ネームを読み終わる編集の一言に俺は戸惑った
「あのさあ……これまた女の子主人公になってるよね?」
そして編集にはもう一つ引っかかる部分があるという
これが迫害された人達が世界の隅に追いやられてひっそり生きているという風に感じてしまったらしい
編集はそれを例に出しつつもっと人と人が繋がるラストのがいいと言った
ただよつばとはやめろ
元がデフォルメのかかった絵だからもっとリアルな方向でという話だった
帰る事になった
いつもの様に「また来ます」と告げ帰ろうとした時
編集は噛みついた
「こっちもそこまで時間ある訳じゃないんだよね」
「前言った事も守れてないし、女の子主人公にしたり」
「うんとねえ……」
突然の最後通告だった
だがその胸の内は不思議と晴れやかだった
もういいや
俺はその雑誌で連載をとる事に特別な意味を見いだせなくなっていた
ドーテーの俺には分からなかったが
いやこの例えはドーテー関係ないが
幸い模写というのは本当に画力が上がるのだという事を実感していた
しかも俺は1年間、泥棒マンガから数えれば3年間持ち込みでプロの編集に意見してもらっていたんだ
新しい編集部は俺のマンガに驚くぞ
マンガ家を目指してから4年が経とうとしている
俺はまだこの世界になんの爪あとも残せていない
つづく
明日からはマジで時間とれん!ごめんな!
気になるとこで…
何故か勇気もらいました
ありがとうw
いくつか適当にスレ建ててて勢いで>>4書き込んで初めちゃったスレだがなんかの役に立ったなら嬉しいぞw
語ってると当時の事思い出すなぁ
初持ち込みの事書いてる時は本当にまた胃が痛くなった
頭が真っ白ってああいう事いうんだよ船場吉兆
本末転倒だよ
初日はちょっとのめり込んじゃったが今は片手間だから大丈夫w
ちゃんと今のマンガも変わらぬペースで進んでるよ
ただスカイリムやる時間なくなったがw
今女の子が主人公ってなかなかないのかな?
逆に男が女になるのはあるけどさ
編集はデフォルメ云々でよつばとはやめろと言っていたがよつばとが特にデフォルメの強い絵だと思わなかったのとやはりあずまきよひこの魅力的なタッチに惹かれていた俺は前回と同じ作品を模写する事にした
何よりいくらアドバイスをくれていたとはいえあの雑誌とはもうなんの関係もないのだ
自分の感性.り優先させる事はないだろう
ここで俺は過去に実績のあるネームを引っ張り出す事にした
賞に出した魔法モノだ
これから持ち込む所とは別の雑誌だが一応1人のプロの編集が認めたネームだ
これなら大スベリする事はないだろう
俺は持ち込んだ時に言われた事を踏まえて手直ししたネームをもう1度原稿にする事にした
やはり画力は上がっている
そして12月の半ば
再出発をかけた原稿が完成した
だが年末進行で忙しいのらしいその雑誌の編集ではなく同じ系列の別の雑誌の編集がその雑誌の編集として持ち込みを見る事になった
これはその雑誌に持ち込んだ事になるのだろうか?
俺はキツネにつままれた様な気分で電話を切った
ややこしい話ですまない
俺は新たに挑もうとしている雑誌の編集として俺の原稿を読んでいる別の雑誌の編集と向かい合っていた
原稿を読んでいた別の雑誌の編集が口を開く
「お話と設定はいいけどキャラが弱いね
絵も描けてはいるけどキャラ絵に華がない」
どうやら手直しした際に説明過多になってキャラが薄まってしまったようだ
絵の方は以前言われた線の強弱をまだ掴めてないのが大きな原因だった
本来その雑誌の編集ではないためか随分あっさりしたものだった
こうして俺は帰りの電車の中までキツネにつままれながら気分を引きづりながら新たなスタートを切る事になった
その間支えてくれた親も偉大だね
これが新たなスタートでいいのだろうか?
俺はもう1度同じ出版社に持ち込む為に新たなネームを切っていた
考えてみれば新たなスタートを切ろうとしているのに以前のネタの焼き直しで挑むのはおかしいじゃないか
設定も悪くない
「いいですね」のネタには及ばないが視覚的な華も十分あった
何よりその視覚的な華がドラマにばっちり結びついている
これは「いいですね」にもなかった長所だ
キャラもいい
特に3人小隊のビックマウスな隊長がお気に入りだった
だがこれは時間がかかる
「視覚的な華」の部分がそのまま作画時間の増大に繋がっていた
だが思いついてしまったモノはしょうがない
描かなければ完成しないのだ
20P程描いた所で前回の不完全燃焼な持ち込みで賞に出したマンガの結果が出た
新たなスタートをやり直そうとしている男が前回の新たなスタートの結果を見に行く未練がましい話だ
未練がましい上にややこしい
いつもと違うのは今回はあの雑誌ではないという事だ
そしていつもと違うのはもう一つ
ある
発表ページには24年間見慣れた自分の名前
そして何より見慣れた自分の絵が載っていた
今日も生きる!
