1:2011/10/19(水) 23:35:32.52 ID:l4AYQTCX0
暇な奴は時間潰しに読んでくれ。 
もう15年前の話でよかったら。

http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1319034932/
2:2011/10/19(水) 23:36:20.51 ID:l4AYQTCX0
俺が小学校6年生に進級したときの話。 

6年生初日の登校日。 
特にクラス替えもなく見慣れた顔触れで 
「春休み短かったよな〜」とか 
「FFの裏ボス倒したぜ」とか 
いつも通り友達と会話をしてる所で 
教室の扉が開き、先生が入ってきた。 

「あ〜、やっぱりまたふるっち先生かよ〜」 

「うるさい。大体お前らわかってただろ? 
うちは二年ごとに受け持つ学校なんだから」 

「先生の顔見飽きた〜。」 

こんな何気ない会話が教室に響き渡る。 
先生自身も全員去年と同じ顔ぶれなので 
特に気張って挨拶もすることもなく 
「今年もよろしく」程度の挨拶を済ますと 
だらけてた先生の顔が一瞬引き締まる。

4:2011/10/19(水) 23:37:17.93 ID:l4AYQTCX0
「今日から転校生がきたんだ。 
いいか?みんな仲良くしてやれよ〜」 

「わかってるよ〜。席が一個多いもん!男?女?」 

「焦るな。今、紹介する。坂倉〜。入ってこい〜」 

クラスみんなの視線が扉に注がれる。 
横に座ってる山田花子を7〜8発蹴られたような顔したブスは 
「出会いの予感♪」などと、狂おしいほどに 
イカれた言葉を汚い顔面にある肛門から吐いたのを覚えている。 

扉が開き一人の少年が下を向いたまま入ってきた。

7:2011/10/19(水) 23:38:38.37 ID:l4AYQTCX0
髪が無造作というよりかは、むしろぐちゃぐちゃといった表現が近い 
耳まで伸ばした黒髪に、二重でやや釣り上がり気味の目。 
顔は面長で細く引き締まり、やや大人びた顔立ち。 
キツネ顔のホストのような男にクラスの連中は目を奪われる。 

「うわ〜♪」「きゃ〜♪」という黄色い声援というよりかは 
もはやピンクに近い天井に突き抜けるような悲鳴を女子達があげ 
その声を聞いただけで男子数人は既に不愉快そうな顔をしてる。 

普通の転校生だったら自己紹介で 
オロオロ戸惑い上手にしゃべれず 
緊張感を丸出しにするのだがこの坂倉は違った。 

半ばふてくされ気味に「坂倉・・」と告げ 
そのまま少しの間があくが 
二つ目の言葉は彼の口から出てこない。 

先生が「趣味とか特技は?」と聞いても 
「別に・・」と、小さい声でつぶやく。

8:2011/10/19(水) 23:39:45.01 ID:l4AYQTCX0
横に座ってるブス女は「声もかっこいい」などと 
鼻息を荒くし、ノ〜トを広げ 
おもむろに「坂倉 ブス子」と書き 
名字と名前のバランスを心配していた。 

「席どこ?もういいでしょ先生?」と坂倉は告げると 
舌うちしながら席につく。 

俺はこの坂倉の態度が鼻についた。 

バカ女達がイケメンとのロマンスを妄想で繰り広げるには 
もってこいのオカズになりえるルックスだ。 
やや悪ぶった態度がさらにメスの本能を刺激させて 
脳みそをイカれさせ湿らせるには十分。 
いいオカズをもらい、尻尾振って喜ぶ発情期のメス犬共。 

こいつらの声援はどうでもいい。 

俺はこの舐めた態度にランドセルを背負わず 
肩掛けバッグでやってきて 
どこの角度から見ても生意気なこいつをしめる!と 
一人意気込んでいた。 

9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/10/19(水) 23:40:08.95 ID:LDFON2rL0
転校したときって 
根暗が明るいキャラに変わるチャンスだよな 
したことないけど

