婆ちゃん家に連絡があって母校へ集合した時のこと。
俺の母校(中学な)は卒業時にタイムカプセルを埋める習慣があった。
で、毎年成人式の前後にそれを掘り出す会があるんだけど俺が二十歳になる前に
学校そのものが廃校になってしまい、カプセルは放置されることになってしまった。
行事は許してもらえなかったらしい。
ブーイングの嵐だったけど俺は平気。なぜなら中三の三学期途中から不登校で
カプセルには何も入れてなかったからね。リア充ざまぁとか思ってたし。
とりあえず淡々と書いていきます。
ところが学校の跡地を利用する計画が持ち上がり校舎を解体することになったとか。
そこでタイムカプセル発掘に許可が出たとのこと。
婆ちゃん家に送られてきた封入者リストには何も入れた覚えがないのに俺の名前が
載っている。
というわけでリア充じゃないけど発掘同窓会に潜入。
参加したものの不登校だった俺は案の定ボッチ。
一人でヒマだから幹事さんに頼んで当時所属してた写真部の部室を開けてもらうことに。
部員は先輩♂2名と俺でガッツリ鉄っちゃんクラブだったけど当時はそれなりに
楽しかったように思う。そういえば後輩も1名いたような気がするがよく覚えてない。
処理に酢酸を使うからその臭いがキツイだけ。久しぶりに嗅ぐとなんだか懐かしい。
発掘作業を待っている間、みんな体育館とか教室とかで盛り上がってんだけどそこに
混じるのは辛いからずっと部室で残された古いカメラ雑誌とか読んでた。
よくわからんけど密封カプセルに入れてあったようで保存状態はまあまあ良好。
そしてひとりひとり名前が呼ばれてブツを受け取ると、あちこちでキャーとかウォー
みたいな声がする。
もうすぐ俺の番。どきどき。
「誰それ?」みたいな雰囲気。
辛いけど耐えなくてはいけない。耐えてブツを回収するのが今回のミッション。
自分でもナニが入ってるのかわからんモノを衆目に晒すわけにはいかないのだ。
厚みからいって手紙とか写真とかそういう類と思われる。更に危険度が上昇。
厨坊の俺が書いた自分宛の恥ずかしい手紙とか最悪だろ?
万一、ポエムなんかが入ってたら軽く死ねるレベルだし。
コレさえ回収できたらもう同窓会なんかに用はないんでとっとと撤収。
とりあえず幹事さんにだけは部室の鍵を返すついでにお礼を言って一人会場を後にした。
さて、婆ちゃん家に戻ると自分の部屋に篭って開封の儀式。結構怖い。
丁寧にビニールを剥がしていくと封筒が見えてきた。いよいよだ。
中には__
1枚目、俺の写真? 誰が撮ったんだろう? めちゃめちゃ緊張してるし。
2枚目、女の子? 誰? ツインテールのカワイイ子が照れた微笑でこっちを見てる。
3枚目、うおっ! その子と俺のツーショット?! 腕まで組んでるとかありえん?!
意味がわからん? というか覚えがない。まさか俺はリア充だったのか??
それとも合成写真か? だとしたらかなりの腕前だけど俺にそんな特殊能力はナイ。
まあ、魔法使いへの進化目前には違いないが。
俺君へ
成人式おめでとう。
この手紙を読んでるということは無事に二十歳になったということだね。
こうして君に再会できて本当に嬉しいよ。
あの頃、君はとても苦しんでいたのに先生は何もしてあげられなかった。
ただ見守ることしかできなかった。ごめんなさい。
(略)
お節介かもしれないけど、君にとって大切な思い出をカプセルに入れておいたよ。
写真部で後輩さんと活動した時間は君にとって大切なものだったハズだ。
悲しい思い出になんかしてはいけない。辛いかもしれないけど、これからも大事に
して欲しい。
それでは、体に気をつけて元気でいてください。
写真部顧問
そして記憶の底の方から何かが沸々と湧き上がってくる。
思い出したよ! 写真部の後輩は女の子だったんだよ!