結果は1番下の賞
ほとんど名前が載るだけだった
だが悔しさもあったがやはり嬉しかった
ようやくこの世界に認められたようで少しホッとしてもいた
持ち込みの時にうけた指摘とほぼ同じようにだ
だが次の作品はキャラもいいぜ?ぬかりなし
発表が載った雑誌を買ってニヤニヤしながら家に帰った俺はノリノリで近未来アクションのつづきに取りかかる
待っていろ全国の読者共
もうすぐお前達を阿鼻叫喚させるデビュー作を届けてやるぞ
発表から2週間ほど経った頃1本の電話を受ける
編集部だ!
内容は「これから私が担当します」というものだった
そして「今ネームとかやってます?」の問い
ネーム?
とっくに原稿に入ってるわ!
俺は早速FAXを送る
するとその日のウチにもう1度電話があった
急な誘い
だが幸い翌日はバイトが休みだった
そしてこの打ち合わせは
俺のマンガ人生において大きな転機となった
面白いわぁ…
ゆっくりでいいよと言う反面早く早くと急かしてしまう自分がいる
すまん
少しだけだが
前述の通り編集にネームを送れと言われたが貧乏な一人暮らしだ
当然FAXなど持っていない
俺は実家からFAXを送る事にした
だが知っているだろうか?
一般的な家庭用のFAXではB4は送れないのだ
これはどうしようもない
結構金のかかるコンビニからFAXを送る事にする
俺は仕方なく事情を説明した
俺が家を出てから離婚した母
家を出る前はヒス気味だったが久々に会うと随分落ち着いていた
それを見て少しホッとする
複合機を買ってもらった時に言ったありがとうは反抗的を経てから初めてのありがとうだったかもしれない
まさか母ちゃん離婚したのは>>1のせいじゃないよな…?
違うw
詳しくは話さないが父親がクズだった
離婚すると聞いた時はホッとした
家を帰る途中でマンガを始める時にやめた会社の前を通った
会社は潰れていた
まあ24時間労働させる超絶ブラックだ
当然といえば当然かもしれない
どうでもいい話はここまでだ
編集部で新たな担当と顔を合わせる俺
挨拶も早々にマンガの話に入る
電話では作品の感想を一切言わなかった編集
この編集から直接自分のマンガの話を聞くのは初めてになる
「受賞したのはキャラ弱かったけどこれはいいね3人いるのに全員キャラ立ってる、かっこいい」
「設定も話もいいね、直してもらいたいトコはあるけどこの設定もかっこいいよ」
「でもねー……」
「受賞したのもそうなんだけどやっぱり絵が弱いよねー」
「FAXしてもらった原稿もそうなんだけどさ、あ、今生原稿あるの?」
「やっぱりまだプロの原稿じゃないんだよね」
「これちょっと見てみて」
渡されたのはプロの原稿だった
華がある
1本1本の線が生きているのだ
俺は目を奪われた
言われるまでもなく俺は絵が描きたくてしょうがなくなっていた
早く帰らせろこの編集!
