一気に書くので誤字脱字はスルーしてくれ。
彼女との付き合いは高校からで、同じ大学の四年の時の話。
付き合いが七年にもなるので、俺に気の緩みがあったのは確かだが、一年下のアメフト部員に寝取られた。
段々それがエスカレートしてゆき、時には学食で俺含め何人かで一緒にいる時でさえも声をかけていた。
アメフトは学内でも幅を効かせていたからそれだけで気持ちが大きくなっていたのもあるんだろうが、完全に俺は舐められていたと思う。
確かに奴は180センチ強のムキムキ体型、俺は170弱の中肉中背の一見冴えない奴だったのもあるだろう。
ある日同級生のアメフト部員から連絡があった。加奈とも共通の友達。
そいつの第一声、「お前、加奈ちゃんと別れたのか?」
全く意味が分からなかったが、後輩が加奈とヤったという話をしているのを聞いたらしい。
よくよく考えると一週間位前、学祭辺りから加奈の態度が少しおかしかったような気がした。
学祭最終日に色んなサークル集まって打ち上げしたんだけと、その時酔わされてやったんだと。
酩酊させられてヤられたんなら強姦罪だから警察行こうって言ったんだけど加奈の歯切れが悪い。てか必死に阻止しようとする。
酔わされたといっても、加奈も満更でもなかったというオチ。
泣きながら言ってたよ。「俺がバイトばかりで相手にしてくれなかったから寂しかった」「後輩君はいつでも優しかったし、私を第一に考えてくれてたのが分かった」「私の為に彼女とちゃんと別れてくれたから」
耳を疑ったよ。七年も付き合ってこれかよ、ってね。
なんかもう全てが馬鹿馬鹿しくなってね……
事件が起きたのはその三日後くらいかな。加奈とは完全に切れてるというには微妙な時期だったと思う。
「加奈さん困らせるの辞めてもらえますか?」
意味不明で奴の顔を見上げるのが精一杯。
「男らしく身を引いてあげてやったらどうです?」
後輩は上から俺を小馬鹿にした様な目つきで言った。
「そんな事他人のお前に指図される筋合いはないよ」というと、後輩は無造作に食器をテーブルの上に置くと、大きく溜息吐きながら俺の目の前の椅子に座った。全く存在を無視されたアメフト一二年はそこに立ち尽くすのみ。
「彼女本当に困ってるんですから」
「困らせてんのはお前だろ」
その時加奈とその友達が学食に入って来て、俺たちが対峙してるのを見てすぐに側に来た。
側、と言っても俺の側ではなく、後輩の側。
で、奴の袖を軽く引っ張りながら、「後輩くん、辞めてよ。こんな所で」声を潜めて必死に訴えていたが、後輩は見向きもせずに薄ら笑いをたまにしながら俺の顔を見ていた。
加奈は一瞬「?」の表情をした後、「後輩君、何言ったの?どうなってるの?困ってるって、何?」
後輩は加奈の手を軽く振り払うと俺の方に顔を近付けてこう言った。
「俺たち、既成事実もあるんですよ。付き合ってんのも同然なんです。彼女を放ったらかしにして寂しい思いさせたあんたが悪いんでしょ?」
遊ぶ金のためだけに片手間にバイトしてる後輩に言われ、怒りが爆発しそうになった。
それまで薄ら笑いを浮かべたり俺の事を完全に見下していた態度の後輩は、やや面食らっていたようだった。
「彼女いるのに人の女のケツばかり追い掛ける腰抜けが偉そうに言うなよ」
みるみる内に真っ赤になる後輩。一二年がいる手前、引っ込みがつかなかったのかもしれない。
でも俺は更に追い込んだ。
「お前、さっきから上から目線だけど何様なんだ?運動神経ゼロのただの木偶の坊だろ?そんなんだからレギュラーになれねえんだよ」
言い終わった瞬間に俺は殴られた。八重歯で口の中を傷つけてしまい、血が大量に溢れてくるのが分かった。
「落ち着け!落ち着けって!ケンカは良くない!」みたいな事を言ってたっけ。
内心、「あ~、またか……」と。
すぐに人の喧嘩に口はさんでむやみに止めてくる奴、必ずいるよね。
ただ昔からケンカになると必ず止めにはいる輩がいた。殴り合いに至る経緯を知らないくせに、単にケンカは良くない、という理由だけで。
男同士の喧嘩なんて、中途半端に終わらせて良い訳がないのに。
俺は喧嘩の相手よりも、寧ろ無責任に喧嘩を止めてくる奴の方が嫌いだった。
俺は奴らをゆっくりと振り払うと大人しく、務めて冷静に言った。
「後輩、こいつらが喧嘩は良くないって言うから辞めたよ。だからこのまま警察行ってくるわ、お前に殴られましたって。お前、前科ついて退学にもなるだろうな、残念だけど」
俺が学食を後にしようとすると、俺を止めた同級生が駆け寄って来た。
「いや……ちょっと警察はまずくないか?そこまでする必要は……」
