遺体と夜を過ごすのみならず、添い寝をする事には、恐怖や一種異常さ、更には狂気を感じる人も居られるかもしれない。
でも、その時の僕は、何ら異議を感じる事も無く、自然にそう出来たのである。
僕は少し眠ったのかもしれない。でも、妻は夢には出てきてくれなかった。
その事に僕は少しだけ残念な思いがした。
遺体と夜を過ごすのみならず、添い寝をする事には、恐怖や一種異常さ、更には狂気を感じる人も居られるかもしれない。
でも、その時の僕は、何ら異議を感じる事も無く、自然にそう出来たのである。
僕は少し眠ったのかもしれない。でも、妻は夢には出てきてくれなかった。
その事に僕は少しだけ残念な思いがした。
病院に着くと、個室とナースステーションを行き来する看護士の姿が見えた。
妻との約束で、決して人工呼吸器などはしない、というのがあったので、
自力での呼吸が止まるといよいよとなる。尿が止まって2日経っていた。
妻の終末医療が始まった。
搬送されたときのショック症状も和らぎ、安静にして眠っている状態。
担当医の意見では、
「腸間膜に豆が撒かれているように一杯転移している。手術などで取りきれるようなものでは既にない。
それが腸へ栄養を運ぶ血管を圧迫して塞いでいる状態。遠からず腸が壊氏をして、
恐らくはそれが原因となる氏、ということになるだろう」とのこと。
経済的には、表向きは何とも無いように振舞っていた。
特に子供には、財政が切迫していることを悟られぬように頑張った。
10年前の春、私(♂)夫婦と同居している私実両親のうち、母が3年の闘病の末亡くなった。
俺様な父は自分の妻の葬儀にも喪主を私にマル投げ、面倒なことは全て私と妻がやり終えた。
居なくなった母の家庭内での役割を出来るだけ私達夫婦で分担したつもりだが、
私には仕事もあるので、夕飯時などは妻が家事を一人でこなしていた。
父は止める母が居なくなったのを良いことに朝昼晩と酒を絶やさなくなった。
後から判ったことだが、どうやらその頃から、舅の嫁イビリが在った模様だ。
妻は、当時独立してまもなく自営業を軌道に乗せようと必氏になっていた私に心配を掛けまいとしていたらしい…
母が春に亡くなり、その夏、妻の身体に異変が起きた。
末期の癌であり、早くて3ヶ月、もって半年だと言う。
長くなるので、分けて書きます。