もう10年くらい前
近所のねーちゃんが外人の旦那連れて帰ってきた
ねーちゃんはとあるオタ系在宅自由業
東京の気候がイヤになって田舎に戻って畑でもしながら
仕事するべと旦那と話し合って戻ってきたらしい
ちょうどネットやメールも普及しきった頃だったし
田舎の年寄り連中はゲージンだ、ゲージンだと
白人旦那にびびったが、旦那が気のいい人なのと
畑仕事を熱心にやってる姿に打たれてか
だんだんみんなに溶け込んでいった
余談だが白人旦那は回覧板を回すのがなぜか好きで
回覧板が来るといつも大喜びで「ボクが回す!」とすぐ
隣に回しに行っていた(読めよ
あと日本の犬が大好きで犬がいる家に回覧板を回したがった
いや順番があるんだよ
しょうがないから旦那のために次を犬がいる家にしてやった
日本の食べ物になかなか慣れなかったのだ
パンもケーキも自分で焼くスゴイやつだったが
米のゴハンが苦手だという
あとショウユも駄目、味噌もダメ
アメリカ人て豆をよく食うらしいんだけど
煮てそのまま食うのが多くて、あとは豆の缶詰とかスープとか
旦那はもともと豆の缶詰があまり好きじゃなかった上に
大豆の加工品ってのが無理だったらしい
というわけで旦那は自分の作った畑の野菜と自分が焼いたパンと
既製品のシリアル、ねーちゃんがたまに買ってくるマック、
うどんで生きていた
(うどんはなぜか好きだった)
しかしある日旦那の食生活に転機が訪れる
それは町内会の会合で出された枝豆
田舎に住んでる人は知ってるだろうけど枝豆っていっぱいとれるから
お茶請けに食ったりするのよ
ちゃぶ台の真ん中に大皿置いて、ドサっとあけてみんなで
ポリポリ食う
すすめられて「じゃあちょっとだけ…」と手を伸ばし
ひと口食って「ウマーーーーーーーーーーイ!」と味皇化
ハバネロを食うおっさんのコピペみたいにバクバク食い
「おかわりもあるでよ」と大皿に何度もあけた枝豆
スーパーの大袋一杯分を全部食いきった
翌日から旦那は近所の余った枝豆をもらいまくりの食いまくり
年寄りって作るだけ作って食わないから
枝豆とか茄子は余る野菜の筆頭なんだけど
とにかく旦那が食いまくってくれた
茄子はテンプラにして持ってったらこれまた旦那が気に入って食ってくれた
図体でかいから食うとなったらすごく食うんだよね
ねーちゃんが枝豆ゴハン炊いたらこれも気に入ったらしく
米が食えるようになった旦那
「枝豆って大豆なんだぜ」と教えてやったら大豆加工品も食えるようになり
めでたしめでたしだった
この話テレビ放映もされたから見る人が見たらわかっちゃうかもしれんが
(フェイクはちょい入れた)
生まれてはじめて喰わず嫌いが治る瞬間を至近距離で見て衝撃だった
可愛い旦那さんだなw
犬がいる家に回覧板とか