結構昔の話になるんだけど、親父が一年間の入院生活の末に急氏した。妹の初孫を病室で本当にうれしそうに抱っこした三か月後くらいのことだった。
母親(以下ババア)とは俺が小3の頃離婚。原因はババアの不倫。
その時に付き合ってた男が「女の子だったら欲しい」とかホザいていたらしく、妹を手籠めにしようとババアが色々画策。
買い物とかでハブられた俺の様子が変だったのと、妹のオモチャやら服やらが異様に多くなったことに気付いた親父がババアに事情を訊ねて、トボけたババアと妹の話が食い違ったことで露見。
親父はババアの両親にやたら気に入られてて、爺ちゃん婆ちゃんも完全に親父の味方だったそうで一人娘だったババアを勘当。
不倫した理由は「幸せすぎて刺激が欲しかったから」とかワケのわからん理屈だったらしい。これは従兄弟の叔父さん(ババア血縁)から聞いた話。
ともあれババアは親族全員に責められまくれ、最後に「さっさとくたばっちまえ」だのどっかのロックスターみたいな捨て台詞を吐いてから法廷代わりだった実家を飛び出したとか。
そのあとにババアが妹をどうしても引き取りたいとか言ってきたらしく、親父は妹に「どうしたい?」と聞いた。
まだ小1だった妹はババアのとこに行くのを全力拒否。どうも買い物の時に度々顔ならしに不倫相手と会わせてたらしいけど、その相手の男も気に食わなかったしババアの態度も男の前じゃネコ被ったり裏じゃ素っ気なくされたりで大分参ってたとか。
「あの時あのババアのとこ行ってたらアタシ絶対性的虐待受けてたわ・・・」っていうのは妹が高校になってから言ってた台詞。
つづきます
親父の葬儀には本当に大勢の人が来てくれて、俺の爺ちゃんと婆ちゃん(ババアの両親)も来てくれた。
理由は聞けないまま終わったけど親父には何故か血縁関係の繋がりや親戚の付き合いが元々なくて、俺が中学だか高校の時に訊ねた時も言葉を濁すだけではっきりと答えてくれなかった。
爺ちゃんと婆ちゃんは常々親父を本当の息子みたいに思ってると言っていたし、実際に仲もすごく良くてババア側の親戚達にも好かれてた。
俺と妹にも優しくしてくれたし、ババアの親だからってことで複雑に思った時期もあったけど、夏休みや正月に爺ちゃん家に行くのは楽しみだった。
だから葬式にはババア側の親戚が多数。あとは親父がずっと勤めてた工場の仕事仲間や後輩が本当に大勢きてくれて、俺や妹もありがたかった。
「仕事勤めも終わって、孫も生まれてこれからってときに死んじまってまあ・・・」
って泣きながら生前親父がどんなに真面目でいい男だったかを話してくれた親父の一番の同僚さんの言葉がやけに印象に残ってる。
で、ここからが修羅場。
弔辞も終わって参列者がご焼香をはじめたときに、なんか一人だけ「あれ?」っていうような恰好をしたオバサンがきた。
そん時に横に並んでた妹の顔がすっげえ険しくなって、さらにその隣の旦那に抱っこしてた甥っ子をさっとパスした。
「どうした?」って声を掛けようと思ったら、そのオバサンが焼香の粉?を鷲掴みにして親父が入ってる棺の中にぶちこんだ。
俺唖然。周りも唖然。
「クソ薄情ふじこふじこ!!地獄に落ちろ!!ふじこふじこふじこ!!」
妹の旦那が「ぅええ?」みたいな声をあげたときに、やっとそのオバサンがババア(母親)だって気付いた。
俺はマジで眩暈がするほど頭に血が上って、本気でぶん殴ろうとダッシュしかけたら先に妹のほうが仕掛けてた。
さらにつづき
ババアの罵声と同じで殆んど聞き取れなかったけどこんなようなことを言いながらババアの髪の毛引っ掴んで叫ぶ妹と喚きながら反撃するババアの乱闘がこっから始まり俺フリーズ。
妹の旦那がテンパって俺に甥っ子をパス。妹をとめにかかる。俺身動きがとれなくなって棒立ち。とにかくこんな光景子供に見せられねえと手の平で目をガードすると、甥っ子、騒ぎにビックリしたのか俺の手がおっさん臭かったのか号泣。
