俺らは訳が分からなかったけど、普通に親戚の子供達と一緒に
飯食って学校行ってた
そしたら、ある日から親戚のおっさん達からシカトされるようになった
俺らは何か悪い事したかなと毎日不安になってた
これも後になって知ったけど
お袋は親権を手放さずに、俺らを無言で親戚にの家に置いて行ってたらしかった
生活保護だった
子供が手元に居なくても、
親権さえあれば母子手当と生活保護が
受けられるような時代らしかった
「お金は?」「あんた達を育てるにもお金が必要なんだよ」
と言われてた
今思えばすごく優しい言葉にして言ってくれてたんだけど
小学生の俺らにはどうしようもできない事で泣きながら
「ごめんなさい」と言っていた
母親がこの家に来た
俺らはやっと迎えに来てくれたんだ!!ってすごく喜んだ
だけど、母親は泣きながら嬉し過ぎてゲロ吐いてる弟を
見て、弟置いて、俺だけつれて行った
しばらく普通に生活してた
俺は何度も何度もお袋に「弟達を迎えに行こう」と言った
そのたびにお袋は「アタシも何度も会わせてって言ってるのに
向こうが会わせてくれないの」って泣いてた
俺も一緒に泣いてた
そしてやっぱり単純だったから、親戚たちはなんて悪い奴らなんだと
思い込むようになった
お袋は病気で体が動かせないと言って
毎日寝てた
掃除も洗濯も飯もやった
飯は作れなかったからいつもコンビニで買ってたけど
俺に質問があると言って
「お母さんいつも何してるの?」
って言うから
「病気で寝てます」
と答えてた
お袋が、毎日どこかに電話するようになった
お袋が、親父をアパートに連れてきてた
親父は、何で今更みたいな態度だったけど
俺に会えてうれしそうな顔した
コンビニでいっぱいお菓子買ってくれた
毎日来てよ!!
って言ってしまってた
お袋も
「そうよ、―――も嬉しそうだから、昔のこと忘れて毎日きてよ」
と言っていたから仲直りしたんだ!!
って余計に喜んでしまった
パトカーが家に来た
あと知らない人が何十二んも来てた
親父が真ん中で土下座してた
泣きながら
「お父さん!!」
って言ったら、知らない人に抱きしめられて
そのままパトカーに乗せられた
で、知らない人達と一緒に
なんか話し合い?をしてた
お袋は泣きながら、その知らない人達に
「親父に付きまとわれて」
と言っていた
何度も来てた知らない人が
「お母さん何してるの?」って聞いてた人、
その地区のケースワーカーだった
ハローワークにもいかない、面談もしない母親の
保護費を切ったらしかった
「お父さんに会わせて」
「お母さんとお父さん仲直りしたって言ってたもん!!」
「お母さん毎日来て良いよって行ってたもん!!」
ってずっと言ってたのに
警察の人も他の知らない人も
「もう大丈夫だから」
「でも、もうお父さんにお母さんの居場所教えちゃだめだよ」
と言われた
弟達に会いたかった
それから今度は俺だけ児童施設に入った
ある日、またお袋が迎えに来た
今度は弟も連れてた
俺は弟と会えてうれしかった
なんかお袋に対して冷たかった
後から聞いたんだが
お袋が何をしていったのか聞かされてたらしい
そして、俺が掃除洗濯飯用意してるの見て
「何で兄貴がやってんの?」
って聞いてきた
弟に
「病気だからだろ?お前もお母さん助けろよ」
って言った
弟は
「あいつ病気じゃねーよ!!病気なら、何の病気なんだよ!?病名あるはずだろ!」
って言われた
さすがに俺も理解して
「お母さん、何の病気なの?」
って聞いた
「それ、誰に言えっていわれたの?」
って聞いてきた
俺は素直に
「――が言ってたけど」
って答えてしまった
お袋は今度は、弟が家に帰る度に悲鳴をあげて
襖を穴まみれにしてた
弟はシカトして
俺は何やってんだよ!!って止めてた
ケースワーカーの人が
「毎月襖壊れたっていう報告がお母さんからあるんだけど」
って聞いてきた
俺は普通に
「おかんが壊してるよ」
って答えてた
お袋は何も病気ないから、俺と弟が中学あがった頃で
いったん生活保護を止められたらしかった
ある日お袋は、弟の荷物を全部捨てた
学校のものも、何もかも
弟が大事にしてた、子供の頃の友人達の連絡先もみんな
捨てた
キレてお袋に詰め寄ってた
お袋は、その時またいった
「悔しいの?悔しかったナグってみなさいよ。ほらほら」
俺が取り乱して大声でうわああああ!!とかぎゃあああ!!とか叫んだら
冷静になったらしくやめた
けど、壁に穴が開いた