少し昔を振り返りたくなったので、良ければ付き合ってくれw
スレ立て初めてやし、語るも初めてやから、見苦しいところあっても多目に見てちょw
あと覚えてないとこは多少話を盛るんで、そこらへんもよろしく。
クラス替えの直後で、教室の中はざわざわと浮き足立ってた。
そして私が初めて自分の席に着いた時、前に座っていた女の子が、
グルンッと体を反転して声をかけてきた。
「一年の時隣のクラスだったよね!?私のこと解る!?」
笑うと八重歯が覗く可愛らしい女の子。
見覚えはなかったw
馴れ馴れしいな…と思いながらも、気使い屋な私が「顔は見たことあるかも」と答えると、
その女の子はパァッと明るい笑顔になった。
「私、雪(ゆき)!**雪!!」
よろしく!と言わんばかりに、意気揚々と自己紹介を始めた雪。
私は呆気にとられて、ただウンウン頷くだけだったw
最終的に「次の移動、一緒に行ってくれる?」と、
豆柴のような瞳で迫ってきて、「もちろん」と答える押しに弱い私w
ほにゃーんとした笑顔から覗く八重歯が、雪をより魅力的に見せた。
事実、雪は男子から「可愛い」と人気があった。
でも雪は意外にも人見知りで、私以外の人間とは積極的に話そうとしてなかった。
だから大人しく見られがち、というか、実際真面目で物静かな女の子だった。
なんで私にはあんなに積極的だったん?と聞くと、
「アキが優しいこと、私前から知ってたから!仲良くなりたかった!」と返ってきた。
まぁその話は追々。
私は目つきが悪くてヤンキーに見られがちなjkだった。
人並みに校則破る程度の、普っ通ーの女子高生なのに!失礼な話だ。
自分で言うけどw、
私ってキツイ見た目とは裏腹に、情に熱い気配り屋さんなんだw
そんな私を解ってくれてる男が一人いた。
中3からツルんでる、夏(なつ)だ。
地元が同じで、中3で同じクラスになって以来、ビックリする程打ち解けた。
元々クラスのお祭り男で、誰とでも仲良く話せる夏。
馴れ馴れしい夏に合わせて話してたら、
なんだか無性に気が合うことに気付いて、毎日が楽しくなった。
私が背伸びすると、身長追い越しちゃいそうなくらい、男子にしては小柄な夏。
声変わりはしてたけど、リスみたいな頬袋を持ってる夏は、いつまでも少しだけ幼く見えたw
私は、そんな夏のことがずっと好きだった。
同じ高校に通えてるのだって、私が好きな人を追っかけたからだ。
告白したいと思ったことは何度もあったけど、
夏には何度か彼女がいたし、気まずい関係になるのが何より一番怖かった。
だからずっと友達の顔をして、夏と一番仲のいい女子を演じてた。
あまりの仲の良さに何度も噂になったけど、
そのたびに夏が気持ちいいくらい否定してた。
噂になって内心喜んでる私は、その瞬間いつもムネを痛めてたんだ。
新しいクラスに慣れてきた頃、雪と廊下を歩いていて、夏とバッタリ出くわした。
「おー」って何気なく声掛けながらも、ラッキーって内心ガッツポーズの私。
でも、夏の視線は私の隣、雪に止まってた。
なんだかね、一瞬で解った
「あ、やばいかも」って。
案の定夏は「誰?新しい友達?」って、雪に興味を示し始めた。
「うん、雪。雪、こっちは同中の夏」淡々と説明したけど、心はぶるぶると震えてた。
そんな私を知る由もない夏は、目を輝かせて夏に挨拶してた。
人懐っこい夏の笑顔に、雪も笑顔で返してた。
とりあえず書き溜めてた分投下してく(`・ω・´)
「あ、こいつハル!同じクラスの奴」
夏が後ろを振り返り、背の高い男の腕をつかんだ。
夏にしか目がいってなかったから、連れがいたなんて気付かなかった。
背がやけに高くて、手足も長くて、全体がヌボーっとした印象の男。
でも私はこの男をうっすら知っていた。
一年の時、この男を好きだと言う女の子と友達だったから。
そういやそんな名前だったっけ?程度の認識だったけどw
ハルと呼ばれる男は、私と夏をヌボーっと見て、小さくペコッと頭を下げた。
中身もヌボーっとしてんのか、って私が呆れ気味にハルを見てるとき、
それとは違う視線をハルに向けてる人間がいた事には気付かなかった。
