カノ子…俺の彼女。当時は婚約寸前
妹子…カノ子の妹。ちょいギャル
妹カレ…妹子の婚約者。ギャル男ってほどでもない。顔はフツメン
親同士の紹介も済んで、そろそろ正式に婚約しようかと思ってた仲でした。
俺が2年ほど他県に赴任することが決定したのがきっかけで
戻ってきたら正式に婚約しようと、カノ親、カノ子、妹子と、俺両親と俺とで会食した。
妹子は真面目なカノ子とは違うタイプで、メイクも服もギャルっぽかった。
でもTPOで非常識ってほどじゃなく、カノ子の妹にしては派手だなーと思った程度。
話してみたら気さくで、明るいしゃべりやすい子だった。
妹子がもうちょい親睦を深めたいと言うので全員で酒も飲める店に行った。
カノ親は妹子にはデレデレって感じで、妹子の言うことはなんでも
「もうおまえはしょうがないやつだな~」
って聞いてしまうって感じに見えた。
妹子はカノ子より5歳下で、末っ子らしく家族に可愛いがられていた。
二軒目はカラオケもある店で、うちの親父が妹子とデュエットしたり
まあなごやかに終わった。
直後、俺はバタバタと他県へ引っ越し。
カノ子とはメールと電話だけのやり取りがしばらく続いた。
カノ親に電話したが「カノ子は入院した」と言われました。
どこが悪いんですか?と聞くと、胃かいようになったと言われた。
今度の休み、見まいに行きますと言った。
でもあの子には休養が必要な時期だから、と病院名を教えてくれなかった。
俺は妹子とはメアド交換してなかったが
うちの親父がしてたので、親父からアド聞いて妹子にメールした。
妹子は病院名は教えてくれたが
「今はまだ会わない方がいいんじゃないかなー」と何号室にいるか教えてくれなかった。
でも胃なんだからきっと内科だろうと思って
次の休み、俺はその病院の内科の入院病棟に行った。
でも病室の名札にカノ子の名前はなかった。
入院したなんて嘘で、きっと他に好きな男でもできて俺と連絡とりたくないんだろうと
しょんぼりしながら帰った。
でもせめて一言くらい彼女本人から意思表示が聞きたかったし
面と向かって話したかったので、
比較的話しやすそうな妹子にもう一回コンタクトをとった。
妹子はしぶっていたが、そのうち「わたしが言ったって言わないでね」と
カノ子がいるのは内科ではなく、心の病気の方だと教えてくれた。
カノ子のいる会社と所属は俺から見てもけっこうハードなとこだったから
仕事でストレスがあったんだなと、さほど意外でもなかった。
見まいに行ってもいいもんだろうか、と妹子に聞くと
「きっとお姉ちゃん喜ぶよ!カノ親と妹子も面会予定の日だから一緒に行こう」
と請け合ってくれたので、
カノ子携帯に
「大変だったこと知らなくてごめん、次の日曜に会いに行く」とメールして
返事がなかったにもかかわらず、俺は病院に向かってしまった。
今思うとあまりに考えなしだな。
ニッコニコな妹子。
知らん男(あとで知ったが、妹カレ)
がいた。
カノ親は嫌そうだったが、俺に「帰って欲しい」と言いだすこともできず、
何より妹子が強硬に主張したので、しぶしぶ俺も連れてってくれた。
全員家族と婚約者で身内だから、面会できた。
でも俺を一目見た瞬間、カノ子はパニックになってしまい、過呼吸になって倒れて
俺は結局ろくに面会も話もさせてもらえなかった。
カノ子は仕事のストレスじゃなく、過食症になって入院していた。
半年で40キロ太って、入院してから15キロ落ちたところで
まだまだ俺には会いたくなかったらしい。
あとでカノ子から聞いたところによると、過食症+妹子への暴力で入院させられたんだそうです。
暴力っていうか、殴る蹴るとかじゃなくて、正確には妹子への噛みつきが
問題だったらしい。あとはものを投げるとか。
噛み付きって、カプっと?突っかかるの比喩表現じゃなしに?
妹子は手がかかるけど可愛い、甘やかされる子。
長年カノ子は内心で不満をつのらせてはいたんだが、妹が嫌いなわけじゃないし
お姉ちゃんだから、と自分に言い聞かせて今までやってきていた。
でも俺とカノ子の婚約がだいたい決まり、俺がいなくなった後に
妹子が妹カレを連れてきて、即結婚という話になったそうだ。
つかもう腹にできちゃってるから即デキ婚にしないとまずかったわけなんだが
カノ親がそこで
「はじめての娘の結婚!」
「はじめての孫!」
「ただでさえ可愛くてたまらない妹子が孫まで連れてきた!」
と脳がフェスティバル状態になってしまったらしい。
そう。比喩じゃないガブ
俺は見てないけど血が出るまで噛んでたみたい
つづき
俺は正社員だし、カノ子もちゃんとしてるけど
妹カレはパチ屋店員で不安定。妹子もフリーター、しかも孫ができる。
じゃあ全面的に妹子に金銭的&体力的援助をしましょう!