妹とババアの怒号と甥っ子の泣き声と止めに入る参列者さん達の悲鳴でホール内が完全にパニック状態に。
ちなみにこれは余談だが俺の現嫁(その当時は彼女。まだ親族じゃないからって一応遠慮して参列者達の中にいた。親父、妹ともに面識あり)が妹を必死に止めようとしたところ、乱闘中の妹の肘が鼻っ面に入り出血。妹はあとで泣きながら謝ってた。
情けない話、本当に事態についていけなくて泣き叫ぶ甥っ子を抱っこしたまま突っ立てたんだけど、聞えた内容は以下
「何しにきた何のつもりだ帰れクソババア」(妹)
「誰が生んでやったと思ってるんだ恩知らずが」(ババア)
「妹!妹!」(俺じゃない。旦那)
「アカン妹ちゃん!!それだけはやったらアカン!!」(嫁)
特筆するとこんなところ。
ちなみに嫁は関西出身ではなく東北生まれなのだが何故かエセ関西弁で妹を宥めようとしてた。
あとで理由を聞いてみたら「なんかおちゃらけた言い方すれば止まるかと思って・・・」と冷静なのかパニクってるのかよくわからないコメント。
髪掴みからヘッドロックをかけてババアの顔面に拳を叩きこんでる妹の姿が、ババアの首をヘシ折ろうとしているように見えたということ。
つづきます
ここでようやく我に返った俺が甥っ子を嫁に預けてババアと叔母さんの後を追う。
セレモニーホールの出口付近で叔母さん相手に喚いてるババアは
「鼻の骨が折れた訴えてやる」「服(喪服じゃなく黒いケバいドレスみたいなの)のクリーニング代よこせ」
また頭に血が上った俺がぶん殴ろうと思ってツカツカ歩み寄る前に、叔母さんが手に持ってたババアのバッグ(後々因縁つけられると面倒なので持ってきてたそう)で血塗れの顔面を殴打。
またフリーズする俺の前で叔母さん
「いい加減にしろ!!出てけ!!」
と極妻顔負けの迫力。叔母さんの喪服は着物だったからマジで極妻みたいだった。
ババア、尚も喚くが叔母さんの迫力に負けたのか「ふじこふじこ!!」となんか捨て台詞を吐いて逃走。
青のヴィッツが猛スピードで駐車場から出ていくのを見送りながら、帰りに事故って死ねばいいのにと心の中で思った。
つづきます
妹は完全にダウンしてたし爺ちゃん婆ちゃんもかなり参ってたので頭下げるのは俺と叔母さんで途中から済ませた。
火葬場に送る前「これで最後だから」って妹が無理して親父の前に甥っ子を持ってって顔を見せてた姿が痛ましかったんだけど、そこで今の今まで超泣きまくっていた甥っ子が親父の顔を覗き込んだ瞬間にぴたっと泣き止んだのがちょっといい話。
それ見て親父の同僚さんが「泣き止ませてやったんだな」って泣いてて俺もちょっと涙がでた。
そんな修羅場が終わった後、ババアを殴った叔母さんから話があるとのことで俺と妹&旦那が呼ばれた。
遺産相続の話だった。
親父が退職金でいま住んでる家(現在の我が家)のローンを返したことは知ってたけど、それとは別に俺に二百五十万、妹に百五十万、旦那にも百万の通帳を残してくれたことを教えてもらった。
全部、自分の退職金や病気で降りた保険金なんかを使わないでとっておいてくれたお金だった。
親父はババアと別れた後、俺達がさびしくないようにって休みの日は疲れてるだろうに殆んど毎回のように遊んでくれたり某ミッキキマウスランドとかに連れて行ってくれたりしたし、授業参観やら運動会にも必ず来てくれた。
自分の趣味といえばたまに行く釣りくらいなもんだったけど、それさえ親父が高い釣竿を買ったりなんかしたのを見たこともなかった。
ただでさえ返しきれないほど感謝してるのに、本当に涙が止まらなくなった。
ただ、この残してくれたお金に、葬儀の時ババアが凸してきた原因があった。
つづきます
だからちょくちょく叔母さんも親父の見舞いにきてたらしいが、そんなあくる日にババアが親父の病室に顔を出したそうな。
