「大学が始まったらバイトやめるんですか?」
こんな簡単な質問すらも、恐ろしくて出来ないでいた。
既に四月になっていた。
小鳥遊さんの合格報告を聞いてからというもの、俺は彼女と距離を取る様に努めていた。
実らない片思いほど辛いものはない。
少しでも早く冷ましてしまうのが吉だろう。
しかし、そんな思いも、実際に彼女を目の前にすると霧散してしまう。
彼女は眩しすぎた。元ヒッキーの根暗やろうには、あまりにも眩しすぎた。
俺は相変わらず、しょうもないくらいに、彼女の事を想っていた。
体重は小鳥遊さんの出会ってから七キロも減っていた。
これ以上の体重を落とすのは現実的ではなかった。
栄養不足なの生なのか、心が痛めつけられているからなのか、歩くだけでも億劫だ。
脆く儚い精神状態の俺。
彼女の発した何気ない一言が、それに追い討ちをかけた。