二人は私の独立後に再婚した
生まれてからずっと父が手をあげる姿をみていたけど
母が私のことがあるからと言って離婚したがらなかったから、幼少時は何もできなかった
家は代々開業医で裕福
またなぜか父の暴力の対象は母に限定され私は普通に可愛がられていた
母が虐げられる中での父の厚遇は剃刀の刃を飲むように痛いものだったけど
幸福だと思わなきゃ単なる母の枷のようでそれこそどうしようもない
でもそれも16の時、酒の瓶を持った父から母を庇って流血沙汰になり
母は渋ったが私の度重なる説得と、
父の子供にまで傷を負わせてしまった負い目でようやく離婚になった
もう私はバイトもできる年だから、なんとでもしてやる
母を幸せにしよう、離婚してよかったと思ってもらおうと躍起になった
だけど就職して一年後、予定外にアパートに戻るといないはずの父がいた
とっさに警察に通報しようとした私を止めたのは、
床に転がっていた被害者だと信じていた母の、
これまでどれだけ殴られても出さなかった金切り声だった
加害者をかばうこと自体信じられないのに、さらに母は信じられないようなことを口走り始めた
「私はお父さんを愛してるし、お父さんも私を愛してくれている。
まだ恋人もいないあなたにはわからないんでしょうけど、いろんな夫婦の愛の形があるのよ」
DV被害者がラリってるんじゃない、彼女が正真正銘のどmの雌犬だっていうこと
逮捕を恐れてか、いくら成人してようが子供に話すようなことじゃないことを有体に語ってくれた
つまり母は心底暴力を振るう父を愛し、その暴力も愛情表現として受けとめて喜んで楽しんでたと
もちろん父も祖父母も分かっていた事だった
また離婚と今までの数年は
私ががあんまりいうのと教育に悪いからって表向き離れてただけだとも語った
笑い出したくなった
後遺症で長時間働けないお母さんのために、
バイト掛け持ちして勉強もおろそかにしないで頑張って、合間に家事もして
でもその間、お父さんと会ってSMプレイしてたんだね
お父さん高級取りだもんね、パートは嘘で、知らぬ間に会ってお金もらってたんだね
将来つぶしがきくように、母の面倒が見られるよう、看護師を選んだのに馬鹿みたい
好きな職業に就きなさいって言ってくれたのにね、そういう意味だったんだね
理解できるかって反発したら、生前分与だってゼロがいっぱいの通帳を後から貰った
私大の医学部に三回入り直せるぐらいの、
自分のせせこましい努力をあざ笑うかのような額
二人は真実を告白したら予定調和のように再婚した
全部空回りだったよ、ほんと余計なお世話だった
私の人生何だったんだろう
勉強とバイトの掛け持ち大変だっただろうな
過去は消せないし今の456はその上にある
でも、これからの人生は456のものだ
自分の目でたしかめた、信頼できる人、
愛せる人とよい人生を送ってほしい
456の目でたしかめた両親像が全然違うものだったんだから