「どーもー」って当たり障りなくハルに返して、その日は夏達と別れた。
移動教室や休み時間、しきりにキョロキョロとする雪。
教室にいても、窓の向こうに何かを見つけた途端、雪の意識はそちらに向かう。
そして毎日どこか楽しそう。
いよいよ本腰入れて「どうしたの?」って聞くと、
「…ハル君って、いいよね…」とはにかむ雪。
ややこしいことになった、と思った。
夏の気持ちを確認してはないけれど、
夏が雪を好意的な目で見ているのは気付いていた。
そして私はそんな夏が好き。
でも雪は、夏の隣のハルを見ている。
ややこしいことに気付いてしまった。
それからと言うもの、私は毎日溜め息ばかりついていた。
「雪ちゃんって彼氏おんの?」
これで今までうっすら気付いた程度の夏の気持ちが、確信に変わった。
よりによって私の親友を好きになるなんて、と夏に苛立ちさえ覚えた。
私はこんなに夏のことが好きなのに、私を通り越して雪を見つめるなんて。
でも、しょうがない、と諦めるほかなかった。
それ程に雪という女の子は可愛かったから。
私には永久に越えられない壁だった。
>>12の続きはこっちw
不慣れでごめんw
でも私は、雪の気持ちを知っていた。
雪はハルが好きなんだ。
夏を通り越して、ハルを熱い視線で見つめてる。
私の中の黒い感情が、言葉となって出た。
「雪、私応援するから、頑張ってハルを落としてね!」
ありがとうと喜ぶ雪。
雪を思って目を輝かせる夏。
私は二人の笑顔を思い浮かべながら、毎日どんより重たい気分を味わっていた。
週の半分は四人でお弁当を食べ、休日には四人で外出。
心底楽しそうに青春を謳歌する二人に、私は作り笑顔しか返せなかった。
夏からの電話に浮き足立っていた私は、一瞬で地面に叩きつけられた。
「雪ちゃんの水/着たっのしみー!」と受話器の向こうでハシャぐ馬鹿野郎に
「はよシ/コって寝ろ」と言っちゃった事を、今でも私は悔やんでいる。
そしてその日は来た。
私と夏は地元が一緒だから、待ち合わせ場所まで二人きりだった。
嬉しかった。
まるでデートだと思った。
夏が私を家まで迎えに来て、笑顔で隣を歩いてくれる。
ハル達との待ち合わせなんて、なくなればいいのに。
でも無情にも、夏は雪の話ばかりしてるし、待ち合わせ場所にも着いてしまう。
自分のテンションが上下し過ぎて死ぬかと思っていた。
今でも覚えてる。
白いミニワンピースに負けない白い肌。
いつもは二つにくくられてる長い髪は、ヘアアイロンで綺麗で真っ直ぐな髪に。
誰もが振り向く可愛い可愛い女の子が、そこにはいた。
それに比べて私なんか、一生懸命お洒落したつもりでも、なんだかヤンキー臭さが抜けない。
むしろギャルみたいになっちゃってたりして…。
夏はそんな雪を見てテンション上がっちゃって、私にコッソリ耳打ちしてきた。
「アキアキ、俺、夏休み中に雪ちゃんの彼氏になるけぇ!」
日差しがギラギラしてて暑いのに、視界は真っ暗で冷や汗をかいた。
でも、雪はちゃっかりハルに手作りのお菓子を持参したりして。
普段ヌボーっとしてるハルも、なんだか楽しそうで。
私一人だけは、早く帰りたいって、窓の流れる景色を見てた。
でも気使い屋だから、それ悟られないように頑張っちゃったけどw
いざ海に着いて、場所を確保して、あとは雪の水/着披露会。
私も水/着着てるけど誰も興味ないだろうから、夏と一緒に雪コールした…
「アキも一緒に脱ごうよ」って照れる雪を無理やり脱がしたったよ…
おおおおおおおおおお!!!とか声上げちゃう男子共。
そりゃそうでしょう、清純系の雪が黒のビ*ニ(下はヒラヒラスカート)なんだから。
しかもおっ*いも普通に大きいし。
そしたらいつの間にかハルが後ろにいて、
「アキは脱がんの?」ってヌボーっと聞いてきた。
「あー、どうしよっかなって」と適当に返す私に、
「脱げよ」ってセクハラ発言するハル。
渋々パーカー脱いだら、
「あぁ俺アキの水/着の方が好き」ってハルに淡々と誉められた。
運良く雪には聞こえてなくて安心した。
パーカー脱いだのに気付いた夏が、
