸命に話を盛り上げようと涙ぐましい努力。
とりあえず食い物ネタが多かったですかね。
彼女が興味を示せば「今度、食べに行こうよ」と言えますから。姑息です。
盛り上げるための会話は頑張ったんですが、肝心のことが言えません。聞けません。
現在の彼氏とのことを聞きたくて仕方ないのに。
結局2軒目も行かずにあっさりと終わってしまいます。
ここで車でも高速1時間の距離が足かせに。
デートのお礼メールを送ってみたり、何気なくおやすみメールを送ってみたり
するんですけど反応ナシ。
そりゃ2回も続けてデートすれば彼氏にもバレるでしょうし、やっぱりダメかな
とか思うわけですわ。
所詮、間男。自分にそう言い聞かせてました。
そんな諦めモードの休日、俺は同期の披露宴に招待されてホテルへ。
正直、全然行きたくないんですがこれもつきあいなんで仕方なく参加。
何が悲しくて食べたくもない冷めた料理に3万も払わなきゃならんのでしょうね。
退屈なスピーチとつまらん余興が続く中、トイレに立ったついでにロビーで寛いでると
前方から見覚えのある顔……
なんと後輩さんが彼氏とその両親のような人と歩いてくるではないですか?!
ホテルスタッフが先導してることから、これは式場の下見というやつじゃないのか?
な ん だ と
その場をやり過ごそうと思ったんですけど無意識にズバッと勢いよく立ち上がって
しまいました。
一瞬にしてロビー中の注目を浴びる俺。当然、彼女と彼氏もこちらを見ます。
これはマズイ。
彼女たちの視線を感じますがそちらへ目を向けることなく一目散。
個室に入ってガクブルしながら声を上げないようにヒックヒックと泣きましたよ。
その後のことはよく憶えてません。抜け殻でしたから。
悶々とした日々を過ごしてたところにメール着信。
話がしたいと彼女から。
言い訳なんて聞きたくないし、結婚の報告なんて絶対に聞きたくない。
だから返信をせずに放置してたんです。
そしたら音声着信。これも無視しました。というか何を言われるのかと
考えると怖くて電話に出ることができませんでした。
LOVE LOVE LOVEが頭から離れんですたい
翌朝、またメール着信。
「あの公園で待ってます」
それだけのメッセージ。
日付も時間もなにも書いてない。いったいいつのことだよ?
また来年のホワイトデーにでも会おうとか言うんじゃないだろうな?
もし今日のことだったら平日で仕事あるし。
あなたはわたしの青春そのもの
まさに…そのままやんかいさ
朝から普通に仕事をするわけですが気になって仕方がない。
ついつい何度も携帯を取り出して見るわけです。
そしてとうとう我慢し切れなくなって、上司に早退を申し出るとあの公園へ向かうことに。
って、車を飛ばしても2時間以上かかるんですけどね。
でも、気になったまま放置したら同じことを繰り返すだけだと思ったんです。
せっかく恩師が作ってくれたワンチャンスなんですから。
白黒つけてやろうじゃないの!
到着したのは夕方、ちょうど中坊の俺が彼女を夢中で撮影していた時間帯。
ところがその日は土砂降りの雨。いくらなんでもこんな中で待ってないよなぁ〜
と半信半疑ながら例の場所へ……
横殴りの雨の中、全身ずぶ濡れで。
「後輩さん! 何してるの!」
「ぅん……ぐすっ、ぐすっ……」
慌てて彼女を抱きかかえると、何も言わずに車へ押し込みます。
とりあえず服を替えて体を温めないと大変なことになると思って
気づいたら婆ちゃん家に向かってました。
着替えは俺の古いスウェット上下があったのでそれを渡すことに。
肌着は……とりあえずナシで我慢してくれ。まさか婆ちゃんのモノを渡すわけには
いかないから。
婆ちゃんは俺の説明を聞く前にもう台所に立って暖かい豚汁を作り始めてるし。
俺はその背中に向かって事情を説明するけど、聞いてるのか聞いてないのか
黙って料理を続けている。
体が暖まって落ち着いたのか、ポツポツと話し始める彼女。
それによると……
俺との再会、そして2回のデートで自分の気持ちは俺側に傾いていたとか。
ところがそんな状態が現彼にバレないハズがなく問い詰められて事情を話したとのこと。
現彼は怒るどころか彼女の返事を待つことなく強引に結婚の段取りを進めていき
その勢いに流されるうちに式場の下見や衣装合わせまでしてしまったらしい。
招待客の数合わせとか主賓を誰にお願いするかとか具体的な話になってきた。
そんな状況にとうとう堪らなくなって俺に連絡を取ったのが、あのメール。
そこまで話して俺の方を見つめる彼女……
決めるのは彼女本人だし。
長い沈黙……黙って座っているのが辛い……
耳が遠いから二人の会話は聞こえてないと思ってたんだけど、しっかりと話に
ついてきているようだ。地獄耳だな。
婆 「おやおや、難しい顔をしてどうしたんだい? ちょいとお茶にしようかね」
もうとっくに90歳近いのに元気だわ。
婆 「じゃあ、そろそろ寝ようかね。お嬢さんは婆といっしょでいいだろ?
