Aは優しくていい子だったけれど、どこか少し陰があって悲観的だった。
特に「家族なんて」「愛なんて・・・」みたいな発言が多くて、同い年ながら強めの反抗期かな?位に思っていた。
私立の学校だったから、私とAは互いの家は遠いけれど休日には行き来し、泊まり合う位の仲になった。
Aの両親はその都度私を歓迎してくれた。紳士的なお父さんに、明るくて元気なお母さん。
しかし、そんな両親をAは冷笑しているような感じ。
Aは私に「あの人たち上辺だけだから」「こう見えてうちには秘密があるから」とずっと言っていた。
私は私で外からは見えないけど何か複雑な事情があるのだろうと受け入れていた。