彼女は俺が中三の二学期に引っ越してきた二つ下の子。
俺、その子のことが凄く好きだったんだよ。簡単に言うと片思いね。
簡単じゃないけど。
地元の女の子とは明らかに種類が違ったせいで浮いた存在だったように思う。
理由はわからないけど、その子が突然写真部に入部してきたんだわ。
既に先輩は卒業してたから部といっても俺一人。しかも鉄撮りメインの厨坊だったから
年下の女子となんてどうやって接していいかわからない。
放課後になると自転車の二人乗りで駆け回る。
同級生にはヒューヒューと冷やかされるんですが部活という大義名分があるんで
強気でした。
今日は公園、明日は堤防、その次はその次は……
鉄ポイントしか知らないクセにフォトジェニックな場所を目指して。
走り回った風景が鮮明に浮かんでくる。思い出すのはなぜか夕暮れのイメージばかり。
河原の土手に二人並んで座ってる風景、俺が自転車を押す後ろを彼女がトコトコついて
来る風景、赤い暗室でプリント作業をしてる風景……
背中に当たったムネの感触も忘れたというのか
クリスマスの頃だったかな?
街のイルミネーションを撮りに行こうとか理由をつけて出かけたことがあった。
一応カメラは持っていったけど写真なんてほとんど撮らずにゲーセンで遊んだり
ファーストフードでハンバーガー食べたりしたなあ。
そういえば俺の写真が一度だけ何かのコンテストで佳作に選ばれたことがあったんだ。
彼女も凄く喜んでくれたっけ……
思わず抱き合って喜んでたら彼女がキスしてくれた……ほっぺただったけど。
俺も「お返し」とか言ってキスしたような気もする。ほっぺだったのか唇だったのかは
残念ながら思い出せない。いや、これはただの妄想かもしれない。
人混みの中ではぐれちゃいけないとか理由をつけて手を繋いだりしたよ。
厨二病全開だったし。
普通に手を繋いだハズなのに途中からは指を絡める形に変わったような気もする。
その時、俯きながら頬を赤く染めた彼女が、つま先で俺の足をツンツンと蹴ってきたのが
めちゃめちゃかわいかったとか……
もうね、信じられないくらい充実した日々……今との違い半端ナシ。
そんな楽しかった日常が突然終了した。
それが俺の不登校の原因。引き篭もりの始まり。
いつものように撮った写真を部室で現像処理してた時。
(えーっと、会話はまったく覚えてないんで適当に補完処理します)
彼女「先輩はポートレートは撮らないんですか?」
俺 「撮りたいとは思うけどモデルいないしさ」
彼女「だったら……私を撮ってください。その代わり先輩もモデルになって下さいね」
そんな感じでお互い写真を撮り合うことになったように思う。
これがカプセルに入ってた写真。もちろん着衣だから怪しい展開はナシ、ってその頃の
俺にそんな汚れた発想はなかったと思う。純真な田舎の厨坊だったから。
街のほぼ全部が見渡せる場所。
テンパった俺は部室にあったありったけのレフ板や三脚を持って必死で登ったような
気がするがアシスタントなしでどうやってそれを使うつもりだったんだろう?