それから、お前は自分の部屋で寝ろ。一晩寝てよーく考えな」
俺 「いや、婆ちゃん、考えるって何をだよ……」
戻っていきました。
また、婆ちゃんに助けられた気がします。
あのまま二人で黙っていても何も進まなかったと思いますから。
しばらくは居間でボーっとしてたけど、することがないんで自分の部屋に戻ることにした。
ベッドに横たわり天井を見つめていたら引き篭もってた頃のことが頭に浮かんできます。
後輩さんがいなくなって辛くて、悲しくて、やるせなくて……
彼女ともう一度会いたい、話をしたい、笑顔を見たい、そして色んな場所へ行ってみたい
そんなことばかりを毎日毎日考えてました。
そしてなんともいえない焦燥感が襲ってくるんだわ。
じっとしていると歯が浮いてくるような感覚。
この感じはまさに厨坊の俺が悩まされたあの感覚。
今、彼女が手の届くところどころか同じ屋根の下に居てくれるというのに。
いったい何が気に入らないと言うんだろう?
あれだけ会いたいと思ってた人に会えたのに……必死の願いが今、適ったのに
俺は何に拘ってるんだろう?
立ってました。
そして声を掛けようと思ったら中から話し声が聞こえてくるわけです。
ありがとうね」
彼女「でも……私、先輩に酷いことしてしまったのかと……だからもう
嫌われてしまったんじゃないかと……」
婆 「大丈夫だよ。あの子は後輩さんのことが好きで堪らないんだよ。
だから悩んでるんだと思うよ。あんなんだけど優しい子だからね」
俺 「あのさ……ちょっといいかな」
婆 「おやおや、そこに居たのかい。入って来るかい?」
俺 「いや、それはマズイでしょ」
彼女「……」
今、きちんと話さないと、また後悔すると思ったから。
俺 「あのさ、うまく言葉にできないんだけど……俺、中学の頃に後輩さんが居なくなって
悲しかったんだよね。だから、後輩さんと再会できただけで凄く嬉しかったんだ。
でも、もうそれだけじゃ満足できなくなってしまってさ……」
それは彼女に渡した写真。そして裏に書いた文字……
あの日、俺は顔を真っ赤にしながら一文字一文字丁寧に書いたんだよ。
『次に会えたらボクの彼女になってください』ってね。
もう厨二病全開。恥ずかし過ぎ。
彼女「……はぃ……ちゃんと持ってます……」
俺 「その裏に書いた言葉も覚えてる?」
彼女「…………はぃ……」
彼女「はぃ……」
俺 「だったら……ボクの彼女になってください」
彼女「先輩、先輩、私、ずっと不安で、先輩は私のことなんかもう忘れてるんじゃないかって。
私は、私は……先輩が大好きですっ!」
そして、その夜は彼女と一緒に寝ることになったんです。俺のベッドで。
俺は何とか理性を保とうと一生懸命耐えたんですよ。でもねスウェットの上下だけで肌着を
着けてない女性が隣にいるんですから。冷静になれって言う方が無理。
俺 「うん……なんか眠れないよね」
彼女「私も、です。もっとそっちへ行ってもいいですか?」
そういうと俺の左腕を枕にして体を寄せてくる彼女。
彼女のムネの膨らみが直に体に当ってるし……これはもう理性の限界か??
でも、気になることがあるんですよね。
そこで理性が飛んでも誰も文句は言わない…いや言えない
この時の俺は彼女がまだ婚約中だと思ってました。だから間男になるわけにはいかない
という思いだけが辛うじてブレーキになってる状態。でもそれも、もう限界に近い。
俺 「あのさ……後輩さんって一応まだ婚約中なんだよね?」
とりあえず彼女に冷静になってもらおうと現実の話をしたんです。
頑張れ>>1
しまったんですけど……でも最後はわかってくれましたから……
そして『幸せになってくれ』って……」
これを聞いて一瞬複雑な気持ちになったんですが、それは一瞬だけ。
もうね、元彼と今朝別れたばかりだとか、婚約までしてたとか関係ないです。
一生会うことができないと思ってた女性が今自分の腕を枕にして寝てるわけですから。
もう何があってもこの機会を逃すわけにはいかんのです。
なんか俺、必死でした。ムキになってました。
元彼の痕跡を消したいというかなんというか、そんな感じです。
それだけじゃないですよ、お互い引越しして一緒に住んでるんです。
だから彼女が寝た後、深夜にしかここに書けないんですよ。
もう少し落ち着いたら籍を入れようと思ってます。
彼女の方は別の男性と婚約までしてましたから、あまりに早く相手が変わるのは
ちょっとね。悪い噂が立ちそうですから。
ずっと一緒に生活してると喧嘩することもあるけど、その時は壁に掛けられた
あのモノクロ写真を見て落ち着くことにしてます。
こうして二人で居られることが奇跡に近いんだと。
喧嘩できることすら奇跡なんだぞと。
***** 終わり *****
ありがとうございました。
そしてありがとう!
怪しい展開は迷ったんですけど、進行形の彼女なんで
ちょっとマズイかなと。すいません。
では、おやすみなさい。
公園で彼女と出会ったのってすごい確率だよね。
会社からの長電話に感謝しないと。
考えると、もし>>1が公園に行かなければ、彼女は婚約を破棄して独り身になっただけだったんだな
かなぁ?
最終的には1と後輩はくっついてたと思うな
結婚したらスレ立ててくれよ。
もし見つけたらお祝いするから。
俺も何か取り戻せる気がしてきた