叔母さん曰くババアは「息子(不倫相手とは別の男の子)が就職に失敗して引きこもったせいで家が大変。自分にも相続権があるのだから遺産を分けろ」とかホザいたらしい。
バッグでぶん殴った理由はそれもあったのかと聞いた時に納得した。
当然叔母さんはキレたが親父は冷静に話を聞いた後、俺達のことが一番大事だし、何より妹は結婚したばかりで子供もいる。多少都合をつけるから俺達の前に姿を現すようなことはしないでほしいといったらしい。
「だから本当はアンタ達二人は50万ずつ多くお父さんから貰えるはずだったんだよ」
と、以上が叔母さんから伝えられたすべて。
要はあのババア、本来貰える立場も資格もない分際で取り分が少ないのに腹を立てて葬式を台無しにしようと押しかけたらしい。本当に頭が狂ってる人間って何するかわかんないもんだなって思った。
次で最後です。蛇足かも。
最初の一声が「あー疲れた。ただいまー」 化粧が濃かったのと髪染めてたので誰だかはじめわからんかった。
妹は完全にブチ切れて泣き叫び、ババアは何の説明もしないで鬱陶しそうに無視しながらテレビ見てた。俺は台所で包丁用意してた。
そのあとしばらくして親父帰宅。さすがに驚いたようだったけど怒鳴り散らすようなことはしないで俺達に部屋にいってるように言ってリビングで会話。
これは俺が成人してから叔母さんにそれとなく聞いたことだけどどうやら不倫相手とまた離婚して家をおん出されたらしい。
親父は「あのことで一番つらかったのはお前達だから聞くけど、お母さんともう一度一緒に暮らしたい?」→俺達全力拒否。
次の日学校から帰ったらもうババアはいなかったから親父がどう追い出したのかは不明。
この件もあってか妹はそれからしばらく人間不信になって中学卒業くらいまでグレてた。だから元ヤンの拳は痛かっただろうなと思う。
いまでこそ酒の席で親戚と笑い話にできるけど、その当時は本当に参った話だったなぁと家族と一緒にお祝いしてたら思い出したので書きました。
その後ババアが我が家に来ることもなかったんでそれを気にしたこともなかったですね。
ただ数年前に婆ちゃんに先立たれた爺ちゃんが亡くなったとき、遺産が全部俺と妹にきたんでその件でババアから一度だけ手紙はきましたが。
>ババアから一度だけ手紙はきました
ど、どんな内容だった?
まあ、だいたい想像できるけどw
もう、ババァくたばってるかな
なんか朝からいい話読ませてもらった。
嫁さん、いいキャラしてるしw
甥っ子が泣き止んだとことか、俺もウルっとしてしまったよ…
お察しされてる通りロクでもない内容でしたよ。
血が濃いのは自分のほうだから全額よこせとか、産んでやった母親のことをなんだと思ってるとか、人の物を盗んで平気でいられるように教えた覚えはないとか、やたらクソ丁寧な物言いで書かれてましたね。
あんまりに腹立ったんでビリッビリに破いてトイレに流してやりました。
そのあとトイレ詰まって嫁に「気持ちはわかるけどせめて燃やしてから流しなよ」って窘められました。
そのことは妹と一緒に叔母さんに相談したんで後腐れはなかったです。大丈夫だから任せろって言ってくれました。
もしかしたらまた手紙くらいは来てたかもしれないけど、嫁が気を使って抹消してくれてたのかなって推測してたりもしました。
>>513
とんでもなかった修羅場でそのことだけが俺も唯一の救いでした。
嫁も親戚の人たちも凄く慰めてくれて力になってくれたんで、人間関係って大事だなって再認識しましたね。
今はもうデカくなった甥っ子と親父についてはもう一つ不思議な話があるんですが、それはこの件とは関係ないんで置いておきます。
あと少ししたら夜勤なんで、もう一眠りします。聞いてくださってありがとうございました。
親父さんは多少変なのに纏わりつかれたが幸せに包まれて逝ったんだろうし。
一方そのBBAは働かない息子抱えて苦労し続けて行くわけだ。