NTR的な展開あり。
スペック
俺
当時15
彼女いない歴=年齢
身長低め
サッカーヲタ
レミオロメンのベースに似てる
高校1年生になったあたりからだった。
当時俺はいわゆる中二病+硬派を標榜していて、クラスの女子とは関わろうしてなかった。
愛読書は三島由紀夫。いつ腹を切ってタヒのうか、などと考える危ないやつだった。
「硬派を標榜していた」とはいっても、クラス1美少女のハーフの子に無謀な片思いをして、軽いストーキングをした後、彼氏がいるのが発覚して勝手に落ち込む程度は、恋愛に興味があった。
というか、やっぱり恋愛には興味津々だったのだ。
俺とDが出会ったのはその頃だった。
俺の学校は中高一貫校だったが、高校から入ってくるやつも多い。その中の一人がDだった。
そいつは最初わけの分からん奴で、いきなり初日の朝のホームルーム後、共通の近所の友達がいるとかで、
D「おやおや?君が俺君?イメージと違うねえ。」
とか話しかけてきやがった。
俺「ああ、うん」
と、俺はとりあえずこいつをやり過ごした。
こいつが俺の青春に一役買うことになるとは俺はまだ知らなかった。
スペック
D(男)
当時15
彼女いない歴=年齢
身長高め
J-POPヲタ
中村憲剛に似てる
D「韓国では最近若者がキムチを食べなくなって社会問題になってるらしいよwww」
とか
D「意外に思うかもしれないけど・・・ヨーロッパには差別という文化が無いんだ・・・」
とか
脈略のない、意味不明で間違った話を連発していた。
DはすぐクラスのDQN(仮に朝青龍とする)と仲良くなった。
朝青龍とDは、中身のない薄っぺらな会話をいつもしていた。
仮にこの女のことをNMBと呼ぶことにする。
朝青龍は本当にひどいやつで、NMBと付き合うことになったその日に男子の集まりの中にニヤニヤして入ってきて
朝青龍「ふふふ、俺にもついに性処理器ができた」
とほざいていた。
実際に、考えられないぐらいの頻度で二人はヤっていた。
当時、クラスの美少女に軽いストーキングをするぐらいの恋しか経験していない俺には衝撃的だった。
Dと朝青龍が教室の隅でその詳細な話をしているのを聞いて、薄寒くなったのを覚えている。
そんな中、いつの間にか俺は、Dと仲良くなっていた。
きっかけは忘れてしまったが、彼が俺と同じサッカー部に入ってきたことや、朝青龍への陰口、クラスにいる羽生名人そっくりのメガネくんいじりなどをするうちに、仲良くなっていったように思う。
まだそれほど俺とDが仲良くなかった頃の話だ。
とある日の部活の帰り道、特に理由はないが俺とDで、なんとなくジュースなんかを飲みながら、公園のベンチに座っていた。
特に話すこともなかったが、俺はなんとなく気になっていたことについて聞いてみた。
俺「あのさー」
D「ん?何何何?」
俺「お前、ともちんのこと好きだろ?」
「ともちん」とはクラスの女の子で、今で言うとAKBの板野友美を、ちょっと朴訥にした感じだった。
俺は行動がバカっぽかったので好きではなかったが、その子は実際モテそうな感じではあった。
D「は?なんだよ突然・・・」
いつもふざけていたDの目が、マジになった。
が、少しからかってやろうと思い、
俺「いや、だってお前いつもともちんの方見てんの知ってるしw」
と極めて冷静を装って、カマをかけてみた。
そうするとDは一瞬焦った表情を見せたが、突然フッと笑って、
D「まじかよ!お前いつから気付いてたんだよwww」
なんて意外にあっさりと認めてきた。
朝青龍が、DよりもNMBとの放課後○○○タイムを選ぶようになったこともあり、Dは朝青龍とは疎遠になり、俺と過ごすことが多くなった。
仲良くなってみると、意外にDは話の出来る奴だった。
聞けば転校後数日の奇行は、彼なりにみんなと馴染もうとした結果の行動だったらしい。
といってもやっぱり意味は解らないが。