「お前、なんで途中でとめたんだよ?なんでああなったか、お前事情知ってたのか?どうせ中途半端な正義感からなんだろ?そういうの、偽善っていうんだよ。お前のせいで後輩は逮捕される事になるんだよ。」
みるみる青ざめる同級生。
「遅いよ、もう。後で警察来るだろうから宜しく。あとお前捕まるのはあいつらのせいだからな。俺を憎むなよ」
尚も追いすがって来たので言ってやった。
「じゃあ裸になって土下座しろ。そしたら許してやる」
後輩、凄い表情してゆっくり土下座した。周りには多分50人位は居たと思う。当然彼女も。
「すいません……それは勘弁して下さい……」
後輩の声が震えていた。
「じゃあ一発蹴らせろ」
「……分かりまし……」
奴が言い終わらない内にサッカーボールキック。さすがに顔面は可哀想だと思ったので、額辺りを力を抜いて蹴り上げた。
でも蹴った衝撃で一瞬意識が飛んだのか、ガクッと前のめりに崩れた時に硬い床に顔をぶつけて前歯三本折ったみたい……
結果的に少しやり過ぎたとは思った。
加奈ともちゃんと話をした。放って置いたことが多かったのは事実だし、それは素直に謝った。
バイトを増やした理由も話した。
号泣なんてもんじゃない。腰が砕けたみたいになって、子供みたいにあんなに大声出してワンワン泣く加奈を始めて見たよ。
でも別れたよ。
やっぱり浮気した事に変わりはないし、しかも俺が一番嫌ってた相手でもあったし。どうしても許せなかった。
その後、後輩と加奈は結局付き合う事はなかった。
その更に数年後、俺も結婚したけど、当然式には加奈にも出席してもらった。
嫁には加奈の事は全て話してある。加奈も旦那に全て話してるみたい。
一歩間違えるとブラックな歴史なんだけど、そんなんで今では良い思い出とは言えないまでも、それなりに話はできるような感じにはなってきたかな……
一度だけ、加奈から二人きりの時に「私達が結婚してたらどんな家庭になったんだろうね……」と振られた事がある。俺は何も言えなかったけどね……
つまらない話だったね。
長文ごめんね。
さすがに加奈ちゃんはすべて言えるか?
自分が別の男と浮気したので別れた7年付き合った元彼、までだぞ?
別にそんなとこ重要じゃないし
「みたい」って推測でしか書いてないんだから
深くツッコむところでもないでしょ
付き合ってた相手の結婚式って行くもん?
人によるんじゃね?
行くやつも知ってるし、連絡すら取らないから結婚したのすらしらないやつも知ってる。
それはどうでしょうね。女の立場から中々言いづらいとは思います。
因みに私は「第三の男が現れて学食で大揉めして別れた」としか嫁には言ってません。察してるかもしれませんが……
加奈ちゃんから件の一言を言われた時は動揺しましたね。現に学生の時は私は結婚する気満々でしたから。
でもだからと言ってお互い今のパートナーに不満などあるわけがなく、円満ですよ。
いい感じで二人とも年齢を重ね、大人になったなと思います。
後輩は総合商社に入ってロシアで鉄を売り買いしてるみたいです。やっぱ体育会系は就職いいみたいね。
優しすぎ。
蹴ったりした時点で汚いものに触っちゃったね。
土下座も何もさせず、黙って警察に行けば良かったのに
その優しさが、いつか仇になるよ。
優しすぎる
いいじゃねえか
全く優しいとは思えない。本当に歯が三本折れたなら過剰防衛じゃないの?
まあ優しくする必要もない相手だけど
人のせいにして警察行くのも意味不明
結果的に過剰防衛と言われても仕方ないと思う。でも男として馬鹿にされて黙ってる程人が出来ていないんだよ。独りよがりとか言ってる奴いるけど、当時の俺のやり方にはついては何ら後悔はしていない。
あと警察行くのを人のせいと言うけれど、口だけだよ。キツイやり方とは思うけど、以前から結構頭にきてたからね、この同級生には。
結婚式に呼んだ云々は何とも言えないね。嫁には事前に話して「呼ばれたんだから呼んであげてもまあいいか」みたいなノリだったと思う。とは言っても確かに賛否両論かもね……
俺は力でねじ伏せようとか、姑息な考え方をする奴が大嫌いだ。ケンカをよくしたって言ったけど、体大きくないから結構負けることも多かったよ。
だけど何もせずに嵐が通り過ぎるのを我慢して情けなさや悔しさだけが残る位なら、玉砕するまでぶつかって行く方がスッキリするからね。
別に俺の考え方を良しとして欲しいとは思ってないよ。変な奴もいるもんだ、程度に捉えてもらえると助かるよ。
なんか変に熱くなってごめんね。
しあわせにね