月に一回若い女性から「定岡ゆりですけど○○さんいますか」と
店長宛てに意味深な電話がかかって来てた。
月に一回だから忘れた頃にまたポツッとかかってくる感じ。
毎回その電話を取るのは私で、用件はバイトには言わず
すぐに○○に代われと言う。そもそも「○○」という個人宛てに
電話がかかってくるのはこの女性一人。
店長はみんなが見守る中、二言三言話し、すぐに電話を切る。
そしてばつが悪そうに、上の戸棚を空けたり、
下の戸棚を空けたりしてオーバーアクションになる
その度に「そうとう後ろ暗い関係なんだな」とバイト同士
目配せをしあって店全体が意味深な雰囲気になった
というのは店長には毎日店に監視に来る嫉妬深い婚約者がいたから
電話のあと挙動不振になった店長はいつも慌てたように外の倉庫に行き
みんなから死角になる場所で携帯で何か話している
たぶん「定岡ゆり」に連絡をして「たのむから店にはかけてこないでくれよ」
とかなんとか話しているんだろうなと、みんなにらんでいた
そしてある日、店長にむかついた私たちバイト軍団は、
「定岡ゆり」の存在が婚約者の耳に入るようにしくんだ
その時に得た権利なのか、駅ビルの中にいくつも店を持っている。
正に土地成金ボンボン。親兄弟も全員駅ビルの中に店を持っていて
店長の婚約者もお店を一軒持たせてもらっていた。
でも元々は店長のレストランのウエイトレスだった。
婚約者の店の隣の化粧品屋に行った私たちは近くの
宝石店の人たちも誘って「誰とは言わないけれど絶対に女がいる」
「あの電話の人を婚約者は知らない」「二人はつきあい長い」
「誰とは言わないけれどあの人は周りにバレてないと思ってる」
「可愛い声だからおそらく美人」「婚約者はBSだもんね」
という主旨で長々と大声で立ち話。調子に乗ったほかの子が
「誰とは言わないけれど客ともいい雰囲気だった」とか
「辞めていったバイトとも怪しかった、一緒に車でスキーに行ってた」とか
大げさに話しまくり、化粧品屋や宝石店の店員たちは若くしてお店を持ってる
婚約者と不仲だったため 大 喜 びで盛り上がった
(これはバイト全員でローテーションで何日もかけて何度もやった。)
最初にやった次の日、婚約者は店に来なかった。次の日も次の日も
代わりに店長の親兄弟が来て長々と何か話し込む日が続いて深刻な雰囲気w
その後私はバイトを辞めたけど、ほどなくして店長は婚約者と別れてしまい、
結婚式と新婚旅行のキャンセル、婚約者名義にした物の処理、
新居に購入したマンションの行方、など色々大変だったらしい。
店長は仕事に没頭することで色々忘れようとしてるように・・・見えた(爆笑)
店のウエイトレスと一緒に出かけるほど仲が良かったことの方が
大きかったのではないかと思ってる
というのは婚約者は自分がウエイトレスだったから店長を信じていない部分があって、
日に2回ほど店に来てはオーナー面してウエイトレスに説教したり、
嫌味を言ったり、辛く当たったりで店長と仲良くならないようにけん制してたから。
ちょっと楽しそうに話すだけで、わざと水を倒して床を拭かせたりする人だった。
そんな婚約者に強く言えない店長に呆れて、過去にウエイトレスが
一度に全員辞めたこともあったとか。
その割りに高校生のウエイターには優しい態度で「私のことお姉さんだと思ってね」
みたいな事まで言って世話を妬いていたから、消えて良かったかなと
ちなみにバイトをやめ、入れ替わりに入って働いていた友達から
聞いた話によると「あれは定岡ゆりじゃなくて定岡油脂で油屋だ」という事だった。
店長は純粋に油の在庫確認や回収してもらう廃棄油の量を調べて、
折り返し発注の電話をしていただけだった。
でももう辞めてたし、ゆりでも油脂でもまあどっちでもいっか!と思った。
なんというオチwww
意味深な女から電話っていうシチュも先入観をエスカレートさせてたかな、、<油脂