「おぉ!馬子にも衣装!」って言ってくれて嬉しかったなぁ。
「まぁな」とかしか言えなかったけど。
あの三人って三角関係なんだよなーとか思ったりしながら。
どんよりしながら砂いじってたら、影が私を覆って、
淡い期待を込めて見上げたら…ハルだった。
「喉渇いた」って言うから、二人でかき氷買いに行った。
ハルと二人きりなんて滅多にないけど、
まぁ別に気まずくもないし、淡々とかき氷買ったんだ。
そしたら「夏、雪ちゃんと2人になりたいだろうから、気を利かした」ってハルが言って、
私は「へー」としか言えなかった。
「アキ、大丈夫?」
ハルが急にそんなこと聞くから、ギクって心が揺れた。
「なんで?なにが?w」ってとぼけてたら、「元気ない時あるしさ」って言われて。
普段ヌボーっとしてるのに、そういうの気付くのかって感心したw
「暑いから疲れただけ!」みたいなこと言って誤魔化したけど。
「ハル、雪の水/着褒めてたよ!」って耳打ちしたら、雪ニンマリして喜んでた。
罪悪感はあったけど、雪とハルには上手くいってもらわなきゃ、そう思っていた。
雪とハルが恋人同士になったって、夏が私を好きになるかなんて解らないのにね。
日が暮れて、海岸沿いで花火をした。
雪が頑張ってハルと二人きりになろうとしてた。
だから私は喜んで夏を引き受けた。
でも元気のない夏。
「雪ちゃん俺のことどう思ってんのかなー」ってうなだれていた。
「雪は、ハルが好きなんだよ」
黒い私がそう言いたい衝動に駆られた。
でも言えなかった。
そんなことしちゃ駄目だ、夏が可哀想だ、傷つけたくない。
そう思ってしまう私は、一体何がしたいんだろう。
「お前も頑張れよ!」って笑顔で答えられたりして。
綺麗な手持ち花火が、綺麗と思えなかった。
無の感情で、黒く広がる海の波打つ音を聞いていた。
この日も雪は女の子の実力を見せつけた。
白地の可愛らしい浴衣に、綺麗なうなじが見えるアップヘアー。
私は紺色のありきりたりな浴衣。
こうも違うものか、と一人で失笑した。
例によって、夏が雪を褒めたたえ、ハルが私をちょろっとフォローした。
人混みの中、はぐれないように雪を気遣う夏。
花火が打ち上がり、見上げるハルの横顔を盗み見る雪。
何の行動も起こせない私。
一人一人、違う人を思い浮かべながら、色づく空を見上げていた。
おこぼれで私が夏に送ってもらう特権を手に入れたw
雪を思って反省会してる夏の隣で、ずっとドキドキしていた。
浴衣褒めてくれないかな。
また「馬子にも衣装だ」って言ってくれないかな。
私のこと見てくれないかな。
願いも虚しく、夏は雪の話だけをして、「じゃ」と私に背を向けた。
落胆しながら背中を見送ってたら、夏が振り向いた。
「ちゃんと手当しろよー」
そう言って手を振って去っていった。
下駄の鼻緒で靴擦れしていた私を、気遣ってくれた。
最後に少しムネが高揚して、救われた気持ちになっていた。
学祭の準備で慌ただしい時期だった。
私はと言うと、相変わらず夏に恋をして、
夏の恋を応援している振りをしていた。
電車や廊下で夏と会えるのをドキドキしながら期待して、
雪の話でニヤつく夏を見て落胆して。
自分の気持ちが限界に近くて、雪への嫉妬も感じていた。
ニコニコとハルの話をする雪に、勝手だけど「無神経」と思ったこともある。
雪は何も悪くないのにね…
もう少し書き続ける(`・ω・´)
保守ありがとう(`・ω・´)
例によって私は内心喜んでいたけれど、またガックリ落胆させられた。
夏が、学祭でみんなの前で雪に告白すると意気込んでいたからだ。
学祭のイベントで、「未成年の主張」なるものがあって、
メインステージに立ち、観客の前で何かを叫ぶというものだった。
それにエントリーするのだと。
なるほど、お祭り男の考えつきそうなことだ。
でも反応に困ってしまった。
そんなことしたら、大勢の観客の前で夏が振られてしまう。
そんなのあまりに酷だ。
でも…雪がほだされる可能性は…?
進展しないハルに見切りをつけて、夏に心変わりする可能性は…?
ゼロだと言い切れる?
