ひとつ年上の近所のお兄さんで、今でも悪戯されている間眺め続けてた体育館の用具室の天井を覚えている。
性的に知識がなかった頃だけど、自分が理不尽な被害に遭っているのだけはさすがにわかった。
田舎の哀しさで、そのあとも中学高校とずっと一緒。
悪戯はたった一回だけだったけど、その時に着ていたお気に入りのワンピースは二度と着られなくなった。
おなじ格好をしたらまた餌食に遭うような、あいつが勝手にOKだと勘違いするんじゃないか、そう考えると怖くてタンスの抽斗の奥に仕舞いこんだ。
一度だけ、母になぜワンピースを着ないのか聞かれたけど、なんて受け答えしたのか覚えていない。