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:クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/2014/07/13(日) 03:24:51.91 ID:7FyMgNZmO.net映画見てたんだ。返却が明日までだから。
続きです。
朝の日差しで目を覚ますと、横ではハルがぐっすり眠っている。
とりあえず父親になると決めた。
まずは保育園に行って佐々木先生に、サリナが出ていったことを話そう。
それから仕事を探さないと。俺一人なら食っていけるけど、今はハルを育てなきゃいけないんだ。
サリナがいつ戻ってくるのか?もう戻ってこないかもしれない。誰かをあてにすることなんでできないんだ。
佐々木「これから大変でしょうけど、
私たち園も出来る限りハルちゃんの力になります。」
と言われ少し安心した。
その足で職安に行くことにした。
正直難しいですよ。今不景気ですしね。職歴も殆どないですし、学歴も中学卒業じゃね。
資格もないと言うことですし…
それに子供を一人で育ててる訳でしょ?会社の負担になりかねませんよ。」
俺「お願いします。どんな仕事でもするんで。」
正直仕事をしないとやばい。
手持ちも殆どなく、明日にもハルを食わせられなくなるかもしれないからだ。
とりあえず携帯やら、求人のフリーペーパーでバイトを探してみる。
アパートから近目の場所に手あたり次第電話をした。
あっさり面接を4件こぎつけた。楽勝じゃん。でもそう簡単ではなかった。
某有名フランチャイズレストランに面接に来た。
俺「いや、とりあえず金がほしくて。」
この時の俺は、本当に社会人としてのスキルが皆無だったんだよ。
店長「履歴書君が書いたの?」
俺「そうですけど…」
店長「漢字間違ってるし、字下手だね?w
それに君、職歴が空欄だけど仕事したことないの?」
最近はずっとプーだったんで」
店長「ハハw
ちょっとうちじゃ難しいかなw」
こんな感じで断られた。
まあこう言われる方がまだましだ。
何も質問されず、後日連絡すると言われて追い返される事の方が多かった。
ハルとの生活だけど、ハルは泣いてばかりだった。
会話が出来ないから、ハルとの意思疎通が出来ない。だからイライラが募る。
俺は怒鳴ってばっかりだ。
ほとほと疲れた。
仕事も見つからない。お金ももう残っていない。
頭を抱えるしかなかった。
どうすればいいんだ。これからちゃんとやっていけるのか。
そんな不安に追い討ちをかけるように嵐はやってくる。
チャイムが鳴った。
こんな朝早くに何だ。
時間はまだ7時前。
またチャイムが鳴る。
ドンドンッドンドンッ。
激しく玄関を叩いている。
その音にハルが反応して目を覚ました。
ハル「あーーんっ」
うるせーなっと思いながら、泣くハルを抱きかかえて玄関を開けた。
大家ですけど。」
ぽっちゃりしたキツい目をしたおばちゃんが、ズカズカと家の中に入ってきた。
俺「朝っぱらから何なんすか?」
大家「何度も電話したのにでないからよ。
わざわざこっちが来てやったわよ。
奥さんはいないの?」
鼻息を荒くし、強い口調で話す大家さん。
大家さんが言うには、3ヵ月家賃を滞納しているらしい。
今月まとめて払えなかったら、出ていくように言ってあったでしょ!」
財布の中身は600円だったのを思い出した。
俺「いや、すんません。俺知らなかって。
何とかするんで一週間待ってもらえませんか?」
ただでさえもう1ヶ月待ってやってんだ。
もう特別はなしだからね。」
俺「いや、行くあてなんてないんですよ。
一週間。いや3日でいいんで待って下さいよ。」
泣き叫ぶハルを抱えながら、必死に交渉した。
だけど交渉虚しく、解約にサインさせられ追い出されるはめになった。
ハルの着替えを入れたリュックに、サリナとハルの写真。
後は全て家賃滞納分にあてると言うことで置いていくことに。
悲惨だ。
父親になると決めたのにこんな事になるなんて。
あー笑ってやってほしい。
まさかのホームレス状態。家なき親子だ。
救いようのないとはこのことだ。
書き溜分はここまで。
また続き書いていきます。
見てくれてる人どうも。
おれ底辺だけど>>1ガンバれ
俺「今日もハルをよろしくお願いします」
覇気のない声でお願いした。
重い足取りで園を出ようとした。
振り返ると佐々木先生が園内を掃除していた。
俺「はぁ…まあ」
佐々木「今日は元気ないですね?
