俺「………どうした?」
従姉妹「いや、何か言うの恥かしいなー、と思って」
俺「…めっちゃ気になるんやけど」
従姉妹「………」
俺はこの時絶対告白だと思った
自意識過剰かもしれないけど、それ以外考えられなかった
俺「ん?」
従姉妹「ありがとうな!」
俺「?は…?」
従姉妹「だって優アタシの事励ましてくれたし、いっつも話しかけてきてくれたし」
俺「あ、おお…」
従姉妹「あのおかげで大分楽になったんで、ありがとうってこと」
俺「ああ、別にいいけど…」
俺「!え、お前アレわざとだったんかよ!」
従姉妹「いやゴメンゴメン、辛かったのはホントやけど、アンタが面白くてついw」
俺「お前マジか…」
従姉妹「あはは、でも嬉しかったよ、ありがとう」
俺は告白を期待してただけに少しガッカリしたけど、まあこれでもいいか、と思った
次の従姉妹の言葉は衝撃的だった
ケジメ…どうだろう、付けるつもり
俺「!え、いや別に」
従姉妹「アタシが協力してあげようか!」
俺「は?」
従姉妹「あの子もバレー部やし、アタシ等めっちゃ仲いいけんな」
俺「へーそうなんか、でも」
従姉妹「あの子めっちゃ可愛いよなー、好きになるのも解るわ」
従姉妹「…あー、でも、何かゴメンな」
俺「…え、何が?」
正直ここらでイライラしてたけど、聞くことにした
俺「は?そんな事気にせんでええし、それより」
従姉妹「いや気にするって!アタシに任して」
従姉妹「っていうかアンタ元々仲良かったけん、普通にいけると思うよ?」
俺「ああそうなん、でもちょっと聞けよ」
従姉妹「?…どしたん?」
俺「俺別にさとみの事好きじゃないし、どうでもいいって皆にも言っとる」
思い出してオ/ナヌでもしながら書き込んでたのか?
何か普通にコタツ入って書いてたらパンって
俺「…それで俺がさとみの事好きっていうなら、その次にもう一人、俺に同じ事された奴おるだろ」
従姉妹「え………あ、いや、アタシは落ち込んどったけんだろ?」
俺「………まあ、最初は」
従姉妹「え?最初はって…」
俺「………」
ここで告白しなきゃならない、それは解ってたんだけど
どうしても好きって言えなかった
この時ほど自分のヘタレさを恨んだ事は無い
そのまま時間だけが過ぎていって、母さんが呼びに来て
パーティーは終わった
親戚だから一生会わないなんてことはできないし。
あとは気まずい関係のまま、何も無く中学卒業
卒業する時さとみに告白されたけど、断った
簡単に俺と従姉妹が行った高校を説明する
俺の行った高校、近所の工業高校で就職率100%という脅威の数字を誇る
部活もそれなりに強く、熱い青春を送れるのが魅力
けどヤンキーが多く生徒は男がほとんど、1学年に一人女子がいるかいないかくらいのレベル
先輩には逆らうな、がルールだった
一生会わない事は無いけど、結構会わないもんだよ
何年かに一回とか
そうか。
俺は親戚づきあいが濃いからな。
年に2度は会うよ。
男女比は4:6くらい、爽やかで健全な高校
クラスメートや先生は俺が工業高校へ行く事を驚いてたけど、止めはされなかった
ちなみに俺の高校と従姉妹の高校は車で30分ほどの距離
今は近く思えるけど、自転車しか交通手段が無かった当時はとても遠く感じたし
それ以前に従姉妹に彼氏ができたらどうしよう…ととても不安だった
それはそれはとてつもなく羨ましい
勉強は元々出来たこともあって上位をキープ、部活はもちろん卓球部で、どうしても先輩とプレイしたかったから必死でレギュラーになった
2年のとき、特になし、交友関係もそれなりで、部活も県予選を突破し四国大会へ
3年の春、俺はある人物と再会する
高校時代
元々本を読むのは好きだったけど、この時期が一番ハイペースで読んでと思う
図書館には部活が無い休日に、一週間毎に通っていた
その図書館でいつものように気になる本を探していると、急に声をかけられた
「あ、俺君…覚えとる?」
