車椅子の女が膝掛けを落としたので、拾ってあげて、顔を見たらその女だった。
お互い「あっ」と言って、その瞬間過去の嫌な思い出がぶわっと脳裏にきた。
車椅子の女が膝掛けを落としたので、拾ってあげて、顔を見たらその女だった。
お互い「あっ」と言って、その瞬間過去の嫌な思い出がぶわっと脳裏にきた。
前提として、私には歳の離れた兄が居る。
普段何してるか判らない飄々とした自由人。
たまにウチに遊びに来たら変な物を置き土産として置いて行く。
半年ほど前、玄関に磨かれていない紫色した水晶の塊を置いていった。
邪魔になるし、何か気持ち悪いので持って帰ってくれと抗議するのだが
「いいから、いいから、何かいい事あるかもな♪」
と、取り合ってくれず、仕方なく靴箱の上でオブジェとなってました。
私の息子がまだ1歳半くらいの時です。
息子をベビーカーに乗せて買い物に行ったのですが、お店が凄く狭くてお客さんは凄く多いし
ベビーカーでは迷惑だろうと思い急いで買い物を済ませて
レジでベビーカーを背中側に置いて支払いを済ませて帰ろうとしたら
お金を払ってた一瞬のうちにベビーカーが無くなってて、もちろん息子もいない…
最初に謝っておくけど、創作かよって突っ込まれそうな話。ごめん。
冒頭の「らしい」っていうのは、警察と離婚の時にお世話になった弁護士さんから
あらましを聞いただけだから。
概要は、三年前の元旦那と離婚。
離婚の理由はここでよく見かける旦那のフリンと借金とクソトメからの小梅攻撃。
その中のA社、テナントビルに入ってるそこそこ名の知れた会社の営業所で
入ロすぐにあるカウンター窓ロでやり取りをするんだが
いつも奥の方の席に座ってる気になる女性がいた。
気になるって言っても好意があるとかそういうのじゃない。
そこの席だけロッカーや観葉植物で影になったような席でちょっと暗くて
他の人たちが談笑してても話に加わらず、表情もなく黙ってる。
「今日でお店終わり。あなたが最後のお客さん。
ひいきにしてくれてありがとう。これ、おみやげ」と、折詰めを二つくれた。
俺は何と言っていいかわかんなかったけど
「とても残念です。おみやげ、ありがたく頂戴します。お疲れさまでした」と挨拶して
店を出たんだ。
お酒飲んでない時はめちゃめちゃ腰が低くて優しい人なのに、一杯でも飲んだら豹変する。
アル中専用の病棟みたいなのがあるらしくて(檻付きのやつ)
そこに三回入院したけど無駄だった。
私の夫は芸能人っていうほど立派なものではないけれど
ありがたいことにファンがつくようなお仕事をしてる。
漫画家とか小説家とかそういう仕事をイメージしてもらうとちょうどいいかもしれない。
その女の存在を知ったのはSNSで「○○(夫)の彼女」として話題になっていたから。
夕飯を食べてくつろいでいた日。
玄関でチャイムの音がしたから、10歳くらいだった自分は率先して出た。
両親共働きで祖父母と小さな弟しかいなかったから。
すでに鍵を掛けてしまっていたが、玄関ドアと磨りガラスごしに女性だとわかった。
近所の人かと思い、何も考えずに開けてしまった。
入ってきたのは初老の女性で見たことも無い人だった。