物心ついた時にはもう寝付いていて、確かにそれほど馴染みがある祖父ではなかったけど、だからと言ってお葬式で笑えるほど冷淡な仲でもなかったのに、生まれて初めて本式なお葬式の参列だったせいか、何だか妙に神経過敏になってしまって、周りの母や親戚連の真面目くさった顔や神妙な態度とか、別段可笑しくないはずの部分でツボって勝手に笑えてきたが、「ここで笑うべきでない」と判る判別がある年齢だっただけに本当に困ったよ。
物心ついた時にはもう寝付いていて、確かにそれほど馴染みがある祖父ではなかったけど、だからと言ってお葬式で笑えるほど冷淡な仲でもなかったのに、生まれて初めて本式なお葬式の参列だったせいか、何だか妙に神経過敏になってしまって、周りの母や親戚連の真面目くさった顔や神妙な態度とか、別段可笑しくないはずの部分でツボって勝手に笑えてきたが、「ここで笑うべきでない」と判る判別がある年齢だっただけに本当に困ったよ。
新しく越してきた新参者の俺はそもそも葬式の手伝い側に立った事がないから今でも勝手が判っていないのだが、そこでは進行なんかは葬儀屋がやる代わりに飾り付けや帳場は町内会の男衆がやると決まっていたらしい
(しかも、帳場にいるのにも関らず皆私服で中にはジャージ姿の爺達もいたんだが、ああいう場で私服が通用するのは普通なんだろうか?)
4日前に母から「(祖父の兄)さんが亡くなってお通夜が20日にあるからね。それと、結婚式に着ていく服装で来てくれってことだから」という電話にまず衝撃。
どうやら祖父兄がずっと「自分が氏んだときは暗くしないでくれ。親戚は結婚式の服装で来てくれ」と言っていたそう。
その記憶とは、幼い私が母に抱かれて、何かの集まりに参加しているというものだった。
そこにはたくさんの人がいたんだが、私の視線はあるものに釘づけになっていた。
そのあるものとは、長い台の上にたくさん散らばるようにしてある白い物で、その中でも台のてっぺんの方に置かれていた白くて丸い大きな物に私はひどく興味を惹かれていた。
幼い私は、「あの大きなのは何だろう、触ってみたい!!」と手を伸ばしていたんだが、母に抱かれているのでほとんど身動きは取れず、大きいのにも他のにも触れないままだった。
私がその人の自札を図ったと聞いたのがその手紙が届いて二日ほどしてからだから、手紙を出して間もなく自札を図ったのだろうと思う。
色々な事情が重なって結婚したんだけど、あまり幸せそうじゃなかったが、自札を図る1年前に会ったときは、それなりに幸せそうに見えてた。
嫁ぎ先の事業が破たんしそうなのを、結婚相手の人とその人で、何とか立て直して黒字転換させることができた、そう言ってた。
その人の真意はわからなかったけど、やりがいはあるようだった。