言い切れなかった。
こんなに魅力的な男を振る女なんていないだろ、くらいに思っていた。
けれどその日は来た。
自分のクラスの催しなんかどうでも良かった。
夏の告白のことばかり考えていた。
本番の時間が近付いていた。
そんな時、夏が私を訪ねてきた。
「やばい、めっちゃ緊張する」
夏は私の前で武者震いしていた。
珍しく、顔から笑みが消えていたんだ。
「どうしても告るん?」
最後のあがきで、そう訊ねた私。
夏の返事は意外なものだった。
「やっぱ、やめようかな」
いざ夏にそう言われると、
「それでいいのか」と自分に問いかける自分がいた。
目の前で自信なさげに俯く夏に、
私は「うん、やめときなよ」と言ってしまうのか。
雪の心変わりが怖いから?
そんなの夏にも雪にも失礼だ。
何というか、自分はズルイと思った。
だから言ったんだ。
「いやいや、もうエントリーしてんだから、言ってこいよw」
「でも」とグズつく夏に、「長い片思いに決着つけてこい!!」って、
自分の耳が痛いことを言い放った。
単純な夏は「そうやな!」って力強く立ち上がって。
「じゃ行ってくるわ!」って
「あんがとー(ありがとう)」って言って、走って行ってしまった。
その後ろ姿を見ながら、爽快感と絶望感が、ごちゃ混ぜになった。
全身がカタカタと震えてしまった。
ぬるんぬるんかいてゆく
学祭のメインイベントということもあって、
ギャラリーは会場いっぱいに溢れていた。
メインステージで叫ばれるのかと思いきや、
三階の校舎の窓から叫ぶシナリオになっていた。
その三階の校舎を見上げて、
今頃夏はスタンバってるのかと思うと、不思議と吹っ切れてきた。
「夏、がんばれ」そう思っていた。
夏に告白されとも知らず、隣でワクワクしている雪に、
「ちゃんと聞いてあげてね」と声をかけた。
事情を知っているであろうハルも、雪を見ながら頷いていた。
その中には夏と同じように告白する生徒もいた。
告白された生徒はメインステージに上がって答えを出すんだけど、
なんとOKされて会場が沸いた。
これには、夏もきっと勇気づけられたんじゃないかなって思った。
そして夏の名前が発表された。
窓から、夏が顔を出した。
ガッチガチに緊張してるのが下からでも解って、三人で顔を見合わせて笑った。
私は雪の肩に手を回した。
雪はキョトンとしたけれど、すぐに笑顔で夏を見つめた。
いつまでも叫ばない夏に、会場が少しざわついた。
私達は、がんばれがんばれと、夏に向けて呟いた。
ようやく、夏が口を開いた。
「雪ーーーーーーーー!!!!」
雪が小さく「えっ」と声を上げた。
私はより力を込めて雪の肩を握った。
さぁ、くるぞ。
ん?
「アキーーーーーーーーー!!!!」
あれ??
「俺ら永久に不滅なりィィィィィィィイアアアアアアアアアッーーーー!!!!」
私達三人はポカンとしていた。
司会者が「会場に今の方々いらっしゃいますか?」と訊ねてきたけど、
まだまだ私はポカン続行中だった。
すると、いつもは大人しい雪が
「いぇーーーーーーーーーい!!!!」って声上げた。
そしたらハルも「おおおおおおおおおお!!!」って叫んでて、
意外な二人の大声に我に返って、笑ってしまった。
私の笑い声で、会場からチラホラ笑い声聞こえて、
「あ、以上です」って言う夏の声で一斉に拍手が湧き起こった。
夏は最後だけヘラヘラしながら手を振って、引っ込んでいった。
雪は興奮した様子で
「びっくりした!!びっくりした!!」と繰り返していて、
ハルと私は顔を見合わせて少し笑った。
夏の雄叫びはBEST3にも入らなかったw
それにも私たち三人は笑いあった。
私は一人、夏を探した。
すぐに見つかったけどw
夏の教室でクラスメートに囲まれてケラケラ笑ってた。
私に気付いた夏は、ばつが悪そうに笑った。
磨り硝子から差し込むオレンジ色が、後ろから夏を照らしていた。
日が落ちるの早くなったな、とぼんやり思いながら、
「なんで言うのやめたん?」
早速直球を投げたw
夏はヘラヘラ笑って、黙り込んで、頭を抱えた。
「土壇場でビビった…」
蚊の泣くような声でそう呟いた夏の肩が震え始めた。
「告れんかった…」「情けねぇ」って嗚咽混じりに呟く夏。
ビックリしたけど、夏の足の間にポツポツ落ちていく涙の滴を見てたら、
何故かこっちも視界が滲んだ。
「泣くほどのことでもないでしょ!振られたら泣け!」って
肩ポンポンしながら返した。