さとみ「うん!覚えとってくれたん?久しぶりやなぁ!」
さとみだった
さとみも友達とよく図書館へ来ていたそうで、たまたま俺を見かけたから声をかけたらしい
さとみの友達は皆美人だった
当の本人も相変わらず美人で、天然で、小さかった
そして超意外なんだけど彼氏はいない、とのこと
工業高校選んだのを心底後悔した
詳しく聞くと、高校へ入り話す事も少なくなり、お互い別々の友達ができたとか
少しショックだったけど、まあそれはそれでいいか、と思った
それから二人で近況を教えあって、また会うかもなって言って別れた
それからはよくさとみと会うようになって
その度お互いの友達がどうだとか部活が上手くいってるかとか話してた
俺の最後の大会(団体)は県でベスト8、正直納得いかなかった
その時もさとみとの交流は続いてて
夏休みの始めに二人で遊びに行こうって話もあったけど、結局行かずに夏休みは終盤に差し掛かる
俺が図書館に行くと、いつものようにさとみが居た
俺「よう、また勉強か」
さとみ「うん、進学校は大変なんよー…」
俺「マジで大変そうやな、こんなん全然解らんわ」
さとみ「なー……あ!」
俺「?」
俺「え、行かんけど」
さとみ「えー何でよ、いこーだ」
俺「だって何所行くかも解らんしどうせお前の学校の奴ばっかだろ」
さとみ「場所はまだ決まってないけど、メンバーは………」
さとみが挙げたメンバーは、どれも中学時代の同級生だった
俺「いやー…皆と会ってないし、何か俺一人浮きそうやけんなー」
さとみ「あ、そういえば従姉妹ちゃんも来るよ!」
俺「!」
これは俺の心を動かした
さっきのメンバーとは別段会いたいとは感じなかったのに、従姉妹だけは強く会いたいと思ってしまった
さとみ「ほんま!?やった!皆に言っとくな!」
俺はさとみにばれない様に、しょうがないから行ってやってもいいか、っていう雰囲気を出しながら答えた
そして家に帰って即カッコいい服を探したり髪型研究したりした
それから何回かさとみと会って、集合場所や何所へ行くか、皆の反応なども聞いた
自転車で出発、ちゃんと10分前行動を心がけた
俺一人だったら暇かなー、でもどうせ10分くらいで皆来るだろ
何て考えてるうちに図書館へ着いた
さとみは、既に来ていた
俺が、「うーす、早いなー」って話しかけると
「まあ今日は私がリーダーやけんな!言う事聞かないかんよ?」って笑ってた
そんなくだらない話をしてる内にぞくぞくと皆が集まってきた
皆中学時代のノリとあんま変わってなくて、俺の不安は直に無くなった
その時に交わした会話は
「…おう、久しぶり」
「…うん」
だけだった
もっと話したいと思ったけど、気まずくて、照れくさくて、何も言えなかった
車は、さとみともう一人野球部だった奴が出してくれた
向かった先は水族館
インドアな俺には嬉しい行き先だった
水族館では8人で行動するのは流石に、という理由で4人ずつに分かれることになり
8人の内の4人は驚く事にカップル同士だという事で、
俺、さとみ、友達、従姉妹
他4人
の組み合わせになった
正直イチャイチャするのを見てると腹立つので、良い組み合わせだと思った
他4人は、適当にぶらぶらしてくるって言ってどっか行った
魚の種類とかどの魚が凄かったとかは憶えてない
そんな事より、友達が従姉妹と仲良くしてて気が気じゃなかった
4人で回るはずがさとみ俺・友達従姉妹って感じで別れてた
さとみがつまらなそうにしてたから、申し訳ないな、と思って極力気にしないようにした
「うわーこれ綺麗やなー」
「ほんまやなー」
みたいに喋れるはずだったのに、何て言えばいいか解らないけどモヤモヤした物が俺の頭の中にあった
水族館では結局喋れなかった
昼食は女子陣が弁当を作ってきてくれてて、皆で食べる事にした
けど、女子二人が彼氏にばっかり食べさせるせいで、ここでもグループが別れた
俺は主にさとみのを、友達は従姉妹のを食ってた
正直「友達ウザイ」って思った、ゴメン