だが俺の意に反しこの後打ち合わせは5時間ほど続く事になる
それは俺がこの後編集がする一つの提案の為だった
「あのさ……、原作でやってみない?」
だがやはり抵抗がある
自分で絵を描きたい
それを告げると編集は
「うん、でも原作ならやりながら絵の勉強も出来るでしょ?」
それで学べる事もあるだろう
迷った末俺はこの提案に乗ってみることにした
原作で使われるとかよほど内容良くないと無いんじゃね?知らんけど
「絵も話も全部ダメ」
あれから3年
俺にも一つは武器になるものが出来たのかもしれない
絵の方が費やした時間は大きかったのに
そう思うと悔しかった
俺は絵を1から勉強し直す事にした
まずは毎日デッサンだ
「いいですね」以降のは大体2~3ヶ月だな
ネームだけなら2~3週間か
誰かと組んでやるという事を考えると自然とプレッシャーもかかってくる
思えば今まではなんとなくネームを切っていたがキチンとした技術が必要なのではないか
そして俺は今まで話作りをちゃんと勉強していなかった
起承転結程度の知識しかない
俺は話作りは0から勉強し直す事にした
まずは脚本関連の本を何冊か買った
俺が勉強を終えるまでなど待ってくれないのだ
俺は絵と話の勉強を進めながら他人に作画してもらうネームを作り始めた
舞台は珍しく現代
ある日常的な娯楽から発現する能力を奪い合うバトル漫画だ
まずはこれで原作から天下をとってやる事にする
担当から連絡が入る
コンビを組む作画さんの描いた絵を送るとの事
早速入手したばかりの複合機から出てくる絵を見る俺
なるほど確かに上手い
相手も新人さん
マンガの話は素直に楽しかった
すると作画さんはすぐに主人公を絵におこしてくれた
だがそれを見た俺は一つひっかかった
確かに上手いのだがデフォルメがキツい
かわいすぎる
正直この絵だと現代もの、それもイメージしていたスタイリッシュな雰囲気とはかけ離れている様な気がした
そこで俺は一つの打開策を考えた
あれなら現代ものではないし作画のかわいさもプラスになるだろう
すぐに担当にその旨を伝える俺
元々担当はこの近未来アクションを見て俺に原作の話を持ってきたのだ
むしろこっちの方がいいという雰囲気だった
善は急げ、すぐに近未来アクションのネームを作画さんに送る
だがそれに対する作画さんの反応は全く予想外のものだった
このネームを送った直後から
彼とは連絡がとれなくなったのだ
俺天才じゃねwww絶対マンガ家になれるだろwww会社やめ1ヶ月ニート
★「魔法使いのマンガ」(盗賊団を倒す魔法使いの話)を描き始めるも挫折>>8-17
★「ヒーローもののギャグマンガ(16p)」を投稿するが落選>>18-29
★「泥棒もの」のストーリー漫画を描く(45pに9ヶ月かかった)>>32
持ち込み評価:「絵も話も全部ダメ」(この時>>1は21歳)
持ち込んだ漫画を酷評され絵の練習をする
■2005年頃?
この時点で一年半ほど経過、家を出る
絵の練習と平行して幾つかネームも作る
■2006年頃?
★「ファンタジーアクション漫画」(女の子が女の子の為に頑張る話)>>91
初持ち込みから1年半ほどたった頃完成(ネーム3週間原稿3ヶ月)
評価:「いいですね」(この時>>1は23歳)
次は男の子主人公で持って来いとの指示
★「前回の設定に男の子を足したマンガ」(2人が辿り着いた町で親子を助ける話)>>198
評価:詰め込みすぎ、キャラが薄くなってる、線に強弱つけろ
★「スケブを下に敷く技法で仕上げたマンガ」持込>>220
評価:線きったねーなあ、話はよく出来てんだよなあ
この漫画を賞に出すことになる→落選
★「地球が変形するロボットマンガ」(31p)持込(3月頃)>>247-284
評価:よくわかんない
★「風結びという種族の話」>>286
評価:あのさあ……これまた女の子主人公になってるよね?人と人が繋がるラストのがいい
「とにかく次でダメだったら僕はもう見ないから」突然の最後通告
→その雑誌で連載をとる事に特別な意味を見いだせなくなっていた
★「賞に出した魔法モノを手直したマンガ」完成12月半ば>>361持込
評価:まぁまぁだがキャラ弱い
賞に出す→受賞(1番下の賞)
■2008年頃?
★「近未来アクション」(視覚的な華がドラマに結びついている)>>394-457
評価:キャラが立ってる、設定も話もいい、絵が弱い
→原作担当になることを提案される
★「ある日常的な娯楽から発現する能力を奪い合うバトル漫画(原作)」>>490
作画の絵がかわいすぎる為お蔵入り
→前述の近未来ものを原作にする事に
→しかし作画と連絡がとれなくなってしまう>>497
歴史上の人物みてえwww
だが原因は分からなかった
しかしもしかしたら集中して作画をしているのかもしれない……
その可能性.考えた俺は作画さんにお渡しした近未来アクションの原稿は中断して、現代ものの能力バトルの方を自分で原稿にする事にした
3ヶ月ぶりに担当に連絡をとり持っていく旨を伝えたが「郵送して下さい」との事
忙しいのだろうか?まあネームはチェックしてるんだ、大した問題ではないだろう
いい機会だ、俺はじっくり絵と話の勉強を続ける事にした
それと同時にネームも進める
今度は天国の話にしよう