10:2011/10/19(水) 23:40:52.10 ID:l4AYQTCX0
俺は当時クラスで一番喧嘩が強く 
番長的な存在だった。 
発育が早く既に身長が170センチあり 
他はみんな身長は150センチ台ばかり。 
まともに取っ組み合えば体格差ですべて押し切れるので 
俺に喧嘩で勝てる奴はいなかった。 

絶対に負けるはずがない。 
大きな自信を持ち、6年生初登校日ということもあり 
午前中で授業が終わる。 

帰りの会が終わり、帰ろうとする坂倉を 
俺は背中から捕まえた。 

「おい!俺がこのクラスで番を張ってる1だ。 
てめえ挨拶もなしか?」 

今、思い返すと「番を張ってる」などと 
知能指数が低い言葉をかっこいいと思い込み 
最高のキメ顔で言っている当時の自分を思い出すと 
その事実を知るもの全てをこの世から消したくなるが 
まだ6年生だから勘弁していただきたい。 
なんせバイブルがろくでなしブルースだったから・・・

12:2011/10/19(水) 23:42:26.95 ID:l4AYQTCX0
「・・・・・・」 

「あ?返事でき・・ガブッ!!」 

目を合わすよりも言葉を交わすよりも早く 
坂倉は俺の横顔を殴りつけた。 

俺は一瞬何が起こったかわからなかった。 
いきなり殴りかかってくる事など想定していなく 
「あれ?なんかほっぺたいてえな?」と 
理解するのに数秒を要した。 

しかし、頭の中で組み立て殴られた事を理解すると 
「てめええ!こらあああ!」と 
坂倉の髪を掴んで振り回す。 

この髪をつかんで振り回したのまでは 
覚えているが喧嘩の中身はよく覚えていない。 

なんとなく覚えているのは 
とにかく坂倉は防御を一切せず 
俺が殴った上から無理矢理殴りかかってくるという 
狂気じみた喧嘩の仕方をしてきた。 

14:2011/10/19(水) 23:43:18.89 ID:l4AYQTCX0
喧嘩自体は圧倒的な体格差も手伝い 
俺の方が有利に進めていたと思うが 
あまり記憶は定かじゃない。 

ただ途中から一切防御しないで 
何発も顔面に攻撃が入ってふらふらしてるのに 
全く引かずひたすら殴りかかってくるこいつに 
「もう怖いから終わりにしたい・・」と 
思っていたのは覚えている。 

その後、誰かが教室に先生を呼びに行き 
喧嘩を止められて終わった。

15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/10/19(水) 23:43:36.33 ID:K6yTR29sO
小学生で150cm台ってそんなにいたか?

16:2011/10/19(水) 23:43:51.76 ID:l4AYQTCX0
俺は職員室へ。坂倉は保健室へ連れて行かれ 
先生に事情聴取を受け 
自分から喧嘩を仕掛けたことを正直に話すと 
マジでたんこぶができたほどの強烈なげんこつをもらい 
保健室行って坂倉に謝ってこい!と、職員室を追い出された。 

「謝んなきゃ・・いけねえのか・・・」 

俺は謝るのが嫌だった。 

自分から喧嘩を売ったんだから自分の方が悪いのはわかる。 
しかし最初の舐めた態度やランドセルじゃなく 
偉そうに肩掛けバッグを持って現れ 
いくら喧嘩売る気で声をかけたからとはいえ 
いきなり殴りかかってきた奴に謝る・・・ 
考えただけでも気に入らない。謝るなんて冗談じゃない。 

俺はそのままランドセルを背負って 
玄関に向かい靴を履いて帰ることにした。 

17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/10/19(水) 23:44:14.82 ID:Irq4gojr0
小6くらいなら四捨五入で150くらいだろ

18:2011/10/19(水) 23:45:34.68 ID:l4AYQTCX0
「あ〜、謝んなきゃ親に連絡くるかな〜?」 
なんて内心ちょっとびびりながら靴を出していると 
タッタッタと走ってくる足音が聞こえてきた。 

「やばい!帰ろうとしてるのバレたか?」と 
身を隠そうとしたがここは下駄箱。隠れる場所はない。 

もう怒られる覚悟で足音が聞こえてくる先を見つめていると 
その足音と共に視界に飛び込んできたのは坂倉だった。

19:2011/10/19(水) 23:46:37.99 ID:l4AYQTCX0
「あ・・・・・・・・・」 

「あ・・・・・・・・・」 

お互い目が合い、空気が凍り 
全ての時間が止まったような空間ができる。 

なんでこいつ・・ここに・・・ 

どうする・・謝るべきか? 