お姉ちゃんはしっかり者だから自分たちでなんとかしてね!という態度をあからさまにされて
長年地味に不満をため込んでいたカノ子は
「一生に一度の晴れ姿なのに、それすら妹の二の次にされるんだ」
とショックだった。
俺がすぐそばにいればまだ良かったんだろうけど、俺は他県だし
カノ子は過食に逃げ、太ったことで「俺にも嫌われる」と思い込んで連絡も絶った。
…というのがここまでのいきさつでした。
「俺はカノ子と結婚したいし、この気持ちは変わらないです」と
伝えたかったので、手紙に書いて看護師に渡した。
二週間くらいしてカノ子から返事が来た。
そこからはしばらく文通した。
カノ子は最初はあたりさわりのないことしか書いてこなかったが
だんだん本心を書くようになってきて
「妹も親も嫌いじゃないけど、妹ばかり可愛がるところは嫌いだ」とか
「妹カレの借金まで親が肩代わりした。そんなの妹のためにならないのに、親は馬鹿だと思う。
でもそれを言うと親に嫌われそうだから言えない」
「病院にいると楽だ。でも親の面会日はまた過食したくなる。特に妹子には来てほしくない。
でも親には絶対言えないし、妹子を嫌うような姉だと思われる方が嫌だ」
と正直に書いてくれるようになった。
俺的に妹子はどうでもよかったしカノ子の味方だったから思ったまんま
「カノ子が頭にくるのは当たり前だし、親がムカつくなら俺んとこにいつでも来ればいいんじゃね。
俺んちの子になっちゃえばいいじゃん」
的な返事を毎度出していた。
今考えればちょっと無神経な手紙ではある。
カノ子はちょっとずつ明るくなってきて
「55キロ切ったら教えるから面会に来てもいい」と手紙に書いてきた。
俺が面会に行くと、以前よりちょっとポチャになった程度のカノ子がいた。
担当医が言うには、カノ子の問題は家族間のもので、しこりが大きいから
よーく話し合って解決しないと病根の解決にはならないうんぬんかんぬんなんだそうだ。
でももうカノ親にとって妹>カノなのは治らないだろうと俺も思ってたし
その解決に完全に至るまでに、またカノ子が病んだら
どうしょうもねーだろうと思ったので
「もう俺んちの家族になるってことで、カノ子んちの家庭のことはいったん置いておかない?」
「結婚して、俺んとこに居場所作ってからの方が、カノ子も愚痴言いやすいんじゃない」
「逃げ場がないと思うから食べ物に救いを求めるって先生が行ってたし
ほかに家庭を作っておくのもアリなんじゃないの」
と思いつきのままに口説いた。
ほんとにこれで規制にひっかからないもんなんですね。
ラスト。
その後も妹カノがまた借金したり、浮気したり、妹子がプチ家出したりして
カノ親はゴタゴタして、入院は長引いたけど、なんとかカノ子は退院した。
タイミングよく俺の帰郷とほぼ同時期になったので、カノ親の了解をとって
そのまま俺の新居に住まわせることにした…かったけど
ダメって言われたから入籍までカノ子だけ俺の実家に住むことになった。
その間に妹子は出産してました。
カノ親は妹子出産後は孫にかかりっきりだったから
俺とカノ子の結婚については「はいはいお好きにどうぞ」って感じでまあ楽っちゃ楽だった。
カノ子の希望どおりハワイで二人だけで挙式でOKだそうな。
妹子は結局離婚したけどカノ親は
「孫がいて、妹子まで帰ってきてくれて最高」らしい。
カノ子は今ブライダルエステに通ってさらに絞ってる最中です。
乙。なんというか、せめて将来の相続時にはきっちり主張した方がいいぞ。
まあなるべく俺が矢面に立って断ればなんとかなるんじゃないかな
カノ子も最近あんま関わり合いになりたくないようで連絡とってないし
妹子も孫も同居してるからそっちを頼ってもらいたい。
どこの兄弟もちょっとは差があるもんだと思うけど
カノ子と妹子はぱっと見にもわかるくらいだったからああいう親にはなりたくないもんだ。
世の中もうちょっと淘汰されるべきじゃね
間違いなく介護の局面では姉の方に寄りかかってくるだろうな。
カノ子がはっちゃけないように注意。
親を大切にしないなんて人でなし!攻撃で精神的に追い詰めてくるだろうな。