二十代で結腸ガンが見つかり、気付いた時には手遅れの状態だった。
ちゃんと年一で健康診断も受けていたのにも関わらず。
若いから進行が速かったんですね。で医師の説明は終わった。
で、俺には妻とは別に幼馴染の元カノも近くに居た。
妻と出来婚するまで同時進行で会っていた。まぁ、ぶっちゃけ二又だ。
ただ、元カノは妻の存在を知りつつだったけど、妻には元カノの存在を知らせなかった。
近所という事もあり、仲のいい異性の友達としての関係を続け、妻にもそのように紹介した。
すると何故か妻と元カノが仲良くなってしまい
俺が居ない時でも遊びに来るような関係にまでなっており、
娘も元カノにはなついているようだった。
妻は「丁度良かった。あなた達に話がある」と言い、語り始めた。要約以下。
・二股されている事は気づいていた。相手が誰かという事も知っていた。
・でも俺を取られたくないがためにゴムに細工をして娘を授かった。
・その事に対して元カノに罪悪感はあったが、平気な顔をして紹介されたことに殺意を覚えた。
・でも、元カノと話してみるといい人なのがわかってしまい、自分の感情の行き場に悩んだ。
・私との結婚を機に関係を清算していたのもわかっていたけど、
それでもお互い付き合いを続けてる事に、自分が入り込めない絆を感じた。
・子供の将来を思えば、俺一人に娘を預けるのに不安がある。
・もし、私に対し元カノが少しでも罪悪感を感じているのであれば、
今後の娘と俺の面倒を元カノに見て貰いたい。
・娘を一人っ子にするのは嫌なので、元カノとで娘の姉弟を産んで欲しい。
・元カノ以外と再婚する事は許さない。そうなった場合は化けて出て呪い殺す。
・死に逝く人間の最期の我儘、どうか聞き届けて下さい。
元カノは泣きながら妻にごめんなさいと言い、俺は何も口に出来なかった。
臨終の間際、妻は俺に「約束は守ってね」と笑顔で言い、それが最期の言葉となった。
元カノはもう娘に「お母さん」と呼ばせている。妻がママだったからかな。
娘が最初に口にした言葉でもあるのは知ってるから、その言葉は特別なんだろう。
気が早いと言われても仕方がないが、元カノの覚悟の一環だと解釈している。
妻と嫁の違いは理解している。でも俺の妻は後にも先にもお前だけだ。
元カノは俺という他人の嫁なんだよ。理解して貰えないとは思うけどね。
でも俺は元カノと、お前と過ごせなかった幸せで平凡な家庭を目指そうと思う。
お前に呪い殺されないよう、これからも頑張ってみるよ。
そのうち俺も行ったら、俺の人生を評価してくれ。甘めにね。
でもたまには、化けて出てきてくれよな。
え?元カノが奥さんに罪悪感を抱く理由が無いよね?
元カノは何も悪いことしてないもん
奥さんが病気でおかしくなってたか、そもそも作り話じゃないのか?
それが供養ってもんだ