頭の中ではいろいろ考えを巡らすも 
なかなか良策が見出せず動けない、 

水道をキチンと締めなかったのか 
ポツポツと滴り落ちる男が聞こえる・・・ 

そんな静寂の中、坂倉が口を開いた。 

20:2011/10/19(水) 23:47:08.77 ID:l4AYQTCX0
「・・・・帰んの?」 

「あ・・ああ・・・先生にお前に謝ってこいって 
怒られて。でも謝りたくねえからこのまま逃げるつもり。」 

「・・・・・・・・・・・・俺も」 

「え?」 

「・・・俺もお前にいきなり殴りかかったんだから 
謝ってこいって言われて・・・・ 
腹立ったから逃げて帰ろうとしたところ・・・」 

「ぷっ・・・・」 

「は・・ははははは」 

空気が緩み、時間が動き出すのを感じた。 
張り詰めていた空気は優しく溶けて 
俺と坂倉を優しく包みこみ、柔らかくなった日差しを浴びながら 
お互い笑いが止まらなくなった。

23:2011/10/19(水) 23:48:57.35 ID:l4AYQTCX0
「んだよ。お前謝れよ!」 

「お前こそ謝れよ!」 

「嫌だね。」 

「俺もごめんだね。」 

「んじゃ一緒に帰ろうぜ。」 

「似たもの同士、一緒に帰るか!」 

どっちも謝らずに仲直りする経験は 
人生でこれが最初であり最後かもしれない。 

俺は坂倉と親友になった。

24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/10/19(水) 23:49:13.66 ID:Irq4gojr0
それでそれで?

27:2011/10/19(水) 23:50:51.58 ID:l4AYQTCX0
俺はこの喧嘩以降、ほとんどの行動を坂倉と共にした。 
学校ではもちろん終わってからも毎日のように一緒に遊んだ。 

ただ仲良くなればなるほど不思議な事があった。 

小学校6年生ならばたいがい門限がある。 
俺の家は当時としては若干甘めで 
夕方の6時半だったが 
いつもバイバイするときは 
「俺はもうちょい遊んで帰るわ」と言っていた。 

いくら子供とはいえ、毎回毎回「まだもうちょい遊んで行く」と 
言ってるのはおかしいと気づく。 

しかし一度それについて深く聞こうとしたが 
何度聞いても「遊び足りないだけ」としか返事が返ってこない。 

小学6年生には心配でもそれ以上の事をしてやれない。 
俺は気にはなりつつも 
それ以上は触れずに時を過ごしていた。

28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/10/19(水) 23:51:46.95 ID:yp2s+NQYO
いい話じゃねぇか 
THE・青春

30:2011/10/19(水) 23:53:00.78 ID:l4AYQTCX0
ある日、うちの母ちゃんが坂倉を連れて来いという。 
俺は小学5年生まではいろんな友達と 
ゲ〜ムをやって遊んでいたが 
6年生になり急に坂倉ばっかりと遊ぶようになり 
また外にばっか行くようになって 
飯食ってる時も坂倉の話ばかりしてるもんだから 
坂倉に会ってみたい!と騒ぎ出した。 

「なぁ?うちの母ちゃんが会いたいって言ってんだけど 
遊びにこねえ?」 

「え・・?お前の母ちゃんが? 
・・・別にいいけど・・・」 

このとき、少しだけ下に 
うつむきため息をついた気がした・・・ 
こいつの表情を今でも忘れない。

34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/10/19(水) 23:54:20.70 ID:Tp2LYqps0
後のインパルスである

35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/10/19(水) 23:54:45.48 ID:Irq4gojr0
>>34 
やめろwwwwwww

36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/10/19(水) 23:55:31.92 ID:g8CbZ3KxO
>>34 
それ板倉や

