私は28で在宅仕事。
旦那は30で激務リーマン。
去年の旦那バースデー。
私たちは付き合ってた時から、毎年お互いの誕生日には豪華な手料理で祝ってた。
去年もそうしようと思ってたんだけど、タイミング悪く直前に私が利き手を負傷。
包帯グルグルで、細かい作業は出来なかったけど辛うじて料理はできた。
本当はパティシエの友人(以下パティ友)に手伝ってもらって旦那の好きなキャラクターのケーキを作る予定だったけど、仕方ないのて断念。
ケーキはパティ友が職場で作ってくれることになった(職場の機材の方が完成度が高いから、と)。
なので私は料理に専念した。
いつもよりずっと時間はかかったけど、どうにかそれなりのものができた。
パティ友の店に取りに行く時間が近付き家を出ると外は小雨。
怪我してるし、傘を差していてはケーキを無事に持って帰れる自信がなかったので恥ずかしかったけどカッパで出かけた。
パティ友の店でケーキを受け取り、代金を払う払わないでわちゃわちゃ。
「激務旦那の誕生日だし!代金はいらないよ」と言ってくれるパティ友に、本当に感動した。
支払いましたがw
黄色のカッパを着、ケーキ箱を抱えて歩く三十路手前の女。
今思えば最高にイタいな。
家の近くまで来た時、後ろからすごい衝撃があり私は勢いのまま前に倒れた。
とっさにケーキを守ろうとしたのか利き手の手首から着地。
振り返ると無表情に私を見下ろすおっさん。
私が「…なんですか…?」と聞くと急に怒鳴りだした。
要約すると「道の真ん中を歩きやがって!俺の歩きたい道を邪魔するな!コンビニに行きたい!」と。
私、痛みで思考回路はショート寸前。
おっさんはそのまま、言ってやったゼ感を醸し出しつつ去ってった。
なぜかその場でケーキ箱を開け、ぐちゃぐちゃになってしまったケーキを確認。
涙も出ないほど悲しかった。
旦那の誕生日だったのにとか、せっかくパティ友が作ってくれたのにとか、一生懸命ケーキのデザイン考えたのにとか、そんな気持ちがグルグルしてた。
一部始終を見てたおばさんが手を貸してくれてようやく立ち上がり、そのおばさんにお礼をして帰宅した。
そこから旦那が帰る時間まで一生懸命ケーキの修復を試みた。無駄だったけど。
帰宅した旦那の顔を見た瞬間泣き出してしまった。
泣きながら事情を話すと旦那は、私がいじくり回したせいで余計ぐちゃぐちゃになったケーキをつまみ上げ一口。
「コレすっごいおいしいねー!!」と。
んな訳ねぇじゃん、小雨の中で箱開けたもんだから雨入ってまっせ旦那、「コレ雪だるま?かわいいねー」じゃねぇよ、リラックマだよ、雪だるまの季節じゃねぇだろ、と思いつつも旦那の気遣いにまた涙。
その日は用意した誕生日ディナーを食べたけど、せっかくの誕生日なのに気を遣わせてしまった旦那にただただ申し訳なかった。
利き手が倍くらいに腫れ上がってたので医者へ行ったところ悪化してた。
医者の帰りパティ友から電話。
「大丈夫?」と。
なぜかパティ友は前日のことを知ってた。
急遽会うことになり事情を説明。
とにかく謝り倒した。
せっかく作ってくれたのに申し訳ない、と。
そしたらパティ友ブチギレ。
「謝るな!お前は悪くない!っつーかなんでそん時おっさんに文句言わなかった!ふざけんな!」と。
どうやら、昨日手を貸してくれたおばさん、パティ友店の常連さんだったらしい。
私とパティ友のやりとりを微笑ましく見ていてくれたそうで、たまたま私と帰り道が一緒だった、手を貸してくれたはいいが私があまりに寂しそうだったので不憫に思い、今日パティ友の店に話しにきてくれたそうだ。
パティ友に手首の怪我が悪化してるなら診断書もらってこい、被害届を出せと言われた。
被害届となると私1人でやる訳には…と思い一旦持ち帰り旦那に相談した。
そしたら旦那は「出さなくていいよ、きっともう大丈夫だよ」とニコニコ。
旦那は私のことなんてどうでもいいのかのとショックだった。
旦那からは被害届を出す必要はないと言われ、パティ友からは出すべきだと言われ、どう判断すべきか迷う日々を送ってた。
ぶつかられてから1週間ほど経ったある日、医者へ行こうと家を出ると例のおっさん。
私、怯えて声も出ず後ずさり。
でも私より、なぜかおっさんが怯えてた。
「誰でもよかったのに…ごめんなさい…ごめんなさい…」とブツブツ。
鼻息ピープー言いながら封筒と投げつけてきた。
声をかけようとしたら幽霊でも見たみたいに悲鳴上げて逃げてった。
旦那帰宅後に経緯を話し一緒に封筒を開けると10マソ入ってた。
旦那は「だからもう大丈夫だって言ったじゃーん」とニコニコ。
何をしたか聞いても「ん?なんもしてないよ?」と。
後日、一度おっさんに出くわしたが転げ回るように逃げてった。
それ以来おっさんに会うことはない。
旦那さん、何者だ?何したんだ?
むちゃくちゃいい男だけど、むちゃくちゃ怖いわ。
てか、いい人に囲まれているね。何があっても守ってくれそう。
旦那さんを喜ばそうとする姿勢や、友達への気遣いから、
あなたがいい人だからそんな人が集まるんだろうね。
怪我はお気の毒だけど、後遺症もなく治るといいね。
長文失礼しました。