当時の俺に会えたら聞いてみたいと思う。
長い髪から透ける傾いた夕陽がキラキラしててさ、夢中でシャッターを押してたら
あっという間にフィルム3本。モードラなしで3本は結構撮り応えあるぞ。
ここで攻守交替。
そして何枚か撮った後で彼女が一緒に写ろうと言い出して撮ったのが腕を組んだ
このツーショット写真だと思う。
カメラを三脚に固定して最初は普通に二人並んで撮ったんだけど、もう少し撮って
おこうとシャッターをチャージして戻ってきた俺の腕に彼女が自分の腕を突然絡めて
きたのがカプセルの写真。
驚いたのなんのってもうね。この時の俺はたぶん相当舞い上がってたと思う。
始めてた。早く部室に戻って片付けをして帰らなきゃと思って
俺 「遅くなったから現像は来週にしようか。もう下校時間だし」
彼女「それ、ダメなんです……」
俺 「なんで? 試験はまだ先だし大丈夫でしょ?」
彼女「私……明日、引っ越すんです……」
俺 「 」
激しく血圧の急変動で倒れそうだったし。まさに血の気が引くってやつ。
唇が急に冷たくなっていった感覚が蘇る。
ここから先は何が何だかわからない状態で、とりあえず現像とプリントを急いだんだ。
なんとしてもその日じゅうに写真を彼女に渡さなきゃとか思ったから。
今から考えると、もっと大事なことがあったような気がするんだけど。
顧問が突入してきたらその時点でゲームオーバー。
だから二人とも必死になって作業をしたんだ。たぶん無言だったと思う。
結局、顧問は最後まで部室に来ることはなく現像作業は無事終わった。
きっと彼女の転校を知ってて見逃してくれたんだと思う。
当時からお爺ちゃん先生で、今はもう他界してるから真相は聞けないんだけど。
そのメッセージが今、俺の手にある。
俺の写真の裏に「先輩、大好きです! 後輩より」
ツーショット写真の裏に「いつかまた会えるといいな……日付」
俺も彼女に渡す写真の裏に何か書いたハズなんだけど覚えてない。
思い出せないということは、たぶん恥ずかしいことを書いたハズ。
できれば一生見たくない気がしないでもない。
彼女「たぶん無理です……遠いから……」
俺 「そっか……」
この時点で相当落ち込んだ俺。涙目に涙声だったと思います。
そしたら彼女がカバンからゴソゴソと何か出してきたんだ。
俺 「何?」
彼女「ちょっと早いけどバレンタインのチョコです……
だから……次に会うのは10年後のホワイトデーとかどうですか?」
俺 「う、うん、そうだね……」
彼女「はぃ……では10年後のホワイトデー、この時間にあの公園で……約束ですね」
彼女はそう言うとツーショット写真のメッセージに「20xx年3月14日xx時」と書き足した。
でも、その頃の俺には10年なんてとんでもなく遠い時間に思えたんだわ。
だから体よく拒否られた上に気を使ってフォローまでしてもらったと思いました。
そんなわけで写真もチョコも部室に放置したまま家に帰ったと……
結局その日以降、中学には一度も行かなかったけど、高校受験は婆ちゃんや先生に説得されて
なんとか地元の底辺私立男子校へ潜り込んだ。
当時の俺は制服女子の姿を見るだけで彼女のことを思い出して涙ぐむようなトラウマ状態
だったから男子校は思ったよりも居心地がよかった。
というか免疫不全で重症化したんだろうね。
そんな俺も最終的には彼女を憎むことで状況を克服したと。
なんでそういう結論に達したのかわからないけど、きっとそれが一番楽だったんだと思う。
写真やネガは全て焼却、カメラやレンズは婆ちゃんに頼んで売却。
カメラは爺ちゃんの形見だったけど婆ちゃんは何も言わずに処分してくれた。
ごめんよ婆ちゃん。
記憶も封印したから二度と思い出すことのない思い出だったんだけど……
ところが3枚の写真がこうして俺の手元に戻ってきた。
部室に放置されていたものを顧問が見つけて俺の代わりにカプセルに入れてくれたから。
丁寧な手紙を添えて。そのおかげで大事な思い出が蘇ったということ。
忘れてしまっていたんだ。
だから当然約束の日に約束の場所になんか行ってない……完全に消えてたし。
今から思えば10年なんてあっという間だし拗ねたりせずにちゃんと覚えてればよかった
と後悔。というより、引越し先の住所くらい聞いておけばよかったんじゃね?
と激しく後悔。
まさに後悔先に立たず……
その辺りまで思い出したところで手紙が2通だったことに気づいた。
小さい方の封筒。女子が好んで使いそうなレターセットだ。
ひょっとしてこれは……
ちょっと早いけどバレンタインのチョコです。
ちゃんとバレンタインの日に渡したかったんですが、できなくてごめんなさい。
先輩と一緒に部活ができて楽しかったです。いろんなところに連れて行ってくれて
ありがとうございました。
私は先輩が大好きです。
新しい住所は_________です。連絡もらえると嬉しいです。
後輩より
じゅううううしょょょ!