「うん」って頷きながら、「でも告るのこえぇー」って、
夏は少し泣き止んで言った。
「解る…」としか言えなかった。
「え、解る?」って聞かれて、意味もなく頭はたいたw
夏に笑顔が戻ったから、
「でも、嬉しかったよ、俺ら永久に不滅なりってヤツ」
そう伝えられた。
「スベッてたけどw」って付け加えると、アアアアアア…って呻いてたw
雪が「ありがとー」って言いながら夏に駆け寄ってた。
夏はまたばつが悪そうに笑ってたけど、どこか嬉しそうだった。
でも多分一番喜んでたのは雪だ。
雪はこういう、友情を感じられる言動に滅法弱いから。
ハルはヌボーっとしながらも笑ってた。
そんな高2の学祭だった。
変わらない関係に、ついに痺れを切らした人間がいた。
意外にも雪だった。
「頑張ってメールしても絶対返事返してくれるし、
何度か二人で帰ったこともあるし、賭けてみる…
私ハル君に告白する。」
覚悟を決めた雪の行動は早かった。
次の日の放課後にはハルを空き教室に呼び出して、告白した。
私は教室でドキドキしながら待つしかなかった。
その時、雪の言葉をずっと思い返してた。
「勘違いやったら言ってくれて構わんのやけど、夏君って、私のこと好き?」
突然の振りに私は言葉に詰まってしまって、雪はそれで全てを察したようだった。
「やっぱりそうか」と呟く雪に、
「バレバレよね、あいつ…」としか言えない私。
「だいぶ気付かない振りしてたんだけど、やっぱりかぁ」
雪はいつから気付いてたんだろう。
「でも、私、ちゃんと断るからね」
雪が私と目をそらしながら言った。
動揺してしまった私は「なんで私に言うん?」と強い口調で雪に訊ねた。
私は、夏が好きだということを、雪に伝えてなかった。
何故か、言えなかったんだ。
自分では上手く隠せているつもりだった。
「四人の関係を壊さないためだよ」だった。
そして雪の言葉は「ハル君に告白する」に続いたんだ。
そんな事をぐるぐると考えていると、夏が教室に入ってきた。
「なぁ、もしかしてさぁ…」って言いながら。
もしかして、の続きはなんとなく予想が付いていたから、
「そうだよ」って答えた。
夏は大きく息を吐きながら、空いてる席に座った。
夏が苦しそうな声で呟いた。
そうはなってほしくないと願っていた私には重い一言だった。
「なんでよ」って強い口調で聞いたけど、
夏は言葉を濁らせるだけだった。
それから二人で雪を待った。
会話は特になかった。
スレタイでいくと
夏→雪→ハル→アキ→夏
だな
でもなんで冬じゃなくて雪なんだろう?
色白だからかねえ
というか季節順にしてみるとカオスになってわろた
書いてゆく
私は何となくこの後の流れを予想していた。
もし夏の言うとおり雪がふられしまったら。
夏は、雪を精一杯慰めるだろう。
もしかしたらその時告白するかもしれない。
でも雪は「断る」と言ってくれた。
ほだされないと、約束してくれた。
だから夏もふられる。
雪の言うように、このまま四人の関係が壊れないなんて、有り得るのだろうか。
言いようのない不安な気持ちに襲われた。
雪が「あれ、夏君もいたんだ」とぎこちなく笑った。
まだ教室にクラスメートが数人いたから、
私は雪を引っ張って、カーテンの中に連れ込んだ。
入った途端、雪の両目からぼろぼろと涙がこぼれた。
そして「ダメだったぁ」と呟いたんだ。
「なんで?」と聞いてしまった私に、
「好きな人がいるんやって」と嗚咽混じりに答える雪。
「誰か聞いた?」と続けると、首を横に振って一層泣き出してしまった。
雪を抱きしめて撫でてあげることしかできなかった。
「ふられるだろうなーって、思ってたんよ」
そうなん?て聞く私に、力無く雪は笑った。
カーテンから出ると、夏が何とも言えない顔でこっちを見てた。
そして「雪ちゃん、帰ろう」って言った。
私なんて夏の眼中に入っていないようだった。
その証拠に夏は言った。
「アキはハルに付いてやって」
夏は、雪と二人きりになりたいから、こんなこと言うんだ。
そう思った。
けれど雪は一人で教室から出て行った。
私の顔を見ずに。
その後を夏が走って追いかけてった。
私に「ハル頼んだ」と言い残して。
なんだか打ちのめされた気分で、ふらふらしながらハルの教室へ向かった。
今の私のメンタルでハルをフォローできっこないのに、と思いながら。
でもハルはもう教室にはいなかった。
ホッとした。
そして一人でふらふらと帰った。