お母さんとはまだ連絡とれませんか?」
俺「はい…」
まあ元気はいつもないんだが。
やっぱこう言う仕事してる人って、異変とかすぐ気付くんだな。
ハルちゃんにはお父さんしかいないんですよ。
元気ない姿って子供はすぐ気付くから。
特にこれからが成長期です。お父さんの背中はちゃんと子供は見てますよ。
何か悩み事があるなら相談して下さいwお父さんの悩みはハルちゃんの悩みですよ。」
俺「はい…」
先生には家を追い出されたことを相談するか悩んだ。
だけど他人にこんな話しされるなんてあまりにも気の毒だ。
俺「はあー」
ため息しか出てこない。
仕事を探すのに困難しているのに、住むところまで探さなきゃならない。
絶望的だ。
時間だけが刻一刻と過ぎていく。
直ぐにハルの迎えの時間はやってきた。
そうだ、クラブでナンパした女の家に泊めてもらおう。
1日くらい大丈夫だろ。そんな軽い気持ちで向かってはみたものの。
女「はあ?
無理無理。
あんた子持ちなの?最低。」
俺「頼むよ。
1日でいいからさ」
女「いやよ」
「誰か来たのかー?」
部屋の中から男の声がした。
女「分かったでしょ?
さっさとどっか行ってよ」
そんな感じで追い返されたんだ。
数人のツレにも電話したけどなんなく断られる。
辺りはもう真っ暗だ。
路頭に迷う俺とハル。
世間が妙に冷たく感じた。
ハルも疲れたのか。
両手を俺に向け。
ハル「ダットー。ダットー。」
と言う。
俺はハルを抱っこし、大きなリュックを背負った。
ようやく繁華街にある広場の階段に腰を下ろした。
せめて明るい場所の方が、ハルも落ち着けるだろうと思ったからだ。
ただボーっと座っていたんだ。正直今何も考えられない状況。
警備員服を来た初老の男に注意された。
ここに座られては、客が入らないと言うことらしい。
俺「ここはおめーの土地か?」
いつもならつかかって行くとこだが、今そんな元気もない。
俺は黙ってまた歩き出した。
ハルは俺から降りて喜んで走り回っていた。
状況を理解できる年齢じゃないから当然だ。公園に遊びに来たとでも思っているんだろう。むしろそっちの方がありがたいか。何も考えてない方が。
風呂に入れないので、公園の蛇口で水を借りた。
タオルで体を拭いてあげると、冷たくて気持ちいいのかすごく嬉しそうだ。
目を擦って眠たそうにしてる。
俺はハルを抱っこして、大きな滑り台の下がトンネルみたいになっていたのでそこに入った。
月明かりがトンネルの中まで入ってきている。
ハルを横向に抱え座り込む。
ハルは俺を見つめ、宇宙人みたいにわけの分からない言葉を話している。
きっと俺に話しかけてるんだろう。
寂しさも込み上げてきた。何でだろうか
?こんな気持ちも、きっとハルと会話が出来ればましだったんだろうか?
俺は一人なんだと痛感する。
そう思いながらハルの言葉に耳を傾けていた。
え?聞き違いか?
ハル「パッパ」
今度は俺を指差して言った。
俺「パパ?
今パパって言ったか?
うんパパ。」
急に何かが込み上げてきた。
ハル「パッパーw」
俺「うんうん。
パパ。パパだよw」
俺のことを初めてパパって言ってくれたんだ。
ハルをギュッと強く抱きしめた。
苦しそうにしていたけど、そんなのお構いなしだ。
俺の瞳からは溢れんばかりに涙がこぼれた。
本当ごめんなー。」
俺は大泣きしながらハルに謝った。
こんな情けない父親で。こんなひもじい想いをさせてることに、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
いつぶりだろうか。いや、こんなに泣いたのは初めてかもしれない。
こんな気持ちになったのわ。
俺は一人じゃなかったんだ。
こんな俺でも父親と思ってくれてるんだな。子供の笑顔ってすごいなって実感させられたよ。
眠れる場所じゃないからとかじゃない。
自分の不甲斐なさと今までの腐った自分を思い返してだ。
佐々木先生の言葉が耳に残っていた。
「ちゃんと子供はお父さんの背中を見てますよ」
そうなんだ。
俺もそうだったし。
ハルは俺の背中を見て育つんだ。
もっとしかりしないとダメだ。
こうなったのは親のせい、学校のせい、大人のせい。
今だってそうだ。社会や世の中のせい、嫁のせい、いつだってそうなんだ。
自分の否を認めず誰かれ構わず他人に責任を押し付けてきた。
全て自分の責任なのにな。自分がこうしてしまったんだ。
きっとサリナもそんな俺に愛想が尽きたんだな。
羨ましい。
クズでも「頑張った」から父親になれたんだよ