大学生最後の夏、祖父の別荘の近くのお店で、若い男性に声を掛けられた。
今から思えばどう考えてもナンパなんだけど、自分は生まれてずっと女/子高で、男性に憧ればかりがあって、
少し話しただけで「これは運命の人!!」と思ってしまった。
大学生最後の夏、祖父の別荘の近くのお店で、若い男性に声を掛けられた。
今から思えばどう考えてもナンパなんだけど、自分は生まれてずっと女/子高で、男性に憧ればかりがあって、
少し話しただけで「これは運命の人!!」と思ってしまった。
女神に事情を説明すると、最初こそ驚いていたが
すごい感謝してくれてありがとう。と満面の笑みで俺の荒んだ心を癒してくれた。
その後、自転車で女神を家まで送り、進学校の話だとか
最近何してるだとか、他愛もない話をした。
かつてないほど楽しかった。
なんで俺雑草と話してたんだろうと自問したくなるくらいだ。
そして、別れ際にこう言った。
「また、送るよ。その…夜は危ないし…」と。
女神はきょとんとしていたが、すぐに嬉しそうに「電話するね」と言ってくれた。
といってももう起承転結の転あたりだ。
その後、俺はかつての勢いを完全に失い
マンガとゲームが友達のような人間になっていった。
飛影には苦汁を舐めさせられたので、蔵馬派となった俺は
手から植物を自在に出せるという能力を身につけていた。と信じていた。
帰り道、そこらへんに生えてる雑草をみては
「こんなところにも異変が…くっ」とかやってた。
まさに一人世界恐慌だった。この時期、もううまいことも言えない。
他人につけるあだ名もより直球な、草とか輪ゴムとかになっていった。
みんな冷静になり、特に小学校の例の一件を知っている人間はざわざわ状態。
デブも自分の犯した暴挙に気付いたらしく、こっちに助けを求めてくる。
俺とイケメンは顔を見合わせ、確認し合った。
デブを助けようと。
後で聞いた話だけど、イケメンはデブを見捨てようと合図したつもりらしい。
まあとにかくその場を切り抜けるためにロを開こうとした瞬間。
「その話は今は関係ないでしょ」
とまさに鶴の一声と言わんばかりの一言が教室に響き渡った。
あの、俺に告白してくれた可愛い子だった。なんという女神。
とその時言えたらどんなに楽だったろう。