チョコと一緒に入ってたと思われる手紙でした。
当時の俺がこれを読んでいたら不登校にならずにすんだかもしれない。
手紙のやり取りをしてればそのうち携帯やメールで頻繁に連絡ができるように
なったのかもしれない。
俺は千載一遇のチャンスを放置したようでした……無念です。
俺はすぐにその住所に手紙を出してみたんですが、宛先不明で戻ってきました。
そして去年。
たまたま出張でこっち方面に来ることになった。
期間が2週間もあったからホテルを取らずに婆ちゃん家から通うことにした。
その方が落ち着くし会社も経費が削減できる。それに婆ちゃんも喜ぶし。
ちょうどホワイトデーが出張中に重なるという偶然。これも運命か?
くだらん夜の長時間会議とかないから。
婆ちゃん家へ帰ろうと車で走ってた時にラジオから昔の曲が流れてきた。
ああいうのって当時を思い出す。特に運転中とか頭の中でイロイロ呟いたりしてるから。
時計を見るとちょうどいい時間だし何となく学校のあった場所、公園の方へ向かって
みようとか思った次第。土地勘はあるんで道に迷うことはない。
暦は春だけど実際は冬の最中に名所でもなんでもないこんな辺鄙なところへ来る奴なんて
犬の散歩にくる近所の奴くらいか。犬の散歩だとしても寒過ぎだろ?
とか考えながら車を降りて撮影ポイントへ向かう俺。いったい何を期待してるのやら。
街が見渡せるということは吹きさらしになってるということ。
こんなところに10分もいたら確実に風邪をひくと思う。
やっぱり誰もいないじゃん。
それだけ確認すると急いで車に戻る俺。
さっさと帰ろうと思ってエンジンを掛けたところで携帯が鳴る。会社からだ。
ものわかりの悪いやつだったから時間がかかってしまい気づいたら30分くらい話してた。
止まってる。
ん? さっきまで居なかったよな?
おや? タクシーに向かって小走りに走る人影?
思わずクラクションを鳴らしてみると人影が立ち止まってこちらを凝視してる……
コートを着たシルエットだから男女の区別がつかない。
俺は車のドアを開けて駐車場に出てみた。
暗がりでお互い相手を判別できないけど、ジーっと見つめ合ってる状態。
俺 「」
おいおい、まさかですか?
言葉というか声が出ないよ。
??? 「先輩? なんですよね? そうですよね?」
女性の声はもう叫び声になってる。
俺 「後 輩 さん?」
やっとのことで声が出た。震えてるよ。カッコ悪いけど。
次の瞬間、悲鳴とも絶叫ともいえない声で人影がこっちに向かって走ってくる。
思わずちょっと後ずさり。
俺の手前2メートルの位置で女性が止まる。暗くてよくわからん。
後輩さんかどうかは判別がつかなかった。俺が持ってる写真から10年以上経ってるし。
でも俺の名前を知ってるし、なにより今ここにいることがその証明だろうと。
ホワイトデー、奇跡の再会ですわ。
まさか本当に会えるなんて思ってなかったですから。
しかも彼女が感動して泣いてるのとか見るとなんか嬉しくなっちゃいましたし。
ひょっとしたらこのまま二人は……とか一瞬でイロイロと考えてしまいましたよ。
現実は厳しいんですけどね……
彼女がここに来た本当の理由は……
今日は遅いんで、続きは明日でお願いします。
彼女がここに来た本当の理由は……
彼女が転校してから音信不通だった事が原因で、悪い結末しか想像できない…orz
みなさん保守いただきありがとうございます。
そろそろ書いていきたいと思います。
では後半です。
再会した二人は、タクシーに料金を払うとお茶でもということになって国道沿いの
ファミレスへ。そこでは長い時間、話をしました。
実は彼女もここへ来たのは今回が初めてだったらしい。
当時は遠いところに住んでたし引越し以降、俺から一度も連絡がなかったから
再会は諦めていたそうです。
そんな彼女が今年になってここに来たのは理由があったんです。
その人とは1年くらい前からつき合っていて、お互いそろそろかなと思っていたらしい。
でも彼女は10年以上前のこの約束がずっと胸に引っ掛かっていたとか。
だからそれを断ち切るためにここに来たという。
せっかく再会できたのに……俺、涙目。
目の前に座っている彼女は普通なら俺なんかとは接点がないくらい美しい女性。
そんな年頃の女性がフリーなわけがない。
対する俺は29年間彼女ナシの地味男。
ステルス化が進んでしまい最近は世間の女性から俺は見えなくなっているらしい。
だから昔話を打ち切って現実の世間話モードへ移行。
天気の話とか天気の話とか天気の話とか。つまり、どうでもいい内容。
昔はヒッキーでしたけど社会人になってからは一応世間話くらいはできるくらいまで
進歩してましたし。
俺はこれでお互いイイ思い出で終われると思ったわけです。
美しい女性と再会ができた上に二人でお茶をして少しだけ懐かしい話ができただけでもう十分。
好感度とまでは無理でも最低限、思い出を壊さない状態でお別れすることを目標に頭を
フル回転。先に続くような話は一切しない。
話をすべて今日でオチがつく方向にもっていこうとしてました。
そんな逃げに入ってる俺を彼女が悲しそう表情でのぞき込むわけです。
俺 「そんなことはないけど……」
彼女「私……わからないんです」
俺 「なにが?」
彼女「私……あの時、先輩のことが大好きでした……
だから今どうしたらいいのか……」
でもこうなったら無謀と言われようが全力でトラップに突っ込みます。
俺 「じゃ、とりあえずオレと、でぇ、デートでもしてみる?