家の方向が同じだったこともあり、本来なら電車で数駅の距離を二人で歩いて帰ったり、当時大学生と付き合ってたクラスの女子の放課後デート待ち合わせ現場を意味なくのぞき見したり、コント台本を考えて学校のイベントで大ウケをとったりと他愛もないことで盛り上がっていた。
Dの片思い相手のともちん。
そのともちんに、県外在住の遠距離恋愛中の彼氏がいることが発覚したのだ。
俺は「ざまあwwwwww」と馬鹿にしていた。
とか言っていたら俺も数日後に、ハーフの子が彼氏とデートして、キスしているのを目撃してしまった。
まさかの同時多発失恋である。
しかし、このW失恋が偶然にも俺の青春への動き出しと重なる。
朝青龍もひどかったが、このNMBという女もほんとにしょうもないやつで、男の気を引くのがうまく、男に言い寄り「●●が彼氏やったら楽しいやろなw」等、甘い台詞と絶妙なボディータッチで、男を手当たり次第「キープ」状態にするのがうまかった。
「キープ」状態とは、NMBがその気になれば、いつでも付き合えるような状態にしておくことだ。
朝青龍と付き合っているときはこの「キープ」癖も収まったかのように見えたが、朝青龍と別れそうな雰囲気になったあたりから、再発。
NMBは、俺とDのことも「キープ」にしようとしていた。
俺とDとNMBの三人で、放課後マク○ナルドで過ごしたりすることも多くなった。
「今から朝青龍と別れる・・・と思うんだけど公園に見に来ない(笑)?」
今思えばこれは、NMBの「秘密を共有することで、親密感を出す」=「キープにするための作戦」なのだが、俺とDはもちろん急いで公園に向かった。
俺たちも、NMBと同じぐらい悪い顔をしていたと思う。
俺とDはふざけて、大声で
俺「なぁ、民主党って政権取れると思う?」
D「いやー、なかなか厳しいんじゃない?」
俺「いやでも不可能じゃないっしょ」
D「もし取れたらオオゴトだぜ、誰が総理になるんだよ」
などと難しく聞こえるが意味のないことを叫びながら二人の後ろを通ったりしたが、彼らは話に夢中で気付かなかった。
俺の携帯にメール着信がある。
NMB【俺君来てるの?どこにおるん??】
俺【後ろにいるよ。メールとかしてて大丈夫なの?】
NMB【大丈夫wお母さんとメールしてるって言ってるwww】
俺はNMBとの共犯意識で、ゾクゾクした。
二人は話し終えたみたいで、朝青龍はベンチから立ち上がり、一言NMBに何か言ってから駅の方に向かって歩いて行くのが見えた。
俺たちは完全に朝青龍が見えなくなるのを待ってから、悪い笑顔で、
俺&D「わーー!」
と叫びながらNMBのもとへ駆けていった。
NMBは俺たちを見つけると
NMB「なぁもお、どこにおったん?」
と可愛い笑顔で微笑んだ。
NMB「朝青龍と別れ話してる間も、ずっと探しとったんやからな!」
D「うっほwwwwwうっほwwww」
こいつはテンションが振り切れてる。
NMB「はーあ・・・」
俺「ん?」
NMB「んー、別れちゃった・・・」
この女は、付き合いたくなったら相手に告白させ、別れたくなったら相手に別れの台詞を言わせる、そういう女だ。
今回もその通りだったのに、「別れちゃった」とか言っている。
恐ろしい女だ。
するとNMBはフッと微笑み、
NMB「あーでもなんか逆にスッキリしたかも。あ、そうだ!ねえ、俺君・・・」
俺「ん?」
NMB「抱きしめて?」
俺「!!!」
この空気だ、テンションでごまかして、「まぁまぁ」なんつって抱きしめても全然大丈夫だ。
全然大丈夫だ・・・イケる・・・
・・・
しかし当時は硬派を標榜していた俺。どうしていいかわからずにいると
NMB「・・・なあんてね、本気にした?」
俺「!」
まぁそりゃそうだ。軽いジョークだ。
しかし、その目がなんだかどこか寂しそうで、それがとても、とても心に引っかかった。
その夜は一晩中「あのとき抱きしめていたら」ということばかり考えていた。