37:2011/10/19(水) 23:55:49.63 ID:l4AYQTCX0
何はともあれ坂倉が来ると知り 
菓子やらジュ〜スを用意して出迎える。 

時間になって坂倉が来ると 
「待ってたわよ〜!」とうちの母ちゃんは 
坂倉に抱きつき「か!勘弁してください!」と 
顔を真っ赤にして坂倉はじたばたしていた。 

その後、母ちゃんを交え3人で話してたんだが 
やっぱり母ちゃんがいると坂倉としゃべりづらい。 

「もういいだろ!出てってくれよ!」と再三説得し 
1時間かけてやっと俺の部屋から出て行った母ちゃん。 

「悪かったな。しゃべりづらかっただろ?」 

「たしかにしゃべりづらかったな。 
でもいい母ちゃんじゃん」 

「そうなのよ。私はいい母親なの♪」 

母ちゃん、屋根をつたって二階の俺の部屋の窓に張り付いてた・・・

38:2011/10/19(水) 23:56:38.09 ID:l4AYQTCX0
今度は窓にカーテンを絞め 
完全防備状態にして俺と坂倉はタバコに火をつけた。 

なんとなく悪ぶっていた俺達は 
タバコを普通に吸うようになっていた。 

「こら!ガキャ〜!てめえらタバコ吸ってんじゃねえ! 
ここ開けろコラァ〜!!」 

母ちゃんはカーテンを絞められて 
帰ったふりをしつつも 
その窓の下に伏せて盗み聞きを続行していた・・・ 
しつこいよ母ちゃん・・・・ 

59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/10/20(木) 00:11:17.72 ID:QUtLPYwL0
>>38 
さすがに無理がありすぎてワラタ

40:2011/10/19(水) 23:57:57.02 ID:l4AYQTCX0
「わ・・悪かったよ。今、開けるよ!」 

ガラガラガラ・・・・ 

「てめえ!1!いつも言ってんだろ! 
タバコ吸うなら私の前で吸えって! 
隠れて吸って火事とか起こしたらどうすんだ! 
吸いたきゃ私の前で堂々と吸え!」 

うちの母ちゃんは高校時代は 
それはもう漫画に出てきそうなクソヤンキーで 
覚せい剤以外は全て経験していた。 
高校時代の写真を見せてもらったが 
トータルテンボスのアフロにもう一発サンダーを 
かましたようなバカでかい頭に 
真っ赤な口紅をひき、ロンスカにぺっちゃんこのカバンを抱え 
「押忍」と書かれたマフラーを装着していたほどだ。

42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2011/10/19(水) 23:58:20.38 ID:QkMpdRtH0
小学校で何年留年したんだよ

45:2011/10/19(水) 23:59:48.98 ID:l4AYQTCX0
そんな母ちゃんだから俺がタバコを吸おうと 
酒を飲もうと文句は一切言わなかった。 
ただただ言われたのは「私の前でやれ」 

陰でこそこそ悪さをすると 
焦ってロクな結果にならないってのが 
母ちゃんの持論で 
例えば隠れてタバコ吸ってる→見つかりそうになり 
焦ってどっかに投げ捨てる→火事を起こす」となったら 
取り返しがつかないと。 

だからいつも「何かするなら私の前でやれ」が口癖だった。 

今、思うとホント変わった母ちゃんだったな・・・ 

そんなこんなで坂倉が帰った後に 
母ちゃんと坂倉の事をしゃべっていたが 
母ちゃんが変な事を言い出した。

46:2011/10/20(木) 00:01:11.71 ID:KKhg5spC0
「あの子、イイ子だと思うよ。だけど 
なんていうのかな・・・ 
凄い私の顔色をうかがってたわね」 

「そりゃそうだろ。窓から急に怒鳴りつけて 
タバコ吸うなら私の前で吸え!って言われたら 
顔色も伺いたくなるって。」 

「そうじゃなくて・・・う〜ん・・・ 
とにかくなんか凄い怖がってたように見えた。 
ま、勘違いならいいんだけどね〜」 

母ちゃんの言ってた事はこの後的中してたことを知らされる・・・

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