そしたらなんか分かるかもよ」 噛んだし……
恥ずかしい。でも無事にデートの約束ができました。
というわけで、この時にお互いの連絡先を交換しました。
なんか嬉しかったですよねぇ〜 携帯に女性のアドレスが入るとかスゲー嬉しい。
これで遂に俺もリア充の仲間入りとか思いましたね。
ちょっと間男っぽくて微妙ではありますけど。
かなり贔屓目に見て志田未来かな?
その日以降、彼女からちょっとしたメールとか着信するんです。これがまた嬉しい。
「今日は○○へ行ってきました。先輩さんはどんな一日でしたか?」みたいな。
こんなメールがピロロンと入ってきたらテンションが上がって眠れなくなりますよ。
たった三行の返信を作るのに1時間近くも考え込んだりして。
これじゃ無愛想、これじゃ盛り上がり過ぎでドン引き、これじゃキモイとか悩みまくり。
高速利用で1時間程度だからなんとか射程圏内。
俺的には例え片道100kmあっても通う気満々なんですけど。
さて初デートはドライブ。
厨坊の頃に自転車であちこち行ったんで同じところを車で巡ってみようとなったんです。
結婚を申し込んだ輩に対する俺のアドバンテージはあの頃の思い出だけ。
だったらそれをフル活用してやろうという姑息な考え。
思い出話なんかしながらいい雰囲気でグルグル廻って最後に例の公園へ行ったわけです。
昔はそこから校舎が見えて町が見えたよね……
なんて話をしてたら自分がグッときちゃってさ。策士策に溺れる。
気づいたら涙ポロポロ。
俺の黒歴史なわけです。
それがその原因となった女の子に再会してデートまでしてもらってるとか思ったらなんか
感動したんですよ。ああ恥ずかしい。
リア充ならここでキスでもできるんでしょうけど俺には無理でした。
でも十分じゃないすか? 手を握ってくれたんですから。
そして寒くなったんで食事へと。
ネットで探した店で普通に食事をして普通に会話をして1回目のデートは
そんな感じで無事終了。
って、終了させてどうする? 次の約束もできずに……
帰り道は車を運転しながら一人で色々と考えるわけですよ。
その話は最初に会った時以来、一言も言ってくれないけど確かに『つき合ってる』と
言っていたし。しかも結婚を申し込まれているとも。
一生モノの後悔を取り戻すチャンスなのに何言ってんの?
後輩だってその気がなければ結婚申し込まれてるのにデートなんかしないし。
自分の気持ちに正直になって、相手の気持ちも考えれば、取るべき道は一つのはずだ。
>>215 かもしれませんね。
今日のデートは彼になんと説明したのかなあ?
内緒にしてあるのか?? とか。
もし俺が逆の立場だったら絶対に行かせないけどなあ……
それとも二人で俺を生暖かく観察してるのか?
「あのキモオタ本気でヤバイよぉー」とか。
ホテルに入った瞬間に強面のお兄さんが出てくるとか。
そんなのだったら悲しいけど、ありえない話じゃないし……みたいな。